Archives アーカイヴスⅢ 【Works of Art〜美術工芸品】

Daum Nancy "Le Lièvre et la Tortue (La Fontaine Fables)" Miniature Glass Two Handled Bowl
ドームナンシー「ウサギとカメ(ラ・フォンテーヌの寓話より)」ミニチュアガラス双耳平鉢

c1898 Nancy France
1898年頃 ナンシー フランス
サイン : DAUM≠NANCY 絵付け師モノグラム
高さ:1.7cm 直径:4.5cm 
 
1890年代から1920年頃までのDaumのミニチュアガラス作品は特別な訓練を受けた職人のみが制作を許され、ミニチュア蒐集家に愛好された。クオリティの高いDaumのミニチュア作品は現代でも花瓶を中心に人気が高い。
 
オパールセントガラスにジヴレ(酸の腐蝕作用でガラス表面を荒らし霧氷模様をつけること)を施し酸化腐食彫りした上に黒エナメル(グリザイユ)で「ウサギとカメ」を細密に手描きした作品。後部には小花が描かれている。日本でもなじみ深いこの主題は、イソップ寓話などを基に17世紀フランスの詩人ラ・フォンテーヌ Jean de la Fontaine(1621-1695)が執筆した寓話集の一編である。ラ・フォンテーヌの寓話集は、子ども向けの童話としてだけでなくヨーロッパにおける重要なフランス文学の古典として親しまれ、Daumもこれを題材とした一連の作品を制作し蒐集家に好まれている。寓話世界を高い技術で極小のガラス器に凝縮したDaum作品である。
*SOLD* 

Pair of Buccellati Style Silver Furry Sparrows
ブチェラッティ・スタイル「ファーリー」銀製スズメ一対

Late 20thC Florence Italy
20世紀後期 フィレンツェ イタリア
刻印:925、879? FI
(右)長さ:5.2cm 幅:3.9cm
(左)長さ:4.6cm 幅:5.8cm
 
繊細な金細工によるルネサンス風デザインの宝飾品で有名なイタリアの名門ジュエラーブチェラッティは1919年の創業以来、常に伝統とそれを超越する職人の手仕事を追求した作品を生み出している。銀細工品も手掛けるブチェラッティが1970年代に独自に開発した技法で銀の毛皮や羽毛で全身を覆った動物フィギュアのファーリー・コレクションは、非常に大胆で印象的な質感が魅力である。長さの異なる銀のフィラメント(細い線)を一本ずつロウ付けして作る毛並みは、イタリア金属工芸の新手法として他の工房も追随しているが、 高度な職人技無くして作ることができないため粗悪な模倣品は数少ない。
 
ブチェラッティ「ファーリー」の技法を真似た銀のスズメ一対は、フィレンツェの別工房が製作した作品である。羽毛表現はもちろん嘴の表情、趾(アシユビ)や爪、羽根などの巧みさから、技量のある職人が手掛けたと考えられる。
*SOLD* 

Japanese Carved Tusk OKIMONO Cat and Beauty Statue
明治牙彫置物「猫と立ち姿美人」

Late 19thC (Meiji) Japan
19世紀後期 明治時代 日本
刻銘なし 高さ:8.8cm
 
日本における牙細工は江戸時代、根付や三味線の撥(ばち)の需要とともに工芸品としての高まりを見せる。しかし明治維新で日本人の生活が西洋化し、着物から洋服へと変わったことで根付の需要は減少し、彫刻職人は失業の危機を迎える。一方、1873年(明治6年)のウィーン万博以降、日本の牙細工は欧米で高く評価され工芸品の輸出が増加する。職を失った根付職人たちはその卓越した技術で欧米輸出向け牙工芸品の制作に方向転換する。
 
この牙彫もヨーロッパ向けに製作された作品で、着物の裾に猫が鎮座する美人の立ち姿である。江戸中期の浮世絵師 勝川春章の「仔猫に美人図」に着想を得た職人が、海外の蒐集家のために制作したものと思われる。銀杏返しに結った女の髪、手足の指、着物の柄やひだが精巧に彫刻されているが、女の着物の裾に陣取った猫の得意げな表情が秀逸である。
*SOLD* 

Pair of Silver Stork Umbilical Cord Tweezers
銀製コウノトリ臍帯ピンセット

Possibly 19thC Continental
おそらく19世紀 ヨーロッパ(英国を含まない)
判読困難な刻印
高さ:11.0cm 嘴部分長さ:5.4cm
 
赤ちゃんを運ぶコウノトリに蛇が巻き付く臍の緒用ピンセット。ハンドルを開くと片側のへこみ部分におくるみに包まれた赤子のレリーフが現れる。赤いカボションのガラス目を嵌めたコウノトリ、その足下にはトカゲが鎮座する。コウノトリは蛇などの害虫を食べることから、悪しきもの(蛇やトカゲ)から赤ちゃんを守護する意匠と伝えられる。嘴に巻き付く蛇の形状が臍の緒を表すとの説もある。
 
