Archives アーカイヴスⅠ 【Dolls〜人形】

Chinese Carved Ivory Doctor's Lady
清朝象牙彫刻診療用女性像「ドクターズレディ」

Late 19thC (Qing Dynasty) China
19世紀後期 清朝後期 中国
長さ:24.2cm
 
 片肘をついて横たわる髪を後ろに結った纏足の高貴な中国女の裸体像は「ドクターズレディ」と呼ばれ、明から清朝時代の後宮において男性医師が女性を診療する際、道徳的な慎み深さから、女性患者の体を直に視たり触れたりする代わりにこの像を使って具合の悪い箇所を指し示す目的でつくられた。
 
 通常サイズは10〜25cmと云われ、この作品は最も大きいもののひとつである。女の体や顔の表情の官能的な彫刻表現に加え、象牙の密度ある重みの存在感は圧倒的で、診療用道具というより美術工芸品と呼ぶにふさわしい。比較的時代の若い欧米向けの土産品的なドクターズレディは市場に多く出回っているが、1900年以前の作品は稀少である。
*SOLD*
 

Mechanical Wooden Prosthetic Hand
機械仕掛け木製義手

c1915 Probably France
1915年頃 おそらくフランス 長さ:19cm
 
 20世紀初頭、男性用義手は第一次世界大戦(1914-18)で負傷した兵士による需要が高まった。この頃の一般的な木製義手は、球体関節の人差し指と中指と、親指付け根のバネ機能を利用してものを掴むタイプであったが、通常親指のバネは十分に強力ではなく、書類や食器、手袋等の小道具を「掴む」というより「挟む」程度の補助的装具であった。
 
 この義手は、木をくりぬいて機械を内蔵した非常に珍しいモデルである。掴んだものを手首内側のレバーで固定する仕組みで、ものを掴む人差し指、中指、親指の先は滑り止めの革が張られている。一般品によくある球体関節は使用されず、指の表情つまり見た目より「ものを掴む」本来の機能を優先した構造は、一部の武器や乗物の操縦が可能であるため、軍の上層部の者などの特注品と思われる。
 
 木製手首のねじ留めを外し内部の金属製の機械仕掛けを晒した佇まいは、独特な美しさがある。
*SOLD*
 

Neapolitan Polychrome Carved Wood Presepio Blackamoor
ナポリタン・プレゼピオ 彩色木彫ブラッカムーア

Late 18thC Naples Italy
18世紀後期 ナポリ イタリア 高さ:17.5cm
 
 東方の三博士(マギ)は、ベツレヘムの星に導かれ、生まれたばかりのイエスのもとへと赴いて礼拝を捧げた。キリスト教徒がクリスマス時期に飾る、キリスト降誕の場面を表す人形群、イタリア語で Presepio(プレゼピオ)には、たいてい贈り物を携えた三博士の人形が飾られる。
 
 このブラッカムーアは、三博士の従者のひとりとして制作された作品で、頭部と前腕下肢は彩色を施した木彫、体は詰め物で非常に豪華な衣装を纏っている。指は精巧に彫刻されているが一部欠損している。
 
 18世紀ナポリの宗教人形の多くは、木材から細工の容易なテラコッタ(焼き物)に取って代わられ、この作品の様な木彫は比較的珍しい。ブラッカムーアの微笑を湛えた口元や目元そして全身のポーズは、神の子と邂逅する博士の傍で、控え目に歓び驚く姿を表現している。
*SOLD*
 

Carved Oak Figure Head “Irene"
オーク彫刻「エイレネ」船首像

Late 19thC France
19世紀後期 フランス 高さ:42.5cm
 
 西洋帆船の船首を飾る彫像は、船首像(フィギュアヘッド)と呼ばれ航海の安全を祈願して船に取り付けられる。その歴史は古代に遡り船名を表す動物や人物の意匠であることが多い。大航海時代は巨大な全身像であったが、18世紀以降は船の性能に関わる重量や費用の問題から劇的に縮小され、上半身像や胸像に変化を遂げた。
 
 平和の女神エイレネを表すラテン語”Irene”と刻銘された真鍮の板を腰に付けた、木彫の女神像は、顔立ちや木材の状態から19世紀作品と思われる。耳飾りや髪の流れを丁寧に彫り出した優しい面差しの女神像は、非常に小型な船首像で、室内装飾に誂え向きといえよう。
*SOLD*
 

