Archives アーカイヴスⅣ 【Jewellery〜宝飾品】

Cat with Bow Silver Brooch
リボンをつけた猫銀製ブローチ

c1900 Probably Austria
1900年頃 おそらくオーストリア
刻印なし 3.2 x 2.5cm
銀 金色合金 ガラス
 
高貴なエジプト王女の墓から猫のミイラが発掘され、猫の神聖さに感動したヴィクトリア女王は2匹のブルーペルシャを飼い始める。たちまち猫は愛玩動物としてブームとなり、1871年ロンドンで初のキャットショーが催され、デパートは猫をモチーフにした様々な商品を販売するようになる。
 
猫の正面顔をかたどった装身具は数多いが、これは猫の頭部を斜めから捉えた珍しいブローチである。猫の目は宝石ではなくガラス義眼を使用し、毛並みやリボンの模様に至るまでリアルさを追求した作品である。装身具として再現困難なヒゲは一本のみ表現されている(欠損ではない)。上等なステッキハンドルやノベルティ小物を制作する銀工房が手掛けたものと思われる。
*SOLD*

Victorian 3 Pendant Tops (Transformed from Stick Pin)
ヴィクトリアンペンダントトップ3点

Late 19thC /Early 20thC England and France
19世紀後期/20世紀初頭 イギリスおよびフランス
 
電気の実用化により電灯が使用される19世紀後期までの長きに渡り室内の照明は蝋燭であった。今と比べ薄暗い環境の僅かな明かりの中でも煌めきを求めた女性の装身具、特に首飾りは、露出したデコルテまたはスタンドカラーの首を飾る豪華なものが主流で、現代人がシャツやニットに気軽に組み合わせられるアンティーク作品は極めて少ない。
 
スティックピンのモチーフ部分をペンダントトップに加工した3点は、全て1〜2cmほどのサイズで細いチェーンに通して着用するようカンを付けている。当時お守りや記念として作られたチャーム(主にブレスレット用)と比べて、宝石や質の高いエナメル細工を使った凝った意匠が魅力である。カンは全て18金でモチーフに合わせ太さや形をデザインしている。
 
(画像上から)
①ボヘミアンガーネット:1880年頃 イギリス 長さ:1.6cm(カン含まず)
ガーネット 金張りした銀
ボヘミア王国で産出されたガーネットは、暗赤色が蝋燭の明かりにかざすと炎のように赤く輝く特徴を持つ。採り尽くされたガーネットは現在のチェコ共和国(旧ボヘミア)ではもはや産出されず大変に貴重である。ベリーの実を思わせるモチーフの球体と輪が別に揺れる仕様が洒落ている。
 
②エナメル「リュートを弾く天使」:1870年頃 フランス 長さ:2.1cm(カン含まず)
ダイヤモンド ゴールド(18金)
高度な技術を伴うマット(ツヤ消し)エナメルのクオリティから、Eugène Richet(ウジェーヌ・リシェ)作と思われる。パウダーカラーのエナメルにローズカットダイヤモンドを埋め込んだ極上の逸品。模様を刻んだゴールド枠近くのエナメルに修復箇所あり。
 
③バロック真珠の犬:1905年頃 おそらくイギリス 長さ:0.9cm(カン、首輪の札含まず)
真珠 エメラルド サファイア エナメル ゴールド(18金)
自然が生んだ唯一無二の造形である歪な真珠を犬の頭に見立てた究極の一点もの。サファイアの目、エナメルの舌、カリブレカットエメラルドの首輪までが緻密な手業で完成されている。 
*SOLD*

Coral Cameo and Engraved Gold Link Bracelet
珊瑚カメオと彫金ゴールドブレスレット

c1835 France
1835年頃 フランス
刻印:鷲の頭(18金)
センターピース:1.9cm(うちカメオ 1.3cm) 長さ:15.5cm バンド幅:0.4cm
珊瑚 イエローゴールド CAILLIAUD BIJOUTIER A NANTESオリジナルケース入り
 
フランス革命後、華美で贅沢なドレスは廃れ身体を解放したハイウエストの直線的なエンパイヤドレスが一時主流となるが、王政復古とともにコルセットも復活、膨らんだ袖と釣鐘型スカートによるX字型シルエットが流行となる。この頃貴婦人は、室内外問わず手袋着用が身だしなみとされ手袋はお洒落の重要な小道具であった。
 
ギリシャ神を彫刻した地中海珊瑚のカメオを嵌めたクラスプ兼センターピースは、指輪のベゼル程度の大きさであり、この時代らしい華奢なゴールドのブレスレットとなっている。手袋と被らぬよう手首にフィットする、細い帯状のしなやかなリンクは精緻な手彫り模様が裏側にも施されている。宝飾店名が金で箔押しされた革製オリジナルケースに納められている。女性にとって繊細で病弱な雰囲気をもつことが上品とされた時代を物語る貴重な作品である。
*SOLD*

Victorian Diamond Chick and Frog Novelty Brooch
ヴィクトリアンヒヨコとカエルダイヤモンドブローチ

Late 19thC England
19世紀後期 イギリス
刻印なし 幅:4.6cm 
ダイヤモンド エメラルド ルビー ゴールド 銀
 
童話の世界のように向き合うヒヨコとカエルの姿を、パヴェセット・ダイヤモンドで表現したヴィクトリア時代のブローチである。顔を見合わせ言葉を交わしているかのような、カボションカットのエメラルドとルビーによる二匹の表情豊かな目の造形は装身具の域を超えた美術工芸品として見飽きることがない。
 
動くことなくその内部で新しい生命を宿す卵は、死という殻を破って蘇るイエス・キリストの奇跡の象徴としてイースター(復活祭)に飾られる。卵から生まれる生物ヒヨコとカエルは、再生や復活の暗喩としてキリストの復活とともに春の到来を祝うイースターにふさわしい意匠と言える。このブローチは単にかわいいノベルティ(目新しく珍しいの意)作品ではなく、身に着けることで心機一転し幸運を掴むことができるお守りの意も込められている。オリジナルではないが画像のアンティークの革ケースが付属する。
*SOLD*

Tusk Micro-Carving Miniature Ring
獣牙マイクロ彫刻画リング

c1790 Probably England
1790年頃 おそらくイギリス
刻印なし ベゼル:3.1cm リングサイズ #13
獣牙 白蝶貝 真珠 ガラス ゴールド  
 
マイクロ彫刻画はマイクロ技法とよばれる百分の数ミリで彫刻した獣牙のレリーフであり、王侯貴族の注文により主にドイツ系の彫刻家がブリュッセルやイギリスに渡り製作した。
 