市場に頻繁に出回るアイテムでは無いため情報が少なく、分娩時に実用した医療器具であったかは定かで無い。コウノトリを立てて飾る仕様の凝ったつくりの銀細工であることから、上流階級の妊婦へのお祝いまたはお守りとしての贈答品と考えられる。
*SOLD* 

French Crystal Glass Tumbler with Enamel Inclusion of a Saint
フランスエナメル聖女入りクリスタルガラスタンブラー

Middle 19thC France
19世紀中期 フランス
高さ:9.0cm 直径:7.9cm
 
中央に盛り上げた凸状の楕円形パネル内部に聖女と天使を封じ込めた、重厚な鉛ガラス(クリスタルガラス)の筒型タンブラー。透明なガラス内部に包含された手描きエナメルを焼き付けた金の箔板は、2世紀近い時を経てなお色鮮やかな当時の状態である。19世紀半ば、成型時の熱いガラスにモチーフを埋め込むサルファイド技法を考案実践したガラス工房はごく限られ、当時制作されたものの多くはフランスを代表する一流工房バカラの作品である(他はクリシー、ベルシーなど)。
 
ガラス内部の薄い金の箔板のエナメル細工の十字架を持つ聖女は、髪型や衣装からマグダラのマリアと推定される(天使の持物の正体は不明)。時代を反映した聖女らの素朴な表情とは対照的な、金を使った聖女のマントの星模様やフリンジの驚くべき緻密さは、タンブラーが食器ではなく格調高い工芸品として制作されたことを物語る。
*SOLD* 

Gold Serpent Mounted Blonde Tortoiseshell Bookmark
ゴールド蛇装飾白べっ甲ブックマーク

Late 19thC France
19世紀後期 フランス
刻印 : 鷲の頭(18金)
長さ:11.0cm べっ甲 ゴールド サファイア ルビー ダイヤモンド
 
19世紀後半まで書物に挟むブックマーク(栞)は、シルクリボンや絹織物、皮革が主な素材であった。文字を読むことができる者は教育を受けた特権階級に限られていたが、1880年頃から印刷物の普及とともに本を読む者が増加しブックマークは細長い紙製が中心となった。
 
カボションサファイアを頭に戴きルビーの眼を持つ黄金の蛇が白べっ甲の薄板に巻きつく贅沢なブックマークは、袋綴じの頁を切り開く用途を兼ね備えた形状である。カメの甲羅から多く得ることができない斑の無い飴色の白べっ甲は、ヨーロッパでは「ブロンド」と呼ばれ特に珍重された。最高級の書斎小物である。
 
ギリシア神話で蛇は生命力や再生を表す動物とされ、1匹の蛇が巻きついた「アスクレピオスの杖」は医学の象徴である(杯に巻きついた「ヒュギエイアの杯」は薬学の象徴)。当時の医学関係者が所有した文具かもしれない。
*SOLD* 

Silver Photo Frame by Georg Adam Scheid
Georg Adam Scheid 銀製フォトフレーム

c1900 Vienna Austria
1900年頃 ウィーン オーストリア
刻印:ウィーン銀刻印(純度800)とG.A.S.(工房印)
幅:11.5cm
 
オーストリア=ハンガリー帝国の皇帝および国王のフランツ・ヨーゼフ1世(1848-1916)治世のウィーンでは、多くの建築が建設され、ブラームスがウィーン合唱団を指揮し、ヨハン・シュトラウスがワルツを奏でる舞踏会が催された。その豪華で優雅なサービスを愉しむためヨーロッパ各国から多くの王侯貴族が訪れた。
 
出身地ドイツで彫金の修業をした後、華やいだ帝都ウィーンに出て才能を開花させたGeorg Adam Scheid(ゲオルク・アダム・シャイト 1837-1921)は、世紀末から20世紀初めのウィーンを代表する金銀細工師の一人である。
 
複雑な姿態のプットーと薔薇の彫りやロカイユ装飾の透かし細工などを丁寧に作り込んだシルバーフレームは、マットな質感の鍍金で上品な仕上げである。フレーム裏は蝶番の蓋で開閉でき、イーゼル形式のスタンドパーツも流麗なロココ風デザインである。フレームの平凸のオリジナルガラスは片方のみで、一方は平ガラスに交換されている。
*SOLD* 

Royal Worcester "Japanesque" Bachelor Tea Set
ロイヤルウースター「ジャパネスク」バチェラーティーセット

1878-1894 England
1878-94年 イギリス
窯印および刻印:スタンダードマーク(紫とグリーン)
高さ:(ポット)15.5cm (シュガーポット)14.5cm (ミルクピッチャー)12.0cm (カップ)4.8cm (ソーサー)長さ:15.5cm 
 
