Archives アーカイヴスⅡ 【Paintings〜絵画】

Russian Icon “The Liberation of St. Peter by Angel”
ロシアイコン「天使に解放される聖使徒ペトロ」

1829 Russia
1829年 ロシア
17.5 x 14.0cm
 
 帝政ロシアの首都サンクトペテルブルクは、ロマノフ朝5代目のピョートルⅠ世が18世紀初めに完成させた都市である。サンクト(聖)、ペテル(使徒ペトロ=スラブ系男性名ピョートル)、ブルク(城)の名前のとおり、新約聖書の使徒ペトロは正教会において、使徒パウロと共に十二使徒の中でも首座使徒として記憶される重要な聖人で、ピョートル大帝の守護聖人であった。
 
 この作品は聖ペテロが天使によって監獄から解放される図である。聖母子像や単独で聖人像を描いたイコンと比べ、珍しい主題である。小さな木板に細密にテンペラで描いた人物の顔や文字は繊細で美しい。
 
 作品左下に制作年代等を示す文言が記されている。
*SOLD*
 

French Porcelain Plaque "Young Faun" after Titian
ティツィアーノ原画(?)による陶板画「若い牧神」

Signed /Dated "1846 A. Pelleur" France
署名入り "1846 A. Pelleur"(おもて面) "d'après titien"(裏面) フランス
イメージサイズ:16.8 x 13.0cm 額:縦 32.5cm 横 29.0cm オリジナル金彩額
 
 19世紀中頃のオリジナル金彩額縁におさめられた、生き生きした裸のこどもを描いた艶やかな陶板画である。ヨーロッパの陶板画に頻繁に登場する可愛いらしいクピドや天使の主題と思って眺めると、二本角の隆起した額と尖った耳の異形のこども姿の牧神が振り向いて舌を出している画題に驚かされる。
 
 牧神の滑らかな肌、薔薇色の頬、目のハイライトは、絵付けと焼成を繰り返すことによって得られる、品質の高い陶板画特有の光彩を放っている。
 
 陶板裏面に記された "d'après titien"は、ティツィアーノにちなんだ作品を意味するが、原画の模写かティツィアーノ風の創作かは不明。
*SOLD*
 

Illuminated Manuscript on a Vellum Leaf from a "Book of Hours"
中世羊皮紙彩飾写本「時祷書」一葉

Late 15thC France
15世紀後期 フランス
16.3 x 10.2cm 羊皮紙(ヴェラム)にセピア色のインク、多色顔料、金泥
 
 テキストはゴシック体で手書きされたラテン語で、「時祷書」というキリスト教徒が個人で用いる聖務日課書(聖母への祈りを中心とする祈祷書)からのRecto(奇数ページ:表)とVerso(偶数ページ:裏)両面書き写しの一葉である。
 
鉛丹(?)の赤を基調に金泥を贅沢に使って描き込んだ、唐草文様のボーダー(縁飾り)に取り囲まれた美しいページ両面に、殉教死を遂げた聖女の挿画が描かれた至高の一葉となる。
 
 Rectoに描かれた聖マルガリタ(アンティオキアのマルガリタ)は、ドラゴンの姿をした悪魔に飲み込まれるも、手にした十字架によって無事に外に出られたと伝えられる。一方Versoの麦の穂を携え読書する聖バルバラは、三位一体を示す三つの窓の塔と共に描かれている。ともに中世に熱狂的に信仰された聖女であり、彼女らが含まれる十四救難聖人は、信者がその名を呼ぶことで難から救われるとされ、15世紀中頃から盛んに崇拝されるようになる。この作品は時祷書中の聖人連祷からの一葉と思われる。
 
 両面アクリルフレーム(現代物)が付属する。
*SOLD*
 

"St. Walburga and Her Saints Family" Boulle Marquetry Small Triptych
「聖ワルプルガと聖人家族」ブール象嵌小三連祭壇画(トリプティック)