この指輪は僅か3cmほどの枠の中に、円柱建築の前の台座に花を捧げる乙女と天からの光とひとつ星の彫刻画がおさめられている。花弁や葉、女の薄衣など繊細に彫られ、状態も良い。下方に黒のインクで "Pensez à moi.(わたしを想って)"とフランス語で記されているが、これは18世紀のヨーロッパ上流知識階級におけるフランス語の流行によるもので、この指輪がその様な階級向けに制作されたことが窺われる。筆を使ってコバルトガラスの粉で塗ったと云われる彫刻の背景は、マイクロ彫刻で有名なヘス兄弟の作品を思わせる。
*SOLD*

French Gold /Pearl Watch Chain
French Silver Watch Chain
フランスゴールド/パールウォッチチェーンとシルバーウォッチチェーン

c1870 /c1900 France
(上)1870年頃 フランス
刻印:鷲の頭(18金)、判読困難な工房印
チェーンの長さ:34.0cm 重さ:32.4g
ゴールド 真珠 ガラス
(下)1900年頃 フランス
刻印:猪の頭(純度800)、判読困難な工房印
チェーンの長さ:27.0cm 重さ:26.6g 銀
 
フランス製の女性用懐中時計のチェーン2点である。ともにチェーンに傷みや修復の無い良い状態。現行品ではほとんど見ることのない凝ったつくりのハンドメイドチェーンは、時計だけでなく小道具を提げ和装と組み合わせたりブレスレットとして着用しても良い。
 
コマのひとつひとつに模様を刻み組み上げた18金チェーンはフランスならではの優美なデザインである。ウォッチキーを兼ねたTバー付きのチェーンは、ナポレオン3世時代のクラシックな鍵巻き式時計を提げた貴婦人の姿を想像させる。シードパールを嵌めた上蓋とグラヴュールで葉飾り文様を刻んだ裏蓋のロケットは、内側のオリジナルガラスが残る良い状態となる。
 
一方の銀製チェーンは、上のゴールドチェーンから時代が下がり懐中時計が普及し始めた頃のものでロケット風のチャームは開閉できない。当時は高級品を模した廉価版であったかもしれないが、細かく亀甲紋を施した引き輪やチェーン全体のデザインは十分丁寧に作られた美しいシルバー作品である。
*SOLD*

NapoleonⅢ Diamond /Turquoise Giardinetti Ring
ナポレオン3世ダイヤモンド/ターコイズ・ジャルディネッティリング

Mid 19thC Probably France
19世紀中期 おそらくフランス
刻印:フクロウ(18金)、白鳥(銀)
ベゼル:2.3cm リングサイズ #9ぐらい
ダイヤモンド ターコイズ ゴールド 銀
 
ジャルディネッティ(Giardhinetti)は小さな庭を意味するイタリア語Giardinettoの複数形で、庭園に咲き乱れる草花をイメージした花束や花籠をモチーフとした18世紀から19世紀初頭に流行したジュエリーデザインのひとつである。荒削りでヴォリュームあるダイヤモンドや色石を使ったジョージアン特に18世紀作品は、素朴ながら左右非対称の大胆なデザインが魅力でアンティークリング好きの間で大変人気が高い。
 
ダイヤモンドとターコイズで埋め尽くされた花束のベゼルの、やや時代が下がった19世紀半ばの彫刻的なリングである。クッションカットやローズカットのメレーダイヤモンドを敷き詰めたミリ単位の花や葉のモチーフは、イブニングドレスの胸元を覆う当時の大きなダイヤモンドブローチのデザインをそのまま指輪サイズに凝縮した驚くべき細工である。花冠や蕚の形が異なるダイヤモンドの花々はそれぞれが別の方を向きオランダ静物画に描かれた豊かな花束のようである。煌めく小さな花の庭を手元に纏い様々な角度から眺め密かに愉しみたいリングである。
*SOLD*

Belle Époque Diamond, Pearl and Ruby Navette Ring
Belle Époque Diamond Openwork Navette Ring by Armand Carette
ベルエポックダイヤモンド/パール/ルビーナヴェットリング
ベルエポックArmand Carette作ダイヤモンド透かし細工ナヴェットリング

c1915 France
1915年頃 フランス
(右)刻印:鷲の頭(18金) ベゼル:1.9cm リングサイズ #13.5
ダイヤモンド 真珠 ルビー イエローゴールド
(左)刻印:鷲の頭(18金)、工房印、15406 ベゼル:2.3cm リングサイズ #16
ダイヤモンド イエローゴールド ホワイトゴールド
 
イギリス国王エドワード7世が在位した1901〜10年の前後、世紀末から第一次大戦までの間の英国を中心としたジュエリー分野においての「エドワーディアン」様式は、プラチナの加工技術の開発もあり、繊細で調和のとれた洗練が特徴である。フランスではこの時代を「ベルエポック」と呼ぶ。ナヴェットはボートや小舟の意で、木の葉のような小舟形のナヴェットリングは、指輪の典型的なデザイン形式のひとつである。ベルエポック期のナヴェットリング2点は、洗練されたフランス製ならではの存在感である。
 
上下をルビーで挟んだ真珠をメレーダイヤモンドで取り巻いたリングは、シャープなルビーのカリブレカットとクラシックなローズカット・ダイヤモンドの組み合わせがユニークで個性的である。エレガントにもカジュアルにも着用できるリングである。
 
中央のオールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドを、ミルグレイン(ミル打ち)の透かし細工とローズカット・ダイヤモンドの葉飾りで装飾したリングは、19世紀末からパリで活動するArmand Carette(アルマン・カレット)の作品。繊細で華奢なレースの如き縦長のベゼルの端正なつくりが印象的なリングである。
*画像に使用しているケースは付属しません
*SOLD*

French Retro Maschera Gold Ring
フレンチレトロ「マスケラ(仮面)」ゴールドリング

c1935 France
1935年頃 フランス
刻印:鷲の頭(18金)
ベゼル:2.0cm リングサイズ #10 10.0g
イエローゴールド
 
アールデコスタイルを基調にして発展した、1930年代後半から50年代までのジュエリーデザインの様式をレトロスタイルと呼ぶ。大恐慌と第2次世界大戦に翻弄されたこの時代、プラチナなどの素材が制限されたことで独創性に満ちた彫刻的デザインが主流となった。
 
宝石を用いない代わりに左右非対称の大胆なデザインで表した仮面モチーフのゴールドリングである。ヴェネツィア風の仮面舞踏会(マスカレード)は、身分や素性を仮面(マスケラ)で 隠し快楽を貪る王侯貴族の間で18世紀末までヨーロッパ全土で流行した。怪しげで意味ありげな雰囲気をもつマスケラの意匠はいつの時代にも人気がある。デザイン性が強くシャープな印象のリング、女性だけでなく男性の小指ピンキーリングとしてもお勧めである。
*SOLD*

Victorian Reverse Intaglio Essex Crystal Cupid Brooch
ヴィクトリアンリバースインタリオ エセックスクリスタルクピドブローチ