1751年創業、1789年にイギリス国王ジョージ3世より王室御用達を認められて以来その称号を維持し続ける名窯ロイヤルウースター。19世紀半ば、万国博覧会に出品された東洋の美術工芸品に影響を受けたロイヤルウースターは、和洋を融合した斬新なデザインとそれを下支えする卓越した職人技で独自の作品を発表し多くの顧客を魅了した。
 
イギリスで「バチェラー」フランスで「エゴイスト」と呼ぶ一人用のティーセット。日本の伝統工芸である蒔絵漆箱に着想を得て生まれた独身貴族のためのティーセットは、英国王室の公式カラーロイヤルブルーを施した地色に角で仕切ったひとつの面に金を盛ったひとつの葉を大胆にデザインした上質な作品である。ティーポットに対し過大なサイズのシュガーポットとミルクピッチャーは、ヴィクトリア時代、高価で贅沢な砂糖とミルク(クリーム)をふんだんに用意できる裕福さの証として上流階級に好まれた仕様である。
 
1894年を示すティーカップの窯印から、1878年に成形し94年に装飾を施した作品と考えられる。装飾違いの同形のカップは市場で見かけるものの、この作品のような蒔絵風の装飾でセットものは珍しい。
*画像の銀製ニエロスプーンは別売りです
*SOLD* 

Bronze Cat and Horn Chimera Table Snuff Mull
ブロンズ猫/獣角キメラ卓上嗅ぎ煙草入れ(スナッフ・マル)

Late 19thC Austria
19世紀後期 オーストリア
刻印なし 高さ:29.5cm 幅:24.5cm
 
新大陸からヨーロッパに煙草がもたらされた時、葉に火を着け煙を吸い込む喫煙ではなく粉末を鼻で吸い込む嗅ぎ煙草が広まった。嗅ぎ煙草は18世紀に流行の頂点を迎え、上流社会では嗜みの作法も確立しその容器も様々な材質や細工で作られた。19世紀初頭スコットランド発祥とされる獣角(主に羊や牛の)本体に蓋を付けた形状の容器は特にスナッフ・マルと呼ばれる。
 
煙草が伝わった大航海時代のヨーロッパでは驚異の部屋(ヴンダーカマー)が王侯貴族の間で流行し、異国からの珍奇なもののひとつとして架空動物の標本やミイラ(作りもの)、巨大な巻貝や卵で作った調度品などが蒐集された。蓋である猫の頭はヴィエナブロンズ、首から伸びる体は雄牛の角、それらを支える鉤爪をもつ猛禽類またはドラゴンの大きな真鍮製一本脚をしたキメラ(合成生物)の姿のバロック的なスナッフ・マルである。奇怪とはいえつくりは上等で、変わった物好きの富裕層向けにオーストリアで作られたもので驚異の部屋を飾るにふさわしい。
*SOLD* 

Large Coral Branch /18ct Gold Pen
地中海珊瑚大枝/18金ゴールドペン軸

1879 France
1879年 フランス
刻印:鷲の頭(18金)、工房印 長さ:25.5cm
 
「邪眼(evil eye)」は、悪意を以て相手を見ることでその者に不幸または死をもたらす目のことで、呪いのひとつである。世界に広く分布する迷信であるが、古代よりヨーロッパでは地中海周辺での信仰が深い。メドゥーサが退治された時に海に散った血が赤い珊瑚となったという神話から珊瑚は魔除けの意味を持ち、ハプスブルグ家支配下の17世紀スペインで王室の子どもはお守りとして身に着けた。
 
大振りの枝珊瑚を18金で誂えたペン軸は、ゴールド部分にE Sの頭文字と共に"26 Décembre 1879"と刻まれ、オリジナルのケース蓋にも同じくE.S.のエンボスが施されている。自然が産んだ燃え上がる火炎のごとき珊瑚のフォルム、ペンを手にした時に感じる珊瑚独特のひんやりとした冷たさと重みは、他の素材では味わうことの出来ないものである。
 
珊瑚の枝を握る幼きアンヌ・ドートリッシュの肖像画(1602年)を彷彿とさせる美しい文房具。 現在地中海からの珊瑚の産出は汚染により激減しているため大変貴重である。
 
参考資料:[La infanta Ana Mauricia de Austria (Wikimedia)]
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Juan_Pantoja_de_la_Cruz_020.jpg
*SOLD* 

Tusk Holy Water Font with Crucifix
牙彫「キリストの磔刑」聖水盤

Late 18hC France
18世紀後期(台座部分は19世紀) フランス
サインなし 高さ:23.6cm
 
カトリック教会において司祭によって祝別された水は聖水と呼ばれ、洗礼やその他の秘跡に用いられる。教会では聖堂の入り口に大きな聖水盤を置いているが、信者の家庭では小さな聖水盤を壁に掛け、子どもやその母親が就寝前のお祈りの際などに指を浸し十字を切る習慣がある。
 