Early 18thC France or Germany
18世紀初期 フランスまたはドイツ
祭壇:高さ19.7cm 中央イメージサイズ:縦 8.0cm 横 6.0cm
署名なし 羊皮紙 木 真鍮 ピューター ガラス
 
 古代ケルト発祥の、中欧や北欧で行われる春の祭り(5月1日)の前夜祭は、「ワルプルギスの夜」と呼ばれ、魔女たちが大サバトを開く夜と伝えられる。キリスト教以前の異教の祭りを8世紀の聖女ワルプルガにちなみ名付けられたが、彼女と魔女との関連は無い。
 
 羊皮紙に細密に描かれた作品中央の、ベネディクト会女子大修道院長であった聖ワルプルガが手にする薬壜は、彼女の遺骨から現在も湧く、癒しを与える奇蹟の油を表している。彼女は英国ウェセックスの貴族の生まれで、家族もキリスト教の聖人として列聖されており、祭壇左翼に聖リヒャルト(父)と聖ウィリバルト(兄、アイヒシュテット司教)、右翼に聖ウナ(母)、聖ウィニバルト(兄、修道院長)が描かれている。
 
 フランス・バロックを代表する家具職人 André-Charles Boulle(アンドレ-シャルル・ブール)考案のブール象嵌技法によって真鍮とピューターで装飾を施した木製祭壇は、小さく持ち運びが容易で、個人の祭具として利用されたものと考えられる。
 
 象嵌された金属部分および取手に傷みあり。
*SOLD*
 

Stipple Engravings after John Russell "The Cake in Danger" and "The Age of Bliss" in Verre Églomisé Frames
ジョン・ラッセル原画による点刻銅版画(エグロミゼ・ガラス額装)

"The Cake in Danger" : Engraved by William Nutter 1788
"The Age of Bliss" : Engraved by Edmond Scott 1790
Published by John Jeffryes London England
(右)1788年 (左)1790年 John Jeffryes 発行 ロンドン イギリス
額:縦 37.7cm 横 31.0cm 紙 ガラス 金彩額
 
 肖像画で有名なイギリス人画家ジョン・ラッセル (1745-1806)の描いたパステル画を元にした銅版画 "The Cake In Danger"と "The Age of Bliss"である。原画のパステルのタッチを生かすために、線ではなく点で彫る点刻彫版(スティップル・エングレーヴィング)の技法を用いて多色刷りで仕上げている。
 
 版画を引き立てる額装はマットの代わりに、ガラス裏面から金箔を張り黒色で仕上げたガラス絵 verre églomisé エグロミゼ技法が使われている。これは古い宗教装飾に使用された技法であったが、18世紀にフランスの室内装飾の分野で見直され、19世紀にかけて人気を博した。
 
 この2点は、挿画入りの古書の一頁を後年額装したものではなく、室内装飾用にオリジナル制作した版画作品である。金彩額の裏にはイギリス ブリストルの額装店のラベルが残る。
*SOLD*
 

French Caricature Hand-Coloured Engraving "Qui Se Ressemble S'Assemble"
フランス手彩色銅版画カリカチュア「類は友を呼ぶ」

c1810 Paris France
1810年頃 パリ フランス
イメージサイズ:25.0 x 14.8cm 額:縦30.0cm 横20.0cm 黒塗木製額
 
 19世紀前半、革命後のフランスの政治体制は、ナポレオン帝政、王政復古、共和制とめまぐるしく変化した。その中で市民社会においては、位の高い者に対する批判や揶揄を込めたカリカチュア(風刺画)が、出版印刷の発展とともに流行した。
 
 "Qui se ressemble s'assemble (類は友を呼ぶ)" と題された手彩色銅版画は、プロムナード(散歩道)上の貴婦人を取り巻くように寄り集まった小動物たち、勝手気ままに飛び廻る蝶、悪知恵の働く猿、爪を隠しておねだりする猫、四六時中お喋りに興じる九官鳥、他人の言葉を真似るだけのインコ...によって気取った貴婦人の性質を風刺している。
 