Late 19thC England or Austria
19世紀後期 イギリスまたはオーストリア
刻印なし 直径:3.0cm 水晶 銀
 
リバースインタリオは、カボションカットした水晶の平らな裏側(リバース)からインタリオ(沈み彫り)でモチーフを刻むことで表から水晶の中に立体物があるよう見せる彫刻の手法である。この技法はエナメル細密画家ウィリアム・エセックス(William Essex c1784-1869)にちなみエセックスクリスタルとも呼ばれる。
 
ハートに矢を見事命中させ得意げに腕を振り上げる雲の中のクピド。透き通ったドーム状の水晶の中にひとつの小宇宙が展開する円形ブローチである。 クピドの顔の表情、薔薇色の頬のぼかし、髪の毛のハイライトなどの彩色はひと筆ずつ顔料を塗って仕上げている。ヴィクトリア時代のリバースインタリオのジュエリーは鳥、動物、花の自然モチーフが一般的で、クピドのような人物モチーフは、技量不足の職人ではごまかしが利かないため非常に珍しい。通常は白蝶貝を使う水晶の背景も、この作品は銀板を鏡面のように使って光の反射で雲の立体感をより効果的に見せている、大変ユニークな一品である。
*画像に使用しているケースは付属しません
*SOLD*

Markowitsch & Scheid Neo-Renaissance Silver Brooch
マルコヴィッチ&シャイト作ネオルネサンス銀細工ブローチ

c1870 Vienna Austria
1870年頃 ウィーン オーストリア
刻印:ゾウムシ(純度800以上)、ウィーン銀刻印、M&S(工房印)
幅:4.6cm 銀(一部鍍金) 模造宝石(ペースト)
 
幻獣など異形の生物と植物の曲線文様で装飾する美術様式グロテスクは、古代ローマを起源とし、ルネサンス盛期にグロッタ(人工洞窟)の流行とともに広まった。19世紀に新古典主義の影響から再び流行し、幻想的な意匠はのちのアールヌーヴォーなど世紀末芸術に影響を与えた。
 
人間の脚の如く二股に分かれた尾とドラゴンの翼をもつ異国風の女の人魚を中央、ふたつの奇怪なマスクを両端にあしらった複雑なグロテスク様式のブローチは、いぶしと鍍金を施した銀の素材感と緻密な彫金細工を愉しめる逸品である。のちにウィーンを代表する金銀細工師となる Georg Adam Scheid(ゲオルク・アダム・シャイト 1837-1921)が1862年に Michael Markowitschと供に起業したMarkowitsch & Scheid時代の作品。Scheidは1882年に独立し、M&Sは1898年に廃業した。
*SOLD*

Right Eye of a Gentleman Miniature Brooch
「男の右目」ミニアチュールブローチ

c1820 England
1820年頃 イギリス
刻印なし 1.5 x 2.1cm
牙板に顔料 ガーネット 真珠 ゴールド ガラス
 
18世紀後半、英国皇太子(後の国王ジョージ4世)が恋に落ちた相手のマリア・フィツハーバート未亡人は敬虔なカトリック教徒であったため、英国王室は宗派の違う二人の結婚を認めなかった。皇太子は恋人が誰と特定されぬよう肖像画家に彼女の目の部分だけを描くよう命じ、そのミニアチュールを身に着けた。これにより目の肖像はラバーズアイと呼ばれ、19世紀前半まで流行の装身具となった。
 
ジョージ王朝時代のジュエリーにおいて、愛(Love)と無垢(Purity)を象徴するガーネットとパールの組み合わせは大変に好まれた。レース・ピンとも呼ばれる首元のレースを留める、このような極小ブローチは、ラブトークン(愛のしるし)やモーニング(追悼)などセンチメンタルな意味をもつ事が多い。このブローチに描かれたヘーゼル(淡褐色)の瞳を持つ男性は誰を見つめていたのであろう。
*SOLD*

Victorian Diamond Openwork Trefoil Circular Brooch
Victorian Diamond Rectangular-Shape Ring
ヴィクトリアンダイヤモンド透かし三つ葉模様円形ブローチ
ヴィクトリアンダイヤモンド長方形リング

c1880 England
1880年頃 イギリス
(ブローチ)刻印:フクロウ(18金)、白鳥(銀) 直径:2.3cm
ダイヤモンド ゴールド 銀
(リング)刻印:フクロウ(18金)、白鳥(銀) ベゼル:1.6cm リングサイズ #7.5
ダイヤモンド ゴールド 銀
 
ファセット(カット面)の少ないオールドカットダイヤモンドを大小組み合わせて銀で石留めした18金のブローチとリングは、どちらもヴィクトリア時代1880年頃の作品である。南アフリカ植民地のダイヤモンド鉱山の発見によって、多くのダイヤモンドがイギリスへと供給され始めた時期である。
 
直径2cmほどの円の内側にオープンワークで三つ葉模様をかたどったダイヤモンドブローチは着用時、服地が隙間から見えることで、軽やかで可憐な印象を与える作品。左右非対称の意匠が動的で洒落た雰囲気である。
 
小さなローズカットダイヤモンドの長方形の内側にクッションカットを3石を縦に配したダイヤモンドリングは、大小のダイヤモンドの突起や密度の高い量感が、贅沢でアンティークらしい魅力のある作品である。
*SOLD*

French Garnet Pearl Gold Pendant Station Necklace
フランスガーネット/パール/ゴールドペンダントステーションネックレス

c1870 France
1870年頃 フランス
刻印:鷲の頭(18金)
モチーフの長さ:3.0cm(カン含まず) チェーンの長さ:50.0cm
ガーネット シードパール ゴールド 
 
ガーネット4石の花または四つ葉モチーフと3つのドロップ・パーツが揺れるペンダント。透明感のある赤紫色のハートシェイプカットのガーネットとシードパールが、可憐さと同時に洗練された高級感を漂わせる。クラスプ(留め具)含め9石の直径7mmのラウンド・ガーネットを規則的に配したチェーンがひときわ贅沢で美しい。19世紀後期までステーションチェーンは、小道具(時計や眼鏡)を吊り下げるための実用向けロングチェーンが主あり、純粋に首飾りとして製作されたステーションネックレスは当時としては珍しい。
 
ネックレスに使われているガーネット(アルマンディン、鉄礬柘榴石)は、19世紀に流行したボヘミアンガーネットの暗赤色とは異なるパープル系の明るいワインレッドである。当時フランス南部ペルピニャンで採掘され20世紀前半に枯渇した、現在貴重なペルピニャンガーネットの可能性がある。しかし通常アンティークのペルピニャンガーネットジュエリーと呼ばれるものはローズカット/フォイルバックの伝統的なカタルーニャの地元品を指すため、パリ刻印入りのこの作品は、石のカットやセッティング、デザインがペルピニャン由来ではないため産地については断言できない。長さ50cmのネックレスは、ガーネット2石分のチェーンをカットしてイヤリングやリングに加工してセットで着用しても良い。
*画像に使用しているケースは付属しません 
*SOLD*