キリストの磔刑を表す牙彫の家庭用聖水盤である。キリストの頭上に「INRI(ユダヤ人の王、ナザレのイエスの意)」の罪状を掲げ、十字架の根元にゴルゴダの丘を示す髑髏を表している(ゴルゴダは髑髏の意、アダムの墓)。滑稽なほど巨大に表現した頭蓋骨に聖水を入れる仕様は珍しく、大変奇妙な作品である。十字架とキリストはひとつの牙から彫り出され(髑髏部分は接合)、繊細な手足の指や顔の表情、十字架から浮いた肉体に驚くべき職人技を感じさせる。キリストは、多くの磔刑図に見る交差した足の甲に一本釘を穿った姿ではなく両足の下に支えのある姿で表され、ベラスケスの絵画作品を彷彿させる。
 
この聖水盤は元々壁掛けであったが、後年獣骨で階段状の台座を作り、置き型に変えたものである。
*SOLD* 

Viennese Silver and Enamel Miniature Jug
Viennese Silver and Enamel Miniature Cradle by Rudolf Linke
ウィーンエナメル銀製ミニチュア・ジャグ
Rudolf Linke ウィーンエナメル銀製ミニチュア揺籃

Late 19thC Vienna Austria
19世紀後期 ウィーン オーストリア
(ジャグ)判読困難な刻印 高さ:1.5cm
(揺籃)刻印:ウィーン銀刻印(純度800以上)と工房印
長さ:6.0cm 高さ:8.6cm
エナメル 鍍金された銀 銅
 
オーストリア=ハンガリー帝国の皇帝および国王のフランツ・ヨーゼフ1世(1848-1916)治世のウィーンでは、多くの建築が建設され、ブラームスがウィーン合唱団を指揮し、ヨハン・シュトラウスがワルツを奏でる舞踏会が催された。その豪華で優雅なサービスを愉しむためヨーロッパ各国から多くの王侯貴族が訪れた。古典的な神話などを主題としたルネサンス風の装飾で作品全体を覆い尽くす凝ったつくりが特徴的なウィーンのエナメル細工は、ハプスブルク王家だけでなく贅沢な高級土産としてヨーロッパの裕福な顧客に好まれた。
 
蓋の付いたミニチュアのジャグは、屋外の貴婦人と貴公子を描いたロココ様式のリバイバルである。取手の部分にチェーンを通してペンダントとして着用する事が出来る。
 
自然の中で戯れるプットーを描いた揺籃は、上部にとまった銀細工のコウノトリ、その足下に天使、赤ちゃんがぶら下がる、ユニークなデザイン。天使の羽根はエナメルで着色され、細部まで丁寧な手仕事である。
 
高温で焼成するフランスやスイスのエナメル細工に比べやや脆いウィーンのエナメル細工であるが、二点とも損傷も無く大変良い状態である。 
*2点は別売りです
*SOLD* 

Carved Tusk ‘Memento Mori' Rosary Bead
牙彫「メメント・モリ」ロザリオ・ビーズ

Early 18hC South Germany or France
18世紀初頭 南ドイツまたはフランス
サインなし 高さ:3.4cm
 
カトリック教会における聖母マリアへの祈りとその際に用いる数珠状の道具を、薔薇の冠を意味する「ロザリオ」と呼ぶ。アヴェ・マリアと繰り返し唱えキリストの主な出来事を黙想するロザリオの祈りは、祈り方=珠の数え方が定められ、使用するロザリオも珠の数や形状が決められている。
 
「メメント・モリ」は「自分が死ぬことを常に忘れずに(今を生きよ)」という人生の警句で、古代には「今この瞬間を楽しめ」という趣旨で解釈されたが、中世以降のキリスト教文化圏では死後の魂の救済を説く上で「現世の儚さ、空しさ」が強調され、16~17世紀には死を象徴する意匠が流行し、ロザリオ・ビーズにも使われた。
 
上下に紐通し穴のある、3cm以上サイズの、荊冠を被ったキリストと髑髏のダブルフェイスの「メメント・モリ」ビーズは、聖職者のロザリオ用であったと思われる。このタイプのビーズは、珍品というほど稀少アイテムではないが、時代が古くサイズが大きめの作品は市場に出ることが少なく、この作品のようにキリストと髑髏、両面の顔立ちが良いものは珍しい。
 
キリストの鼻先に欠けあり。
*SOLD* 

Royal Worcester Blush Ivory Potato-Shaped Demitasse Cup & Saucer
ロイヤルウースター ブラッシュアイボリーポテト型デミタスカップ&ソーサー

c1901 England
1901年頃 イギリス
窯印:W&N、RGNo279123、スタンダードマーク
(カップ)高さ:4.7cm (ソーサー)長さ:11.0cm
 