Moulded and Sculpted Terracotta Figure "Mater Dolorosa"
テラコッタ彫刻「マーテル・ドロローサ (嘆きの聖母)」

Late 19thC Spain
19世紀後期 スペイン 高さ:40cm
 
 頭から腰までと両腕が着色されたテラコッタ(焼き物)、腰から下はキャンバス地を張った木枠でできている。元来はベールとドレスを装着し家庭で祀られた宗教人形である。ガラスの義眼をもち、顔に残る涙の痕はガラスの涙が貼ってあったと思われる。針金でできた茨の冠を左腕に提げ、両手を組み祈りを捧げている。
 
 マリア信仰の強いスペインにおいては現代でも、マーテルドロローサ(嘆きの聖母)を祀る習慣があるため多くの聖母像がつくられている。その中でもこの作品は、聖母=母親と呼ぶには中性的で胸も薄く儚げな立ち姿のマリア像である。

*SOLD*
 

Papier-Mâché Millinery Display Head
パピエ・マシェ ミリナリー(婦人帽子店)ディスプレイ・ヘッド

Middle 19thC France
19世紀中期 フランス
マークなし 高さ:40cm
 
 イタリア北部のミラノ公国は16世紀まで、質の高い帽子や手袋の製造で名を馳せるが、17世紀以降はファッションを重要な産業と捉えた戦略的なフランスに流行と洗練の権威を譲ることとなる。それでもミラノは現在でも婦人帽子店を意味するミリナリーの語源となった。
 
 ハンドペイントされたパピエ・マシェ(紙張り子)製のヘッド・マネキンは、ピンを打つ事ができるよう後頭部にかけて布が張られいる。フランスのミリナリーにおいて19世紀半ば、帽子の仕立てまたは仕上がった帽子の展示に使用されたものである。
 
 この種のヘッドは業務用であったため、その多くが廃棄処分され、残存している19世紀の作品は貴重である。欧米ではフォークアートの蒐集家を中心に人気が高いアイテムである。鼻先に顔料の剥げ、経年の擦れあり。
*SOLD*
 

Ziegler Studio Wax Models "The First Developments of The Embryo's External Form"
ツィーグラー工房 蝋製模型一式「胎芽外形の初期進化」

c1870 Germany
1870年頃 ドイツ
高さ(台座込み):①13.0cm(第3週) ②14.5cm(第5週) ④18.5cm(第7週) ⑤22.5cm(第8週) *③(第6週)欠番
 
 解剖用の死体保存が困難であった時代における蜜蝋(ワックス)製の解剖模型は、医学者や学生が立体的な器官や組織を人体の内部構造とともに把握することを目的として製作された。リアルで精巧なアンティークの蝋製模型は、アート(芸術)とサイエンス(科学)の結実した工芸品である。
 
 1800年頃から胎児の進化発生への関心が高まり、1859年ダーウィンの『種の起原』の出版で胎児研究の重要性がより増したが、ヒトの妊娠初期の胎芽から胎児の標本確保は容易ではなく、胎児の進化過程を表す蝋製模型の需要が高まった。
 
 ドイツ人の発生学者アドルフ・ツィーグラー Adolf Ziegler (1820–1889)と息子フリードリヒは、数百におよぶヒトや動物の胚の蝋製解剖模型を製作、彼らの作品は、1867年パリ万博、1873年ウィーン万博に出品され、1893年シカゴ万博において最高賞を獲得した。
 
 胎芽(妊娠8週以降を胎児と呼ぶ)の模型一式は本来五体一組であるが、第6週の模型が欠けている。実物に対し第7週は8倍拡大、ほか三点は9倍拡大のサイズである。指などに欠けも無く彩色も残る、良い状態である。
 

参考資料[Embryos in Wax]  http://www.hps.cam.ac.uk/embryos/Fpage.html

*SOLD*
 

French All-Bisque Mignonettes
フレンチ・オールビスク・ミニョネット

c1880 France
1880年頃 フランス
マークなし 高さ:(左)8.5cm (右)13.0cm
 
 2体ともにオールビスク、ドームヘッド、固定された目、クローズマウス、5ジョイントのミニョネット。ブロンドのモヘアウィッグ、衣装は下着も含め全てオリジナルである。2体ともフレンチミニョネットに多く見られるサイズ10cm(4in.)と異なり、比較的珍しいサイズの人形である。
 