"Man in the Moon" Carved Moonstone Stick Pin
ムーンストーン彫刻「月の顔」スティックピン

c1890 England
1890年頃 イギリス
刻印なし モチーフ(直径):1.5cm
ムーンストーン ゴールド(おそらく15金)
 
古代密儀、魔術や錬金術、フリーメイソンなど西洋神秘学におけるシンボルとして表されるどこか奇怪な太陽や月の顔は秘密めいた魅力がある。
 
ムーンストーンを彫刻することにより、石の特徴であるアデュラレッセンス(青または白い光が表面を漂うような外観が生じる現象)を生かして、月の顔を幻想的に仕上げたスティックピンである。この作品は、1900年前後に流行したムーンストーン彫刻「月の顔」の中でも直径15mmとサイズが大きく、顔立ちや表情の彫りが特別見事である。石を傾けることによって澄み切った月光のような白い光を宿す月の奇妙な嗤いは、品質が高く遊び心のあるスティックピンとして存在感を放っている。
 
19世紀まで女性のみならず男性も着用した首元に巻くスカーフ(クラバット)を留めるスティックピンは、ブレザーなどのジャケット襟にもお勧め。真鍮製(金めっき)キャッチ(現代物)が付属する(18金製キャッチは別売りでのご用意となります)。
*SOLD*

Art Nouveau Enamel and Diamond Hyacinth Ring
アールヌーヴォーエナメル/ダイヤモンドヒヤシンス リング

c1890 France
1890年頃 フランス
刻印:ヘルメス(18金)、うさぎの頭(輸出印)、IP(工房印)、判読困難な刻印
ベゼル幅:0.6cm(最大部) リングサイズ #14
ダイヤモンド エナメル イエローゴールド
 
太陽神アポロンの寵愛を受けた美貌の少年ヒュアキントスは、西風の神ゼピュロスの嫉妬によって、アポロンとの円盤投げの最中に命を落としてしまう。彼の血に染まった草地から咲いた花を彼の名ヒュアキントス(ヒヤシンス)と呼ぶようになる。
 
緑色のギョーシェエナメルの細長い葉の上に、白いヒヤシンスの蕾をローズカットダイヤでひとつずつ表現した花の固まりを重ねた複雑な、左右非対称の意匠のリングである。個性の強いアールヌーヴォー独特のデザインでありながら可憐でエレガントな作品である。
*画像に使用しているケースは付属しません
*SOLD*

Shell Cameo "Flora" Brooch
「花の女神フローラ」シェルカメオブローチ

c1880 England
1880年頃 イギリス
刻印なし 縦:5.5cm 
シェル イエローゴールド(15金以上)
ALSTONS & HALLAM GOLDSMITHS & Co. オリジナルケース入り
 
ローマ神話のフローラは、風神ゼピュロスによってギリシアからイタリアに連れて来られたのちに花の女神となったとされる。この作品は彼女を貝に彫刻したブローチである。カメオの製作はフローラ発祥の地イタリア、ゴールドの枠はイギリスの金細工師による。
 
貝の天然の3層の色層を生かして彫刻(3段彫り)された、女神の髪を飾る花綱は非常に精緻で、状態も完璧である。ストーン(瑪瑙)カメオに比べ薄手のシェルカメオでこれほど見応えのある作品は珍しい。使用感はほとんどなく、状態の良い19世紀の革製オリジナルケースに入っている。 
*SOLD*

Pre-Raphaelite Enamel Winged Globe Brooch by Child & Child
チャイルド&チャイルド作エナメル翼のブローチ

c1900 London England
1900年頃 ロンドン イギリス
刻印なし 幅:5.3cm
真珠 エナメル ゴールド 銀
CHILD & CHILD JEWELLERS GOLD AND SILVERSMITHSのオリジナルケース入り
 
細部を彫刻した羽根に微妙な青緑色のエナメルを施し、ひと粒のバロック真珠がぶら下げた翼のブローチである。羽の裏側もエナメルを施した丁寧なつくりである。
 
強いラファエル前派の雰囲気をもつこの作品は、イギリスの芸術家でチャイルド&チャイルド工房(1880-1916)のパトロンでもあったエドワード・バーン=ジョーンズ(1833-98)のデザインの影響を受けている。ラファエロつまりルネサンス以前への回帰という芸術運動の中心人物であった彼はエジプトの預言的シンボル「有翼の太陽円盤」を基にこのような羽を広げた翼をデザインした。この真珠は心もしくは魂を表す。
 
王室御用達(ウェールズ公妃とイギリス王女)と金で押印されたチャイルド&チャイルドの暗緑色革製オリジナルケースは、ケース裏には商標であるマリイゴールドの花が金で箔押しされている。
*SOLD* 

Victorian Diamond Dog and Rat Novelty Brooch
ヴィクトリアン犬とネズミ ダイヤモンドブローチ

Late19thC England
19世紀後期 イギリス
刻印なし 幅:4.5cm 
ダイヤモンド ルビー ゴールド 銀
 
鎖に繋がれ自分の餌を盗み食いするネズミに手が出せないテリア犬を、パヴェセットのダイヤモンドで表現したヴィクトリア時代のブローチである。地団駄を踏む犬のポーズや、微妙な形にカボションカットしたルビーによる二匹の表情豊かな目の造形は、装身具の域を超えた美術工芸品として見飽きることがない。
 
テリア犬は、狐狩りやネズミ、アナグマ等の害獣退治のために、多くの品種が19世紀のイギリスで開発され、当時のヨーロッパの人々にとってなじみの深い猟犬であった。なかでも地上のネズミ狩り専門のラットテリアは、当時の動物を虐待する賭博的見せ物ブラッド・スポーツの「ネズミいじめ (Rat-baiting)」においても活躍し、英国の王侯貴族や民衆を熱狂させた。宿敵テリア犬に対し小さな仕返しをするネズミというユーモア溢れるノベルティ(目新しく珍しいの意)作品である。
*SOLD*

Edwardian Opal and Diamond Pendant Necklace
エドワーディアンオパール/ダイヤモンド ペンダントネックレス

c1895 England
1895年頃 イギリス
刻印なし モチーフ部分:5.8cm チェーンを含めた首周り:41.0cm
オパール ダイヤモンド ゴールド プラチナ
 
イギリス国王エドワード7世が在位した1901〜10年の前後、世紀末から第一次大戦までの間の英国を中心としたジュエリー分野においての「エドワーディアン」様式は、プラチナの加工技術の開発もあり、繊細で調和のとれた洗練が特徴である。フランスではこの時代を「ベルエポック」と呼ぶ。
 