1751年創業、1789年にイギリス国王ジョージ3世より王室御用達を認められて以来その称号を維持し続ける名窯ロイヤルウースター。数々の名品を生み出すロイヤルウースターは1900年頃、東洋の工芸品やフランスのアール・ヌーヴォーの影響を受け、珊瑚や貝殻、竹、葉など様々な天然素材の形を再現した器をブラッシュアイボリー(薄紅がかった象牙色)と呼ぶ独特な色と質感の磁器で制作して大成功を収める。
 
1901年の窯印が入ったユニークなデミタスコーヒー用のカップ&ソーサーである。ポテト型カップの外側全体はゴールドを吹きつけた微妙なグリーンで、着色を施さない白い芽だけ釉薬でツヤを出し質感を変えている。カップ内側はセピアのグラデーションを付けたマットなブラッシュアイボリー、口縁はゴールド。葉っぱ型ソーサーは、マットなグリーンとブラウンで葉脈までリアルに手彩色を施したおもてに、ツヤのあるブラッシュアイボリーの裏側は三つ足付きである。
 
奇抜なデザインは言うに及ばず、成形から色付けまで多大な手間を掛けて仕上げたカップ&ソーサーは芸術品と呼ぶにふさわしい。W&Nの窯印から特注品またはダブルネーム作品と考えられ、非常に珍しい。 
*画像のエナメルスプーンは付属しません
*SOLD* 

Carved Wood Skull and Carved Tusk Skull 'Vanitas'
19世紀木彫髑髏と18世紀牙彫髑髏「ヴァニタス」

Middle 19thC Probablly South Germany /Early 18thC South Germany or France 
(右)19世紀中期 おそらく南ドイツ サインなし 高さ:4.8cm
(左)18世紀初頭 南ドイツまたはフランス サインなし 高さ:4.4cm
 
ラテン語で空虚やむなしさを意味する「ヴァニタス」は、旧約聖書『コヘレトの言葉』"Vanitas vanitatum omnia vanitas"「なんという空しさ、なんという空しさ、すべては空しい」に由来する。東洋の無常観と共通する思想である。
 
ヨーロッパ美術における「ヴァニタス」は、「メメント・モリ」や「死の舞踏」同様、人生の儚さを暗示する、現世を生きる者にとって普遍的主題のひとつである。17世紀バロック期、オランダの静物画において好まれた題材であったが、象牙彫刻の盛んな南ドイツでは、死を象徴する髑髏作品が制作された。
 
下顎の無い髑髏2点は、飾り映えする大きさと手にした時の重量に満足感のある作品。繊細な木彫(セイヨウツゲ?)の髑髏は、手に取り眺め「死」に想いを馳せるために作られた純粋なヴァニタスである。先人が長い年月作品に触れることで生じた「なれ」の味わいのある牙彫髑髏は、牙の釘が穿たれた釘痕があり、元は大きなキリスト磔刑像の一部分であった可能性がある。
*SOLD* 

Georgian Masonic Symbols Miniature Work
ジョージアンフリーメイソン・シンボルミニチュア細工

c1800 England
1800年頃 イギリス
額:10.4 x 4.1cm イメージサイズ:直径4.1cm 
 
フリーメイソンリーは、博愛、自由、平等の実現を目指す世界規模の友愛団体である。しかしその起源は、石工職人組合、薔薇十字団、テンプル騎士団と諸説あれど謎に包まれ、活動内容も不明確なため、世界を影で操る怪しげな秘密結社のイメージがつきまとう。18世紀、カトリック教会が強力なフランスなどでは、フリーメイソンは危険思想として迫害され闇に隠れざるを得なかったと云われる。
 
直径4cm程の黒い円板に、プロビデンスの目(神の全能の目)とモザイク舗床(ソロモン神殿の床)を顔料で手描きした上に、細く縒った金色のワイヤー、白蝶貝や模造真珠などで作った様々なメイソン・シンボルを入念に配置した精緻なミニチュア細工である。
 
壁に掛けられるオリジナルの楕円形額に納められているが、単に装飾を目的とした工芸品ではなく、フリーメイソンの概念を学ぶための教材「トレーシング・ボード」の用途を兼ねて制作されたと考えられる。小さな円の中にフリーメイソンの秘密と世界観を閉じ込めた大変珍しいジョージ王朝時代の作品である。
*SOLD*

Cristalleries de BACCARAT Engraved Narcissuses Crystal Glass Vase
バカラガラス工場グラヴュール水仙文クリスタルガラス花生け

c1900 France
1900年頃 フランス
刻印:バカラ円形マーク(ブロンズ台座に) 高さ:31.5cm
 
1764年ルイ15世から工場設立を許可されて以来250年以上の歴史を持つクリスタルガラスの最高峰バカラは、19世紀のパリ万博において3度に渡り金賞獲得を果たす。19世紀後期にはテーブルウェアとは別に、中国の水晶彫刻など万博に出品された東洋工芸品の影響を受けた東洋趣味の芸術作品を制作する。
 