 左の小さな人形は、ブルーの目に合わせたトルコ石風の飾りボタンの付いた細いストライプ柄のシルクドレス、足はストラップのある黒い靴が描かれている。ピンクのビーズバッグは後から持たせたものと思われる。右の大きめの人形は、ブラウンの目、ピンクのサテンとボルドーのヴェルヴェットのコンビのシルクドレス、足はリボン付きの靴型のモールドがピンクに着色されているのが珍しい。
 
 ミニョネットサイズの人形はその小ささゆえ、顔の描きや、義眼のセッティングが、ベベタイプの人形に比べて困難で、整った出来映えの作品が比較的少ない。この2体は顔の出来も良く、良好な状態である。 
*二体は別売りです
*SOLD*
 

Wax Anatomical Models : Heart of 6-Weeks Embryo /Brain of 36-Weeks Foetus
蝋製解剖模型:胎芽(6週)の心臓、胎児(36週)の脳

Middle 19thC Probably Germany
19世紀中期 おそらくドイツ 
心臓:高さ 11.3cm(台座込み) 脳:長さ 8.8cm
 
 解剖用の死体保存が困難であった時代における蜜蝋(ワックス)製の解剖模型は、医学者や学生が立体的な器官や組織を人体の内部構造とともに把握することを目的として製作された。リアルで精巧なアンティークの蝋製模型は、アート(芸術)とサイエンス(科学)の結実した工芸品である。
 
 1800年頃から胎児の進化発生への関心が高まり、1859年ダーウィンの『種の起原』の出版で胎児研究の重要性がより増したが、ヒトの妊娠初期の胎芽から胎児の標本確保は容易ではなく、胎児の進化過程を表す蝋製模型の需要が高まった。
 
 この2作品はそれぞれ、胎児の「心臓」と「脳」の進化発生を示す模型群からの一部である。心臓は6倍拡大サイズ、脳は実物大である。 
*二点は別売です
*SOLD*
 

Wooden Articulated Female Mannequin's Left Arm & Hand (by Fred Stockman?)
女性マネキン木製関節左腕(フレッド・ストックマンによる?)

c1900 France
1900年頃 フランス 長さ:72.0cm サインなし
 
 世界初のマネキン会社を設立したラヴィーニュの弟子であったベルギー出身の芸術家 フレッド・ストックマンは、1869年に自分の会社 "Stockman Freres, Bustes et Mannequins" をパリに設立する。
 
 彼のマネキン事業成功の鍵は、マネキンの購入を検討中の店舗の予算や用途に合わせ各関節ごとに素材や関節箇所をカスタムできることであった。特に手は、指の第一、第二関節、付け根における球体関節の有無によって「指一本幾ら」と細かく価格設定されていた。
 
 この作品は、親指と人差し指は全関節に、中指、薬指、小指は付け根に合わせ釘の球体関節を仕込んだ、繊細な仕草が再現出来る上等な手首をもつ女性の左腕で、手袋等の小物を持たせディスプレイする全身マネキンの一部である。90°以上曲げられる肘内側の切削部分や肩の木製ネジ等の細部までが美しい。
 
 関節の球体の受け皿周縁部に僅かな欠け数箇所、薬指に修復箇所、全体にアタリ、擦れあり。
*SOLD*
 

Neapolitan Polychrome Terracotta Small Cherub's Head
ナポリタン テラコッタ彫刻ケルビム(智天使)小像

Late 18thC Naples Italy
18世紀後期 ナポリ イタリア 幅:8.1cm
 
 顔から翼の生えた幼児の姿で表されるケルビム(智天使)は、5世紀シリアの神学者 偽ディオニシウス・アレオパギタによる『天上位階論』の天使の位階(ヒエラルキア)における第一の位階のなかで、六枚翼のセラフィム(熾天使)の次の位に属し、常に神のまわりに存在し神と直接合一している天使である。美術の分野では、セラフィムは赤い翼、ケルビムは青い翼で表現されることが多い。
 