オレンジ色に発光するふたつのホワイトオパール、横楕円形のオパールから滴り落ちるようにデザインされた涙滴型のオパールを、ミルグレイン(ミル打ち)で石留めされた粒ダイヤとナイフの刃のように薄い帯状のナイフエッジ・ワイヤーで繋いだ繊細で美しいペンダントは、星同士を結んで表される星座を連想させる。過剰な豪華さの対極に存在する、研ぎ澄まされた高品質のペンダントネックレスである。
*SOLD*

Diamond and Bristol Blue Glass Memorial Ring
Diamond /Pearl Flower and Bristol Blue Glass Brooch
ダイヤモンドとブリストルブルーグラスメモリアルリング
ダイヤモンド/真珠の花ブリストルブルーグラスのブローチ

c1800 France / c1860 Probably England
(リング)1800年頃 フランス
刻印なし ベゼル:2.0cm リングサイズ #15.5 ダイヤモンド ガラス ゴールド 銀
(ブローチ)1860年頃 おそらくイギリス
刻印なし 長さ:3.4cm ダイヤモンド 真珠 ゴールド 銀
 
フランス革命後、華美なロココ様式に対して古代ギリシャ・ローマの純粋性を理想とする古典様式が流行する。ナポレオンの台頭によって英雄主義的な主題はさらに好まれ、新古典主義と呼ばれる芸術思潮が主流となった。古代から高貴な地位を象徴する色ロイヤルブルーの縦長の指輪やブローチはこの時代の流行で、青いエナメル板やイギリスのブリストルで作られたブルーグラス板にダイヤモンドやパールを嵌め込んだものが一般的である(19世紀後期にもリバイバルする)。
 
2cm足らずのブルーグラス上にダイヤモンドで蔦の絡まる十字架の意匠を嵌め込んだリングは、メッセージは刻まれていない(摩耗による?)が、故人を追悼する作品と思われる。黒く見えるほど暗いブルーグラスは光にかざすと中央部に青が蘇り下地のギョーシェ模様が透けて見える色合いの変化が絶妙なリングである。グラス表面左上にスクラッチあり。
 
ダイヤモンドとパールで表現した可憐な花の意匠を嵌めた楕円形のブルーグラスのブローチは、程よいサイズとシンプルなゴールドの枠が着用しやすい作品となる。フォイルバックされたブルーグラス下地の規則的な細かいダイヤ柄が一際目をひく、細部まで丁寧に作られたブローチである。
*SOLD* 

Belle Époque Oval Rose-Cut Diamond Bombé Ring
ベルエポック楕円形ローズカットダイヤモンドボンベリング

c1900 Probably France
1900年頃 おそらくフランス
刻印:ホタテ貝(14金) ベゼル主石:6 x 11mm リングサイズ #13
ダイヤモンド イエローゴールド
 
ベゼルやシャンク部分がドーム状に膨らんだ形状の指輪はボンベリングと呼ばれ、20世紀中頃の大振りなカクテルリングに多く見られるリングのデザイン形式のひとつである。
 
20世紀初頭のこの作品は、横楕円形のローズカットダイヤモンドを主石に、レースの様に透かし彫りを施した金細工にメレーダイヤを嵌めた、繊細巧緻なシャンク側面がエレガントなリングである。
 
宝飾品へのプラチナ使用が普及したベルエポック後期さらにそのリバイバル作品として、プラチナやホワイトゴールドのボンベリングは欧米で多数製作されたが、イエローゴールドとローズカットダイヤモンドを組み合わせたこのリングは、クラシックな印象でアンティークらしい暖かみのある珍しい作品である。
*SOLD*

Emerald and Diamond Cluster Ring
Diamond Cluster Ring
エメラルドとダイヤモンドのクラスターリング
ダイヤモンドのクラスターリング

c1880 France / c1890 Probably France
(右)1880年頃 フランス
刻印:鷲の頭(18金)、工房印
ベゼル:1.3 x1.6cm リングサイズ #14 エメラルド ダイヤモンド ゴールド
(左)1890年頃 おそらくフランス
刻印なし ベゼル:1.2cm リングサイズ #11 ダイヤモンド ゴールド
 
中央の大きな主石を多数の石が取り巻いた花の様な形のクラスターリングは、指輪の典型的なデザイン形式のひとつである。
 
横楕円形のエメラルドを8個のローズカットダイヤモンドで取り巻いたフランス19世紀後期のリングは、ベゼル脇のシャンク部分が双葉のような意匠となっており、まさに花をイメージさせる作品となっている。一方のダイヤモンドのみで構成されたリングは、中央のオールドマインカットのダイヤモンドを極小(0.02ct程度)のダイヤで取り巻き、更に8個のオールドマインカットダイヤで囲うという、非常に凝ったつくりである。
 
二点とも正面から見るといわゆる「お花型」であるが、側面から見ると三次元を意識した立体的なデザインで(フランス作品に多く見られる)、指輪が、それを着用した者の手の動きで様々な角度から見られるものであることを考慮して制作されていることが分かる。
*SOLD*

Victorian Gold Muff Chain Textured Link to a Hand Clasp
ヴィクトリアン手首の留め具付きゴールドマフチェーン

c1890 England
1890年頃 イギリス 
刻印なし 長さ:約124cm イエローゴールド(15金以上) ルビー
 
冬の季節、貴婦人は手袋以外に防寒と装飾を兼ねて毛皮でできた円筒形のマフを身に着けた。手を外に出しても首からマフが下がるように通した長い鎖をマフチェーンとよび、18世紀から19世紀後期にかけてマフと共に使用された。
 
金を打ち出した高級な質感のマフチェーンは20世紀に入りネックレスとして好まれたため、短くカットされてしまったものも多く、この作品のようにオリジナルの長さ、留め具の付いたものは貴重である。またヴィクトリア時代後期に作られたこの鎖は、金が稀少であった19世紀初期のものと比べて堅牢でネックレスとしての着用に適している。
*SOLD*

Diamond /Ruby /Emerald Snake (Ouroboros) Ring
ダイヤモンド/ルビー/エメラルドの蛇(ウロボロス)リング

c1890 Probably England
1890年頃 おそらくイギリス
刻印:フクロウ(18金) ベゼル:0.9mm リングサイズ #9
ダイヤモンド ルビー エメラルド イエローゴールド
 
ウロボロスは無限、永遠、再生などの意味を持つ古代のシンボル(象徴)で、自らの尾を食べる輪状の蛇で表される。1840年ヴィクトリア女王との婚姻の際にアルバート公が贈った指輪が「永遠の愛」を象徴する蛇のエメラルドリングであったことから、ヴィクトリア時代には蛇の意匠のジュエリーを愛する人へ贈ることが流行した。
 
このリングはゴールドを十分に使用した19世紀後期の作品で、ダイヤモンド、エメラルド、ルビーの石留めは、爪を立てたパヴェではなく、ひとつずつ鱗の形に縁取った覆輪で留めている。側面から見ると、蛇が口で自分の尾をくわえているのが分かる。石の配色と蛇のフォルムは、この時代の作品として非常に斬新なデザインである。
*SOLD*