この花瓶はその時代の作品で、透明で厚みのあるガラスに沈み彫りで水仙を描いている。金彩やエナメルに頼らず巧みな彫りの技のみを誇示しつつも、四角柱をなすガラス面全てに花を彫らず余白を残したデザインが、非常に日本的で幽玄でさえある。シンプルなブロンズ台座がガラス細工の見事さをより強調している。ブロンズ部分にバカラ商標刻印のある珍しい作品。
*SOLD*

Carved Tusk Skulls 'Vanitas'
牙彫髑髏「ヴァニタス」

Early 18thC Probablly South Germany /Early 18thC South Germany or France
(右)18世紀初頭 南ドイツまたはフランス サインなし 高さ:4.7cm
(左)18世紀初頭 おそらく南ドイツ サインなし 高さ:3.7cm
 
ラテン語で空虚やむなしさを意味する「ヴァニタス」は、旧約聖書『コヘレトの言葉』"Vanitas vanitatum omnia vanitas"「なんという空しさ、なんという空しさ、すべては空しい」に由来する。東洋の無常観と共通する思想である。
 
ヨーロッパ美術における「ヴァニタス」は、「メメント・モリ」や「死の舞踏」同様、人生の儚さを暗示する、現世を生きる者にとって普遍的主題のひとつである。17世紀バロック期、オランダの静物画において好まれた題材であったが、牙彫刻の盛んな南ドイツでは、死を象徴する髑髏作品が制作された。
 
これら2点の牙彫はその流れを組むもので、下顎のある髑髏は細密な彫刻で、嗤う死神を連想させる作品。一方の下顎の無い髑髏は、先人が長い年月作品に触れることで生じた「なれ」の味わいのある、眼窩の虚空に空しさを覚える作品である。
*SOLD* 

Small Carved Relief Head of St. John the Baptist
牙レリーフ「洗礼者ヨハネの首」

c1890 France
1890年頃 フランス
サインなし 彫刻本体:3.1 x 5.3cm 木製額:7.5 x 10.4 x 1.9cm
 
神の子イエスに洗礼を施し預言者でもあった洗礼者聖ヨハネの首を、踊りの褒美に望んだヘロデ王の義娘サロメは、新約聖書の福音書に僅かな記述が残るだけの人物である。しかし男の首を載せた盆を掲げる少女という異様性はルネサンス期以降芸術家たちのインスピレーションを強く刺激し多くの作品が生まれてきた。
 
19世紀後半の世紀末芸術の流れの中でも好まれた主題であり、ギュスターヴ・モローの絵画やオスカー・ワイルドの戯曲(ビアズレイの挿画)等が評判を呼んだ。この牙彫作品はそのような風潮の中つくられた世紀末芸術のひとつである。
*SOLD*

Gabriel Argy-Rousseau Pâte de Verre Glass Plaque “Vierge de Lys”
アルジー=ルソーパートドヴェール プラーク『百合の聖母』

c1925 France
1925年頃 フランス
サイン:ARGY 高さ:10.3cm(フレーム込み)
ニッケル鍍金オリジナルフレーム
 
「パートドヴェール」は鋳型にガラスの粉を敷き詰め炉に入れて熔融成形するガラス工芸技法のひとつで、古代に途絶えた技術をフランスアールヌーヴォー期のガラス作家が復活させたものである。この時代のパートドヴェール作品は、ガラスの練り粉を粘土のように操い生まれる複雑な色合いと個性豊かな造型が特徴で、ガラス工芸の域を超越した芸術と呼ぶにふさわしいものであった。
 
ガブリエル・アルジー=ルソー(1885-1953)は、パートドヴェール作家の第一人者で、多くの人気作品を世に送り出した。彼が手掛けた ”Vierge de Lys(百合の聖母)”は、フレーム入りの宗教的主題のガラスプラークのシリーズのひとつである。薄く透明感のある背景に象牙色の百合の花と聖母の横顔が、繊細で優美な印象を与える作品である。
*SOLD*

René Lalique Frost Glass Sculpture "CHAT ASSIS No.1208"
ルネ・ラリック フロストガラス彫像 “CHAT ASSIS(座る猫)No.1208"

1932 (Model Designed) France
1932年(原型デザイン) フランス
サイン:R. LALIQUE FRANCE(ステンシル) 高さ 21.0cm
 
ガラス作家ルネ・ラリックが1932年に原型を制作した、重量3kgを超す無垢ガラスの猫の彫像である。猫の毛並みを刻んだ表面を艶消しで仕上げた分厚いガラス素地は、光線の加減で表情が変化し、立体彫刻の魅力を伝える。
 