 後年(1900年頃)の額装は、黒塗本額と金彩入れ子ともに木製。ヤケ、経年によるシミあり。
*SOLD*
 

Portrait Miniature of a Girl Holding a Doll "Polly 1873"
人形を抱いた少女 “Polly 1873年” 肖像ミニアチュール(細密画)

1873 England or Germany
1873年 イギリスまたはドイツ
イメージサイズ:8.2 x 6.6cm 象牙板に水彩 真鍮額
判読困難な署名(画面)と"Polly 1873"のグラヴュール(額裏面)
 
 レースで飾られた白いオフショルダーのコットンドレスの少女。ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」(1865年)の挿絵の影響により、ヴィクトリア時代の子供服において大流行したエプロンを着用し、サッシュと合わせたピンクのリボンでブルネットの髪を留めている。少女の愛称はポリー、1873年の肖像画である。
 
 画家を雇い娘の肖像画を描かせることのできる裕福な貴族の邸にふさわしい薔薇のある庭園を背景に、お気に入りの人形を抱いてモデルを務める少女は何を思い、どのような生涯を送ったのか想いを巡らさずにいられない細密画である。
 
 額縁で覆われた部分に画家の署名有り。
*SOLD*
 

Miniature Paintings on Ivory "St. Mary Magdalene in Ecstasy"
ミニアチュール(細密画)「マグダラのマリア脱魂図」

Signed /Dated "Gaylica(?) 1852" France
署名入り "Gaylica(?) 1852" フランス
イメージサイズ 直径11.3cm 象牙板に水彩 ベルベットと金彩額装
 
 マグダラのマリアは改悛した娼婦であり、イエスに最も近い女性と考えられている。復活したイエスに最初に会ったのも彼女であり、フランス、サント・ボームの山の洞窟で生涯を閉じるまで30年間隠棲したと云われる。
 
 「罪の女」が聖女となったことで古くから芸術家のインスピレーションを刺激し、彼女を主題とした多くの作品が制作されてきた。特に、長い髪が裸の体をおおい、髑髏を傍らに陶酔する、洞窟のマグダラのマリアの「脱魂図」は、ベールを被った修道女姿の他の聖女像では表現され得ないものである。
 
 円形の象牙板に緻密に手描きされたこの作品におけるマリアの恍惚の表情は、目蓋の下に覗く眼と薄く開けた歯まで描き込まれた口元をルーペで確認してはじめて真の素晴らしさが分かる。作品を所有した者のみが愉しめる非常に個人的な細密画であり、注文により制作されたと考えられる。
*SOLD*
 

Chinese Export Gouache Paintings on Pith Paper Punishment by Cangue 
清朝輸出向けグアッシュ画「首板の刑」

Late 19thC (Qing Dynasty)
19世紀後期 清朝後期 中国
イメージサイズ:11.0 x15.0cm 額:縦24.0cm 横29.0cm
署名なし 通草紙にグアッシュ 黒塗木製額
 
 中国に生息する植物 カミヤツデ(別名 通草)の髄から生成される繊細な紙である通草紙に、グアッシュ(不透明な水彩顔料)を用いて手描きされている。 清朝後期、広東から欧米輸出向けの絵の題材の一つに中国人の風俗画がある。なかには罪人を処刑する経緯を一揃えにした拷問図などもあり、この作品もそのような画帳からの一葉と思われる。
 
 姦通の罪によるのであろう僧侶と纏足の女が首板をつけさらしものになっている。
 
 マット全体にシミ、やけ。絵本体にうねり、女の頭部に傷み。
*SOLD*
 

Miniature Watercolour on Card "Putto with Curly Blonde Hair"
ミニアチュール(細密画)「巻き毛のこども」