 嵌められたガラス義眼と細密に彫刻された歯をもつテラコッタ製の小さな天使は、苦悩のような表情が魅力的である。全体に顔料の摩耗が見られるが、後年の塗り直しは一切無く、鮮やかに彩られていた状態を彷彿させる作品である。背面に壁掛け用の金具が穿たれている。
*SOLD*
 

Leather and Metal Child's Medical Corset
革/金属製小児医療用コルセット

Early 20thC France
20世紀初頭 フランス
刻印なし 高さ:約38cm 革 金属 木綿
 
 20世紀初めに作られた、麻痺等を患った幼児のための医療用補助具、腰仙椎装具である。骨盤から腰部への腰椎と仙腸関節の動きを制限するコルセットで、厚い革と金属で作られている。革の重みを軽減するため布製の背部と肩ひもが付属し、骨盤と背部3箇所を紐で編み上げる仕様となっている。
 
 腰部分の革の成型や布の裏打ち、金属のビス留めなど非常に丁寧なつくりで、貴族またはブルジョワの裕福な家庭の子どものために製作されたものと考えられる。本来は医療用品であるが時を経て単独で観ると、小さなサイズということもありオブジェとして美しい。
*SOLD*
 

Dr. Auzoux Papier-Mâché Foetus Anatomical Model
解剖学者オズーによるパピエ・マシェ「胎児」解剖模型

1914 Paris France
1914年頃 パリ フランス 長さ:42.0cm
 
 解剖用死体の保存が困難であった時代における蜜蝋(ワックス)製の解剖模型は、医学者や学生が立体的な器官や組織を人体の内部構造とともに把握することを目的として製作された。しかし高価な蝋製のキュンストレーキ(等身大の人体模型)はひどく重い上に壊れやすく、手で触る事ができない難点があった。
 
 19世紀初頭、フランス人解剖学者ルイ・オズー Louis Thomas Jérôme Auzoux(1797–1880)が開発、製作したパピエ・マシェ(紙張り子)による解剖模型は、軽くて安価、更に臓器の各部分を自由に取り外すことを可能にした。彼の作品は、フランス国内だけでなくロンドン万博において受賞を果たし、国際的な成功をおさめた。
 
 胎児の模型はオズーのメゾンで1914年に製作されたものである。ひとつひとつ丁寧に手彩色された小さな臓器は、各部に番号ラベルが貼られ美しく愛おしい。イギリス ケンブリッジのウィプル博物館に同型の作品が所蔵されている。
 
参考資料
[Explore Whipple Collections] 
http://www.hps.cam.ac.uk/whipple/explore/models/drauzouxsmodels/foetusmodels/
*SOLD*
 

Simon & Halbig Mould 886 All-Bisque Mignonette
シモン&ハルビック 886型 オールビスク・ミニョネット

c1890 Germany
1890年頃 ドイツ
高さ:17.5cm 後頭部に刻印:886 2
 
 オールビスク。5ジョイント。足は黒い靴下にストラップのある茶色の靴が描かれている。ブルーのスリーピングアイ、オープンマウス、オリジナルのモヘアウィッグ。衣装は下着も含め全てオリジナル。シルクリボンに経年の劣化が見られる。曲げ物のケース入り。
 
 ミニョネットサイズの人形はその小ささゆえ、顔の描きや、義眼のセッティングが、ベベタイプの人形に比べて困難で、整った出来映えの作品が比較的少ない。この作品は顔の出来も良く、フランス市場を意識したシルク衣装を着けた、上手のシモン&ハルビックのオールビスク型番886の後期モデルである。
*SOLD*
 

Neapolitan Polychrome Carved Wood and Terracotta Crèche Figure
ナポリタン彩色木彫/テラコッタ宗教人形

Middle 19thC Naples Italy
19世紀中期 ナポリ イタリア
人形本体:57.5cm 台座込み:60.5cm
 
 キリスト教徒がクリスマス時期に飾る、キリスト降誕の場面を表す人形群、イタリア語で Presepio(プレゼピオ)の一体。ヘッドはガラス義眼を嵌めたテラコッタ、前碗と下肢は木を彫刻して作られており、ボディは木毛を詰めた布製である。
 
 衣装は失われているが、首と耳を飾った地中海の珊瑚と朱色に彩色された靴下が、華やかに着飾っていた往時を偲ばせる。傾けた首と彼方を見つめるような表情が美しい、若い女の像である。
 