Button Pearl and Diamond Necklace
真珠とダイヤモンドのネックレス

Late 19thC France
19世紀後期 フランス
刻印:鷲の頭(18金)、判読困難な刻印
モチーフ部分:3.2cm チェーンを含めた首周り:43.0cm 真珠 ダイヤモンド イエローゴールド  
 
片面が平たいボタン型の真珠とメレーダイヤモンドのネックレス。着用すると涙滴型の真珠が首もとで揺れエレガントである。モチーフ部分の地金であるイエローゴールドは、アクセントとなるロープ状の円形部分、石がセットされた部分、肌に触れる裏側を除き、側面部が黒く燻されている。ダイヤモンドは、小さなメレーの場合カット面が多いと反って光の反射が曖昧に見えるため、面の少ないシングルカットの石を採用している。
 
計算し尽くされた立体感のあるデザインで、非常に手間を掛けた仕上がりである。モチーフ上部にカンのあるペンダント形式ではないこともフランスらしく、洒落ている。
*SOLD*

Cupid in a Chariot Drawn by Two Goats Gold Brooch
「山羊が牽く戦車に乗るクピド(愛の勝利)」金細工ブローチ

Early 20thC France or Belgium
20世紀初頭 フランスまたはベルギー
刻印 : 菱形に750(18金)ほか判読困難な刻印
4.9cm x 2.9cm イエローゴールド プラチナ ダイヤモンド トルコ石 エナメル
 
「愛の勝利」(Amor Vincit Omnia「愛は全てを征服する」)は古代ローマ詩「牧歌」の一節で、チャリオット(戦車)に乗るクピド(愛=エロス)はその象徴として表される。作品によって戦車を牽く動物の種類や数は様々だが、二頭の山羊が牽く戦車に乗り鞭を振るうクピドはポンペイの壁画に描かれている。
 
通常のブローチの形状は表側だけの半立体であるが、このクピドは完全な立体像でダイヤモンドの羽根をもつ。山羊の毛並み、鞭や手綱など細部にまで彫金が施され、車輪が回る仕掛けになっている。着用できる究極の細密彫刻作品である。
*SOLD*

Enamel Skull and Garnet 'Memento Mori' Ring
Enamel Skull & Crossbones with Snake Hoop 'Memento Mori' Ring
エナメル髑髏とガーネットメ「メント・モリ」リング
蛇型フープ/エナメル髑髏と骨「メメント・モリ」リング

c1770 and Later / Late 19thC and Later England
(右)エナメルベゼル(近年)と1770年代のリングの結合 イギリス
刻印なし ベゼル:1.3cm リングサイズ #12.5 ガーネット ダイヤモンド ゴールド
(左)エナメルベゼル(近年)と19世紀後期のリングの結合 イギリス
刻印なし ベゼル:0.7cm リングサイズ #11.5 ダイヤモンド ルビー ゴールド
 
ラテン語の「メメント・モリ」は「自分が死ぬことを常に忘れずに(今を生きよ)」という人生の警句である。この言葉は、古代には「今この瞬間を楽しめ」という趣旨で解釈されたが、中世以降のキリスト教文化圏では死後の魂の救済を説く上で「現世の儚さ、空しさ」が強調され、16〜17世紀には、棺や骸骨など死を象徴する意匠のメメント・モリジュエリーが流行し着用された。
 
2点のメメント・モリリングは、近年職人が制作した白エナメルの髑髏とアンティークのリング枠をマリアージュ(結合)させた作品である。髑髏の目にはアンティークダイヤモンドが使われている。ともに本物のアンティークリングを使用した、一点物のハンドメイド作品である。 
 
深いピンク色のガーネットが髑髏を取り囲んだジョージアン様式のリングは、ベゼル裏に刻まれた文字が1772年当時のモーニング(服喪の)リングとのマリアージュ(結合)作品であることを表す。鮮烈な印象と18世紀ジュエリーの繊細さを兼ね備えたリングである。
 
ヴィクトリア時代の蛇のリングをフープに使用し、典型的なメメント・モリの主題のひとつである髑髏(死)と蛇(再生)を表した、見事なマリアージュ(結合)作品。蛇は目にルビーが嵌められ、鱗が手彫りされている。髑髏の左目のダイヤモンドにクラックあり。 
*SOLD* 

NapoleonⅢ Tri-Colour Gold Cross Pendant
ナポレオン3世3カラーゴールド十字架ペンダント

c1865 France
1865年頃 フランス
刻印 : 鷲の頭(18金)、判読困難な刻印 長さ:5.7cm(バチカン含まず) ゴールド 真珠
 
中央のひと粒の真珠をアクセントに金細工のみで仕上げた十字架のペンダント。型で抜くのではなくひとつずつ鏨(タガネ)で彫金した花や葉、模様は非常に細かく、当時の職人の技巧が窺える作品である。
 
三色のゴールドの使用により、彫金の技術をただ見せつけるのではなく、洗練された軽い感じに仕上げているのがフランスの優美さといえる。
*SOLD*

Coral Pendant Amulet "Higa (or Clenched Hand)"
珊瑚邪眼除けペンダント「ヒーガ(握られた手)」

Middle 19thC Italy
19世紀中期 イタリア
刻印なし 長さ:5.7cm ゴールド 金色合金 珊瑚(黒珊瑚含む)
 
「邪眼(evil eye)」は、悪意を以て相手を見ることでその者に不幸または死をもたらす目のことで、呪いのひとつである。世界に広く分布する迷信であるが、古代よりヨーロッパでは地中海周辺での信仰が深い。ハプスブルグ家支配下の17世紀のスペインでは「ヒーガ」という握りこぶしの形をしたお守りが邪眼除けとされ、特に王室の子どもはたくさんのお守りを身に着けた。
 
メドゥーサが退治された時に海に散った血が赤い珊瑚となったという神話から、珊瑚自体も魔除けの意味をもつ。このペンダントは地中海珊瑚特有の色合いをしているが、現在地中海からの珊瑚の産出は汚染により激減しているため大変貴重である。
*SOLD*

Art Deco Diamond and Sapphire Heart Ring
アールデコダイヤモンドとサファイヤのハート形リング

c1915 Probably France
1915年頃 おそらくフランス
刻印なし ベゼル1.3cm リングサイズ #13.5
ダイヤモンド サファイア イエローゴールド プラチナ
 
ハート形のベゼルは、ハートシェイプにカットされたダイヤモンドを中心として、メレーダイヤとカリブレカットのサファイアが繊細な波紋を描く様に取り巻いたデザインである。ミルグレイン(ミル打ち)が施された石留めのプラチナ枠がダイヤモンドの煌めきを一層際立たせている。
 