ルネ・ラリックの死後、息子マルクは、ルネの2倍の酸化鉛をガラスに含有させ、透明度の高いクリスタルガラスに素材を一新し、現代のラリッククリスタル社の礎を築いた。
 
"CHAT ASSIS"は、ラリッククリスタル社が現在も製産を続ける型であるが、ルネ・ラリック時代の本作品は、クリスタルガラスのクールでモダンな硬質さと比べて温もりのあるガラス素地が、彫りの陰影を映し出し、猫の生命感を表している。
*SOLD*

Set of 3 Framed Carved Relieves "Theological Virtues"
額入り牙レリーフ「神学の徳」3点揃い

Late 19thC France
19世紀後期 フランス
サインなし 額:9.0 x 8.0cm
 
キリスト教における神学的徳「信仰」「希望」「慈愛」を象徴的に表した、揃いの獣牙の浮き彫り(レリーフ)作品。キリスト教信者にとって大切な徳をいつも心がけるよう部屋に飾るための細工品。凸状のガラスを嵌めた楕円形の黒塗木製額に納められている。 
 
信仰(Faith):聖杯と葡萄(葡萄酒=キリストの血)、ホスチア(パン=キリストの肉)で聖餐(聖体)を表している。神に対する徳
希望(Hope):十字架とリボンで結んだ麦の束(パン=キリストの肉体)、鳩(希望の象徴)。自分に対する徳
慈愛(Charity):十字架、茨の冠と聖心、麦と頭文字J(イエス・キリスト)、薔薇の花と頭文字M(聖母マリア)。イエスは磔にされ自らの命を献じることで、人類の罪を償い、救いをもたらした。人に対する徳
*SOLD* 

Manufacture Nationale de Sèvres Biscuit Porcelain Bust "Floraison" by Ichiga NUMATA
国立セーヴル陶磁器製作所/沼田一雅白磁ビスク胸像 “Floraison(花盛り)"

1927 France (Model 1905)
1927年 フランス(1905年 原型)
刻印:SEVRES、MADE IN FRANCE、S 1927 IN?、IF、ぬま田 高さ:17cm
 
18世紀ルイ王朝の庇護を受け王立窯となったセーブル陶磁器製作所は、華麗なロココ趣味の名品を多数生み出し、フランスをヨーロッパ文化の頂点に押し上げた。革命後ナポレオンによって国立となったセーヴル窯は、帝政(アンピール)様式の作品、19世紀半ば以降の万博向けの作品と、常に伝統と新しさを融合した高級磁器を作り続け現在に至る。
 
様々な技法によるセーヴル作品のなかのひとつに彫刻原型の白いビスク(素焼き)像がある。マリー・アントワネットやナポレオン・ボナパルトのビスク胸像は繰り返し復刻され、世界各国の美術館にも収蔵されている。
 
彫刻家沼田一雅(1873-1954)は、1903年に渡仏、国立セーブル陶磁器製作所に入所し、石膏型を使って成型する西洋陶磁の製作方法を学び日本に伝えた。ビスク胸像という西洋的手法で純和風の少女を表現した本作品は、1905年に沼田がセーヴルのために彫刻原型を製作した。涼やかな面差し、結髪と髪飾り、着物の柄ー浮世絵から抜け出した様な少女像に、当時のフランス人は新鮮な美を見たであろう。
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Russian Silver Repoussé Bogatyr Warriors Vodka Cup
ロシア銀製「ボガトゥイリ(勇士)」ウォッカカップ

Early 20thC Moscow Russia
20世紀初頭 モスクワ ロシア
刻印:KOKOSHNIK(1908-1917、モスクワ、銀純度875)、MT (工房印)
高さ:6.0cm
 
「ブィリーナ」は古くから民衆の間で口承で語り継がれてきたロシアの英雄叙事詩で、ロシアの民族や国土を守って敵と戦う英雄たちを主人公としている。19世紀に入ってから研究が進み、多くのロシアの芸術家がブィリーナを題材に音楽や絵画を創作した。
 
この作品は、19世紀中期から好まれたブィリーナからの主題であるボガトゥイリ(中世の勇士)をルプセ技法によって打ち出したウォッカカップである。帝政ロシア時代後期の美術工芸品の特徴でもある木で出来たオリジナルケースに入っている。ロシアのアンティーク作品を扱うロンドンの有名骨董店Wartskiの古い説明書付き。
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Palais Royal Mother-of-Pearl Aide Mémoire
パレロワイヤル白蝶貝備忘録(エドメモワール)

c1820 Paris France
1820年頃 パリ フランス
刻印なし 7.1cm x 5.0cm 白蝶貝 オルモル 絹 紙
 
18世紀後期、オルレアン公ルイ・フィリップ2世は自宅であったパレロワイヤル中庭の回廊を商店街に改装して民衆に開放した。一時革命の政治拠点ともなったが、帝政時代はパレロワイヤル(王宮)の名にふさわしい高級商店が軒を連ね、世界中から多勢の王侯貴族が従者を引き連れて訪れた。彼らはフランスの力と富に感銘を受け、高級な土産品を買い求めて帰国し、それらの品々は各地で流行の先端となった。
 