 台座は後年のもの。右手指に修復あり。
*SOLD*
 

Poured Wax Infant Jesus Doll in a Box
箱入り蝋製人形「神の御子イエス」

Middle 19thC England or Italy
19世紀中期 イギリスまたはイタリア
人形本体:31cm 箱:33.5 x19.5 x13.0cm
 
 寝床にしつらえた薔薇とレース模様の箱の中に横たわる、シルクのベビードレスを纏った赤子の人形である。蜜蝋(ワックス)製のショルダーヘッドと前腕以外は布に覆われた詰め物のボディで下肢の表現はない。ガラス義眼の青目の透明感が非常に美しい。箱の上蓋に仏語で "Le Petit Jesus (幼子イエス)" のラベルがある。
 
 19世紀半ばのヨーロッパでは、英国のピエロッティやモンタナリといったイタリア系移民のワックスドール工房が、それ以前の宗教色の強い人形とは異なる、純粋な赤子や少女の人形を制作して有名となった。
 
 この作品は、偶像崇拝を禁じられたプロテスタント主流の英国で制作された単なるベビードールがフランスに渡り、神の御子として愛されたものと思われる。箱やガラスドームの中に人形を横たえて(場合によっては造花と共に)飾る事は、現代の感覚では柩を連想させて奇妙であるが、ヴィクトリア時代の流行であった。
 
 指に欠損あり。目の両脇ワックス部分に義眼を嵌めるストレスで生じたニュウあり。
*SOLD*
 

Wax Virgin and Child Cased in a Glass Dome
ガラスドームに収められた蝋製聖母子像

c1690 Italy or Spain
1690年頃 イタリアまたはスペイン
人形:33.0cm(冠含まず) ケース:48.5cm
 
 蜜蜂が巣作りのために分泌する蜜蝋(ワックス)で作られた幼子イエス、それを抱く聖母は、頭部と前腕のみ蝋製で衣装の下はワイヤーと布でできている。双方とも義眼ではなく描き目である。元来は繊細に型取りされたイエスの両腕と聖母の両手の指は欠損している。
 
 目を惹く聖母の衣装は当時のオリジナル。補強された絹のブロケード製の胴衣(ボディス)。銀糸刺繍の模様のある絹地の上着とスカートは金属の箔と金糸のレースで縁取られている。バロック期の聖母像の特徴である冠は銀のワイヤーと金属製スパンコールで作られている。
 
 銀や金属の酸化と絹地の退色が無ければ豪華絢爛な聖母子像であったことが想像できるが、イエスを見つめる穏やかな聖母の慈愛の表情は300年の時を経ても変わること無く、その存在を示しているかのようである。
 
 ガラスドームのケースは後年(19世紀後期)のもの。
*SOLD*
 

Sonneberg Maker Unknown Small Bisque Head Doll
工房不詳ビスクヘッドドール

c1885 Germany
1885年頃 ゾンネベルク ドイツ
高さ:23cm(0号) 後頭部に刻印:168 0
 
 クローズドマウス、固定されたブルーのペーパーウェイトアイ、ピアスされた耳、ウッド/コンポジションボディ、モヘアウィッグ、シュミーズドレスと揃いの帽子、靴と靴下、これらはすべてオリジナルと思われる。象牙製の双眼鏡が付属する。
 
 フランス市場向けにドイツのゾンネベルクで作られたビスクドールである。当時人気の高かったフランスのべべジュモーに類似している。ジュモー社は1881〜97年の間、小さなベベとして1号サイズ(25cm)を生産していたが、82年と83年にのみ22cmの人形をつくったとされており(0号と呼んだかは不明)、この作品は稀少なサイズのベベといえる。小ささこその精巧さは無名の工房作品とは思えない神秘性がある。 
*画像の人形は羽の付いた椅子(現代物/非売品)に座っています
*SOLD*
 

Wax Girl Mannequin Head
蝋製少女マネキン頭部

c1915 France
1915年頃 フランス 高さ:23cm
 
 蜜蜂が巣作りのために分泌する蜜蝋(ワックス)でできた少女の頭部。元は張り子のボディに装着された、ディスプレイ用マネキン人形の一部である。首下部にボディ装着用のハト目と紐が残る。この種のヘッドは業務用であったため、その多くが廃棄処分され、残存している20世紀初頭の作品は貴重である。
 