愛する人を想い贈るために制作された数あるハート形ジュエリーの中においては珍しく、甘美ではなくクールで洗練された印象を与えるアールデコ時代のリングである。クラシックかつモダンな、大人の女性のためのハート形リングである。
*SOLD*

Hand Painted Enamel "Venus" Gold Ring
Hand Painted Porcelain "Cupid" Diamond Ring
エナメル画「ヴィーナス」ゴールドリング/陶板画「クピド」ダイヤリング

Late 19thC France
ともに19世紀後期 フランス
(エナメル)刻印:フクロウ(18金) ベゼル:2.9cm リングサイズ #14 ゴールド 真珠
(陶板)刻印なし ベゼル:1.9cm リングサイズ #10 ゴールド ダイヤモンド
 
19世紀半ば、エナメル(七宝、エマイユ)や陶磁器を高温で焼成する技術の高まりによって、これらの技法で製作された手描きの細密画を貴金属に嵌めた装身具が製作されるようになった。女性の指を飾る指輪に使用される2cmにも満たないエナメル板や陶板に筆で描かれた女神やクピドは、焼成によって退色することはなく、身に着けられる極小の絵画作品といえる。
 
エナメルのリングはエナメル画を縁取る金細工が非常に凝っている。上部の真珠を配したホタテ貝から、ピンクの薄衣を纏った女性像は愛の女神ヴィーナスと考えられる。
 
一方のローズカットダイヤモンドに取り巻かれた楕円形の陶板画は、2羽の白鳩と矢尻を確かめているクピドを描いている。ふわりとした筆致はフランスのパリ窯またはリモージュ窯の作品と思われる。
*SOLD*

Gold Cat Playing Pearl Ball Brooch
Silver Cat Playing Pearl Ball Brooch
真珠の球で遊ぶゴールド猫ブローチ/銀製猫ブローチ

c1910 France / c1890 Probably England
(金猫)1910年頃 フランス 刻印:鷲の頭(18金) 横:3.3cm
ルビー 真珠 イエローゴールド プラチナ
(銀猫)1890年頃 おそらくイギリス 刻印:フクロウ(18金)、白(銀) 横:2.7cm 
ダイヤモンド エメラルド 真珠 イエローゴールド 銀
 
高貴なエジプト王女の墓から猫のミイラが発掘され、猫の神聖さに感動したヴィクトリア女王は2匹のブルーペルシャを飼い始める。たちまち猫は愛玩動物としてブームとなり、1871年ロンドンで初のキャットショーが催され、デパートは猫をモチーフにした様々な商品を販売するようになる。
 
ミルグレインを施したプラチナ枠のカリブレカットのルビーの止まり木の上から垂れる真珠を狙っている18金製の猫は、しなやかな筋肉や顔の表情の造形が彫刻家による芸術作品を思わせるブローチとなる。
 
毛彫りした銀を燻すことで猫の毛並みを巧みに表現している銀製の猫ブローチは、ゴールド枠のダイヤモンドの首輪とエメラルドの猫目がポイントとなっている。球に見立てた真珠を前足で支えた猫の姿は、自立できる完全な立体像である。留め針はゴールドが使用されている。
*SOLD*

Artemis Goddess of the Moon & Hunting Gold Brooch
「月と狩猟の女神アルテミス」ゴールドブローチ

c1890 France
1890年頃 フランス
刻印:鷲の頭(18金)、Michel Menu工房印 直径:2.7cm ダイヤモンド イエローゴールド 銀
 
ギリシア神話オリンポス12神の一柱アルテミスは月と狩猟の女神である(ローマ神話のディアナと同一視される)。潔癖であるがゆえ残忍な一面をもつ美しい処女神は多くの芸術家の主題として好まれた。
 
3cm足らずの円形の中に、矢筒と弓を携えた狩猟の女神が森の中で猟犬二頭と共に休息している情景を、金細工で精巧に表現したブローチである。彫金は作品裏側にまでおよび、女神の左手の弓、凭れている木の幹、猟犬の尻尾まで表現されている。ローズカットダイヤモンドのグラデーションによるクレッセント(三日月)は、アルテミスが月の女神でもあることを示すと同時にこのブローチを左右非対称で芸術性の高いアールヌーヴォー作品に仕上げている。
 
刻印のMichel Menuは彫金師で、父Alfredと共にブシュロンの1900年パリ万博出品作品を制作したことで知られる。アールヌーヴォー期のブシュロンは、ほかにもEdmond-Henri BeckerデザインでMenu et Filsが製作したジュエリーを発表した。このブローチはブシュロンの銘こそ無いが、非常にクオリティーが高い作品である。
*SOLD*

Carved Moonstone Satyr's Face Ring
ムーンストーン彫刻「サテュロスの顔」リング

c1890 Probably France
1890年頃 おそらくフランス
刻印なし ベゼル:1.8cm リングサイズ #7
ムーンストーン ダイヤモンド ゴールド(おそらく14金) 銀
 
ギリシア神話に登場する半人半獣の精霊サテュロスは、四足獣のような下半身、山羊のような角をもち、ローマ神話の森の精霊ファウヌスやギリシアの牧羊神パーンとしばしば同一視される。キリスト教では自然の精霊を異教としたため、もともと奔放な性格のサテュロスは、西洋美術において悪魔的で邪悪なイメージで描かれることが多い。
 
このリングは、ムーンストーンを彫刻することにより、石の特徴であるアデュラレッセンス(青または白い光が表面を漂うような外観が生じる現象)を生かして、半獣神の顔を幻想的に仕上げている。ローズカットダイヤモンドに取り囲まれた奇妙な嗤いは、石を傾けることによって薄青い光を宿す。非常に品質が高く個性的なリングである。
*SOLD*

Chased and Pierced Silver Mythological Beasts Bangle
銀製打ち出し幻獣バングル

c1885 France
1885年頃 フランス 
刻印 : 猪の頭(純度800)、DEPOSE、L&B(工房印)
幅:2.4cm 直径:6.4cm 銀(一部鍍金)
 
19世紀ヨーロッパではロマン主義の影響から、中世様式のリバイバル(ネオゴシック)やルネサンス様式の宝飾品が金銀細工師によって新たに作り出され、グリフィン、ドラゴン、キマイラ等の古代神話の幻獣は流行の装身具となり着用された。
 
頭は獅子、体は山羊、尾は蛇という合体獣であるキマイラが蜥蜴に牙を剥いている姿を打ち出した銀製の腕輪である。輪の半分はこれらがピアッシングされ、着用時に腕が透けて見えるようになっており、もう半分は銀表面が革の型押し風になっている。宝石は一切使用されず、銀の細工だけで十分迫力ある作品に仕上がっている。
*SOLD*