この手帳もそのひとつで、パレロワイヤル作品の特徴であるエナメル・パンジーのメダイヨンの付いた白蝶貝のパネルは "Souvenir"の文字と文様がグラヴュールされ、それを縁取る金色のオルモル(銅と亜鉛の合金)枠は、オリジナルのペンシル上部にまで繊細な打ち出しが施されている。内側はピンク色のシルクサテンでライニングされたノート(紙)とポケットがある。ノートは取り外してレフィルと交換できた模様。
 
紙のメモ帳をエドメモワールと呼ぶが、この作品はパレロワイヤルという話題性と高い品質でカルネドバル(舞踏会の手帳)としても活用されたと思われる。
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Dominique Alonzo Bronze /Tusk Female Bust Cast by Louchet Foundry
ドミニク・アロンゾ ブロンズ/牙彫刻女性像 Louchet鋳造所

Early 20thC Paris France
20世紀初頭 パリ フランス
刻印:DA、PARIS /LOUCHET /CISELEUR 高さ:7.8cm
 
中世風の衣装に身を包み、物憂げな表情をした女の胸像。白い女の顔は手彫りの獣牙、女の髪や衣装はパチネを施したブロンズで、マントのドレープや帽子の飾りまで繊細に表現され、小像ながら非常に味わい深い作品である。
 
フランスの彫刻家ドミニク・アロンゾは、20世紀初めアールヌーヴォーからアールデコへ美術様式が変化する時代において、神秘的な女性像を好んで制作した。一般にブロンズ像は複製が容易く制作年代の見分けが困難であるが、この作品は作品自体の出来はもとより、当時パリで操業していた Louchet Ciseleur鋳造所の刻印がある。20世紀初頭のパリで彫刻家(原型師)と鋳造職人が最高の作品を目指して連携する姿を想像すると胸に迫る。 
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Embriachi Workshop Bone Panels "Judgement of Paris"
エンブリアキ工房獣骨パネル「パリスの審判」

15thC Baldassarre degli Embriachi Venice Italy
15世紀 ヴェネツィア イタリア
サインなし 額:14.6cm x 13.7cm  獣骨(カバの牙とも云われる) 象牙 木
 
初期ルネサンスのヴェネツィアとフィレンツェを拠点に活動したエンブリアキ工房のボーン彫刻作品。額縁は象牙を嵌入した寄木細工となっている。
 
黄金の林檎を差し出す女神エリスとトロイア王子パリスの前で美を競う3人の女神を描いたギリシア神話「パリスの審判」である。王子パリスが愛の女神ヴィーナスを選んだことからルネサンス期には、多くの女の中で花嫁を選び取った花婿を讃える意味を込め、婚礼の調度品や祝いの品に好んで描かれた主題である。
 
エンブリアキ工房は婚礼用の匣(美術館所蔵)も製作しており、おそらくこの作品も婚礼祝いとして注文、製作されたものと思われる。
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Silver Mounted Mother-of-Pearl Carnet de Bal
白蝶貝の表紙付き舞踏会の手帳(カルネドバル)

c1880 France
1880年頃 フランス
刻印 : 猪の頭(純度800)、AE(工房印)
10.1cm x 6.6cm 白蝶貝 銀 磁器 獣牙 絹
 
映画の題名にもある「舞踏会の手帖」は、貴婦人が舞踏会に持参して踊る相手の名前を曲目ごとに書き留めるための手帳のことである。逢い引きの予定等も記したというこの手帳は、そのドラマ性に加え、着用するローブドバル(舞踏会用ドレス)や宝飾品に見合うよう細工の凝ったものが多く、欧米では蒐集家も多い。
 
銀で装飾された愛の使者クピドの陶板を嵌めた白蝶貝の表紙に6枚の牙板と小さなペンシルが組み込まれているこの手帳は、牙板に僅かに筆跡が残っており、百年以上昔の愛の物語を秘めたオブジェとなっている。
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Dieppe Carved Tusk Child Asleep
ディエップ牙彫「眠れる幼子」

c1880 France
1880年頃 ディエップ フランス
サインなし 長さ:10.7cm
 
フランスノルマンディー地方、イギリス海峡の港町であるディエップでは、古くから西アフリカ海岸より地元の動物の牙と彫刻技術が輸入され多くの細工品が作られた。17世紀バロック期以降、牙彫の需要が高まり、ディエップは細工の中心地となる。
 
眠っているこどもを主題とした作品は、古代ギリシャ時代のブロンズ像「眠るクピド」(メトロポリタン美術館蔵)をはじめカラヴァッジョやムリーリョら多くの芸術家がクピドや幼子イエスとして表している。純真無垢な表情は見る者の心を和ませる普遍の主題といえる。この作品は掌にのせられるサイズとヴォリュームがあり、軽く開いた口や手足の指と行った細部まで見事に表現されている。
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