 澄んだブルーの瞳のガラスの義眼(血管表現はない)、頭部や眉には栗色の人毛が一本ずつ丹念に植毛されている。睫毛は剥落している箇所がある。髪の巻き毛をキープするため小分けした髪束を巻き、紙で留め置いているのがリボンの様でかわいらしい。
*SOLD*
 

Small Size Wooden Articulated Artists Lay Figure (Dessin Mannequin)
スモールサイズ木製関節人形(デッサンマネキン)

Early 19thC France
19世紀初期 フランス 高さ:24.5cm
 
 画家のアトリエの必需品デッサンマネキンの起源は定かではない。古くは肖像画家が注文主である貴族にモデルを長時間務めさせずに済むようマネキンに服を着せ、服のシワや襞の感じを描いたとも云われる。
 
 テノン・ジョイント(合わせ釘による関節)は古い宗教人形にも見られるが、18世紀頃から腰が球体の関節人形が作られ多様なポーズが可能となり、芸術家が愛用するようになった。19世紀までのマネキンは、20世紀の量産品とは異なり、顔や指、あばら骨まで彫刻された、つくりの良いものが多い。当時の芸術家にとってマネキンを所有することはステータスであったのかもしれない。
 
 この作品は24.5cm(10インチ)と非常に小さく珍しいモデルである(通常60~80cm)。関節部分の板はほんの2ミリ、顔や指だけでなく膝や肘など細部も彫刻されている。性別の無いマネキンとはいえ男性的なものが一般的であるが、この作品は女性を思わせ、特別に誂えたものであったと考えられる。
*SOLD*
 

Wax Boy Mannequin Bust
蝋製少年マネキン胸像

c1915 France
1915年頃 フランス 高さ:31cm
 
 蜜蜂が巣作りのために分泌する蜜蝋(ワックス)でできた胸像。元は張り子のボディに装着された、ディスプレイ用マネキン人形の一部である。血管まで表現されたガラスの義眼、頭部や眉、睫毛には金髪の人毛が一本ずつ丹念に植毛されている。照明を浴びてウィンドウに飾られることはなかったのであろう、顔料による化粧まで極上の状態である。この種のヘッドは業務用であったため、その多くが廃棄処分され、残存している20世紀初頭の作品は貴重である。
 
 時代設定1911年の映画「ヴェニスに死す」の美少年タジオを彷彿とさせる付属の水兵襟は、19世紀末英国海軍幼年学校の制服となった水兵服が、欧米で子供服として20世紀初頭まで大流行した当時のものである。
 
 右耳縁に僅かな欠け有り。
*SOLD*
 

Polychrome Carved Wood Infant Jesus Sculpture
フランドル彩色木彫「幼子イエス」

Early 17thC Flanders
17世紀初頭 フランドル 高さ:12.3cm
 
 フランドルは、南ネーデルランド(現オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部)の地域で、中世から毛織物を中心に商業経済が発達し、繁栄してきた。スペイン・ハプスブルグ家の統治下にあったスペイン・ネーデルランド領は、16世紀の宗教改革後もカトリックが勢力を維持し、宗教的な美術品の制作も続けられた。
 
 木彫(おそらく菩提樹)の幼子は、黒い髪と柄のある衣の一部を残し彩色は剥落している。ルネサンス以降のイタリアの作品と比べると、中世の面影が残る素朴な作品である。簡素でにこやかな表情は見る者の心を和ませるが、キリスト教の聖像ではこうした表現は存外稀少で、メヘレン周辺の作品と推定できる。
*SOLD*
 

Wooden Prosthetic Hand Worn by a Lady
婦人用木製球体関節義手

Late 19thC Probably England
19世紀後期 おそらくイギリス 長さ:15.5cm
 
 ヴィクトリア時代、左手首を失った貴婦人が装着した木製義手である。現在紐が切れているが、合わせ釘による球体関節内部に紐を通し親指と人差し指、中指を動かすギミックとなっている。
 
 戦争による負傷者向けの既製品とは異なり、ひとりの女性用に特別に誂えられたものである。装着時には手袋の下に隠され人目に触れることはなかったのであろうが、真鍮と木の組み合わせ、親指部分の内部の紐を固定する釘痕がオブジェとして美しく格調高い。
*SOLD*
 