Guilloché Enamel Diamond Cross Pendant
ギョーシェエナメル/ダイヤモンド十字架ペンダント

c1900 France or Russia(?)
1900年頃 フランスまたはロシア(?)
刻印:白鳥(銀)、判読困難な刻印(金を表す刻印と思われる) 長さ:3.2cm(カン含まず)
ダイヤモンド ゴールド 銀 ガラス  
 
旋盤で刻んだゴールドの模様が透けるよう七宝を施し(ギョーシェ技法)、オールドブリリアントカットのダイヤモンドを配した十字架型のペンダント。不透明のホワイトエナメルとブルーで縁取られた透明感のある主部分は、同じホワイトでもオパールのような光沢をたたえている。この見事な色感は、何層もの異なる七宝顔料を使用し、玉虫色に光る効果が得られるまで何回も焼成されて出来上がっている。このオパール色は19世紀後期にロシアのファベルジュが得意とし、20世紀に入りカルティエが追随した技術である。裏面にガラスを嵌めたロケット部分がある。
*SOLD*

Art Deco Diamond and Ruby Ring
アールデコダイヤモンドとルビーのリング

c1915 Probably England
1915年頃 おそらくイギリス
刻印 : フクロウ(18金)、ゾウムシ(プラチナ)、G.L(フランス輸入者)
ベゼル:1.1cm リングサイズ #8
ダイヤモンド ルビー イエローゴールド プラチナ
 
クッションカットのダイヤモンド(0.15ct程度)を中心に放射状に隙間なくセットされたテーパードバゲットカットのルビーから成る四角形ベゼルのリングである。ベゼル側面とフープ両脇側面にグラヴュールで模様が刻まれている。
 
アールデコ特有の幾何学的フォルム、グラフィック的デザインを指輪という小さな世界で表現している。デザインが簡潔である分、石のカットおよびセッティング、素材の組み合わせに僅かな狂いも許されぬ熟練が職人に要求されたと思われるが、軽妙で洗練された作品に仕上げられている。
*SOLD*

HERMÈS Gold and Diamond Whip & Bouquet Brooch
French Gold Crop Brooch
エルメス「鞭とブーケ」ブローチ/フランス乗馬鞭ブローチ

c1960 / c1900 France
(左)1960年頃 フランス 刻印 : 鷲の頭(18金)、 HERMÈS
長さ:9.3cm イエローゴールド ホワイトゴールド ダイヤモンド
(右)1900年頃 フランス 刻印 : 鷲の頭(18金)
長さ:5.3cm イエローゴールド 銀
 
上流階級のたしなみとして乗馬または遊猟の際に乗馬ジャケットの襟元もしくは乗馬帽に着けて楽しんだブローチ2点である。双方とも華美なものと違いスーツのジャケットなどに組み合わせやすく、男性も着用できる作品である。
 
エルメスのブローチは鞭と花束というモチーフの組み合わせが洒落ている。ダイヤモンドは小粒ながら16個揃いで良質のものを使用している。
*SOLD*

Left Eye of a Lady Miniature Pendant
「女の左目」ミニアチュールペンダント

c1820 England
1820年頃 イギリス
刻印なし 2.4cm(カン含まず)
牙板に顔料 ゴールド 真鍮(カン) ガラス
 
18世紀後半、英国皇太子(後の国王ジョージ4世)が恋に落ちた相手のマリア・フィツハーバート未亡人は敬虔なカトリック教徒であったため、英国王室は宗派の違う二人の結婚を認めなかった。皇太子は恋人が誰と特定されぬよう肖像画家に彼女の目の部分だけを描くよう命じ、そのミニアチュールを身に着けた。これにより目の肖像はラバーズアイと呼ばれ、19世紀前半まで流行の装身具となった。このペンダントに描かれた青い瞳を持つ女性は誰を見つめていたのであろう。
*SOLD*

French Diamond and Ruby Rosace Ring
Belle Époque Diamond and Sapphire Ring
フランスダイヤモンド/ルビー・ロザースリング
ベルエポックダイヤモンド/サファイアリング

c1920 / c1910 France
(右)1920年頃 フランス
刻印:鷲の頭(18金)、工房印 ベゼル:1.1cm リングサイズ #15
ダイヤモンド ルビー イエローゴールド ホワイトゴールド
(左)1910年頃 フランス
刻印:鷲/猪の頭(18金/プラチナ) ベゼル:1.3cm リングサイズ #8.5
ダイヤモンド サファイア ゴールド プラチナ
 
イギリス国王エドワード7世が在位した1901〜10年の前後、世紀末から第一次大戦までの間の英国を中心としたジュエリー分野においての「エドワーディアン」様式は、プラチナの加工技術の開発もあり、繊細で調和のとれた洗練が特徴である。フランスではこの時代を「ベルエポック」と呼ぶ。
 
薔薇の花弁のごとく中央のダイヤモンドから放射状にルビーとダイヤモンドを8石ずつ嵌めた「ロザース(薔薇窓)」型のリング。いわゆるクラスターとは一味違うデザインで、洗練されたフランス製ならではの存在感である。石留め全てにミルグレイン(ミル打ち)を施した端正なつくりで、アールデコへと美術様式が変化していく時代の作品である。主石のオールドヨーロピアンカットダイヤモンドの表面にキズ(おそらくナチュラル)あり。
 
もう一方のリングは、前面へ高く張り出すように爪留めしたオールドヨーロピアンカットのダイヤモンド2石を垂直に配して、ミルグレインを施したプラチナ枠のメレーダイヤモンドとカリブレカットサファイアでその間を装飾した、個性的ながら繊細で華奢な印象の作品である。
*SOLD*

Neo-Rococo Miniature in Vari-Colour Gold Frame Brooch
多色ゴールドフレームネオロココミニアチュール(細密画)ブローチ

Middle 19thC Province France
19世紀中期 プロヴァンス フランス
刻印:馬の頭(18金)、判読困難な工房印
長さ:5.1cm 牙板 ガラス ゴールド 銀 
 
フランス第二帝政皇帝ナポレオン3世の妻ウージェニー皇后は、ロココの女王マリー・アントワネット妃に対して強い憧憬を抱き、服飾から建築に至るまで華やかなロココ・リバイバル様式を取り入れた。これは宮廷文化に憧れる新興ブルジョワにも歓迎され、革命後、控え目であった貴婦人のファッションは豪華になり、フランス経済の復興を背景に革命で散逸した宝石が買い戻され、新たに作り直されることとなった。
 
多色ゴールドの花綱レリーフで装飾されたフレームに納めた、ロココ後期の画家フラゴナールを思わせる明るく軽快な色彩の楕円形の細密画ブローチは、甘美な優雅さをたたえた着用できる小さな絵画作品といえる。画面中央セピアのグリザイユで描かれた若い女性は愛のクピドの次の標的であろうか。裏面にガラスを嵌めたロケット部分がある。牙板に一箇所、極薄いヒビ有り(補強済み)。
*SOLD*