Late 19thC England
19世紀後期 イギリス 
イメージサイズ 8.6 x 6.7cm 額 縦22.2cm 横20.5cm
署名なし 厚紙に水彩 塗金木製額
 
 暗い背景から浮き上がる白い肌とブロンドの巻き毛にハイライトをもつ裸のこどもを小さな楕円の厚紙に描いた細密画である。巻き毛の一本一本、頬や耳、肘の赤み、陰影を水彩顔料でぼかすこと無く一筆ずつ緻密に描いている。現代ここまで表現する細密画家も稀少であろうが、絵筆自体が存在するのかという細かさである。
 
 絵の主題はバロック的であるが、過去の名画の模写かオリジナル作品であるのかは不明。19世紀中後期の作品と思われる。額縁は同時代のものを使用し、後年額装されたものである。
*SOLD*
 

Franz Hogenberg "Hanging of Anne du Bourg Place de Greve 23rd December 1559"
Franz Hogenberg 銅版画「1559年 アンヌデュブールの処刑」

Late 16thC Germany
16世紀後期 ドイツ
イメージサイズ:21.8 x 29.9cm 額:26.5 x 34.5cm
 
 Franz Hogenberg(1535~1590)による、ユグノー教徒弾圧を抗議した高等法院評定官アンヌデュブールが1559年グレーヴ広場にて処刑される場面を描いた銅版画である。これに先駆け1570年に発表された、フランスの宗教戦争を綴ったTortorel et Perrisinの木版作品を倣ったもので、これと比較してサイズは縮小し、イメージは左右反転している。
 
 額装は1900年前後のものと思われ、裏面に当時のイギリスの商店 Miller & Co LONDON BIRMINGHAMのラベルが貼られている。
*SOLD*
 

Illuminated Manuscript on a Vellum Leaf from a "Book of Hours"
中世羊皮紙彩飾写本「時祷書」一葉

Late 15thC Northern France
15世紀後期 北フランス  縦16.4cm 横12.0cm
羊皮紙(ヴェラム)にセピア色のインク、赤青顔料、金箔
 
 テキストはゴシック体で手書きされたラテン語で13行から成る。盛上げて磨かれた金の飾り文字は剥げも無く美しい。当時紙の10倍の値で取引されたという羊皮紙の一箇所(テキストの外側余白部分)に惜しくもなめしの際に生じた最大4mmの穴がある。
 
 「時祷書」というキリスト教徒が個人で用いる聖務日課書(聖母への祈りを中心とする祈祷書)からのRecto(奇数ページ:表)とVerso(偶数ページ:裏)両面書き写しの一葉である。
 
 イギリスの職人による額装するためのマット付き(両面分)。
*SOLD*
 

Russian Icon in Gilt Metal Riza "Sergius of Radonezhof, Kirill & Mary in a Coffin"
リザ入りロシアイコン「ラドネジの聖セルゲイと柩のキリルとマリア」

Late 19thC Russia
19世紀後期 ロシア
 
 ラドネジの聖セルギイ(1320頃~1392)は正教会の聖人で、至聖三者聖セルギイ大修道院を創設した、中世ロシアにおける重要な宗教指導者で、ロシア正教会では最も偉大な聖人のひとりとして崇敬されている。
 
 この作品はセルギイが、晩年に修道生活を送った父キリルと母マリアが揃って横たわる柩の傍らで、イエスに彼らの鎮魂を祈る図である。聖母子像や単独で聖人像を描いたイコンと比べ、珍しい主題である。小さな木板に細密にテンペラで描いた人物の顔や金彩による光背や文字は繊細で美しい。
 
オリジナルの金属製の覆い、リザ(オクラドともいう)が付属し、立体的な頭光、セルギイの聖衣や手に持つポマンダー、両親を覆う布の柄等、細かく打ち出し鋳造されている。
*SOLD*