Child Mannequin by Fred Stockman
フレッド・ストックマンによる子供のマネキン

c1900 France
1900年頃 フランス 長さ:72.0cm サインなし
 
 世界初のマネキン会社を設立したラヴィーニュの弟子であったベルギー出身の芸術家 フレッド・ストックマンは、1869年に自分の会社 "Stockman Freres, Bustes et Mannequins" をパリに設立する。
 
 国際的な博覧会で次々と賞を獲得し、1900年パリ万博では審査する側となった彼のマネキン人形は、精巧な関節の指を持つもの、自転車を漕ぐポーズのできるものなど、それ以前の無機質な人体に命を吹き込んだ。
 
 この子供マネキンは、頭部のない布張りの胴体、着色された木彫の両足、木製関節により可動の腕、小さな球体関節の指によってあらゆる表情をつくることのできる着色された手を持つ。
*SOLD*
 

F. Gaultier Bisque Head Doll (6 F.G in Scroll) with "La Maison Bleue" Label
F. ゴーティエ スクロール ビスクヘッドドール

c1890 France
1890年頃 フランス 高さ:42cm
後頭部に刻印:6 F.G(スクロール)  背中に "La Maison Bleue" の楕円形ラベル
 
 クローズドマウス、固定されたブルーのペーパーウェイトアイ、ピアスされた耳、ウッド/コンポジションボディ、モヘアウィッグ、コットンドレスと揃いの帽子、下着、靴下これらはすべてアンティーク。オリジナルと思われる。靴はヴィンテージの可能性あり。
 
 左頬に僅かな色抜けが一箇所がある他はヘッド、ボディとも良好な状態。
 
 ラベルの「メゾンブルー」と関係するのであろうか、深遠な蒼い瞳に蒼いデイドレスの少女である。アッシュブロンドの髪は眉の色とのバランスもいい。
*SOLD*
 

Neapolitan Polychrome Carved Wood Angel Sculpture
ナポリタン彩色木彫天使像

Early 17thC Flanders
17世紀初頭 フランドル 高さ:12.3cm
 
Early 18thC Naples Italy
18世紀初頭 ナポリ イタリア
身長:約15cm 羽根の長さ:9.5cm
 
 掌に載る小鳥ほどの大きさの天使で、目にはガラスの義眼、歯まで彫刻されている。白や金ではなく極彩色の天使の羽根の色どりが、いかにもイタリアらしい。塗り直しのない、肌の着色に使用された顔料は非常に滑らかで、木との相性が良くひび割れや剥落がほとんどない。
 
 キリスト教徒がクリスマス時期に飾る、キリスト降誕の場面を表す人形群、イタリア語で Presepio(プレゼピオ)のひとつと考えられる。
*SOLD*
 

Bru Jeune 8 Bisque Head Doll
ブリュ・ジュン 8 ビスクヘッドドール

1887~9 Paris France
1887〜9年 パリ フランス 高さ:56cm
後頭部に刻印:BRU・JNE 8
 
 オープンクローズドマウス、固定されたブラウンのペーパーウェイトアイ、ピアスされた耳、ウッドボディ。ストレートリスト。人毛オリジナルウィッグ。シルクドレスとボンネット、シルクのコルセットを含む下着、靴と靴下は全てアンティーク、オリジナルと思われる。シルクサテンのドレスとボンネットは損傷が激しい。
 
 レオン・カシミール・ブリュは「ブリュ・ジュン」モールドを発表した数年後の1883年、経営権をアンリ・シュブロに売却する。シュブロは、魅惑的な表情のブリュ・ジュンの製作を継続し、さらに革製の脚の膝下を木製に改良することで、気品溢れる美しい立ち姿の少女人形を完成した。蒐集家の間でシュブロ時代はべべ・ブリュの黄金期と謳われる。
 
 この作品は、当時人気を二分していた人形工房ジュモーのコンポジション・ボディと同じく、壊れ難く多様なポーズが取れるようにシュブロが新開発した、ジュラ山脈の木材をくり抜いた球体関節のボディ(初期ブリュの木製ベベ・モデルとは別構造)で、1887年から1889年までの3年間に製作されたものとなる。
*SOLD*