Works of Art〜美術工芸品図録40
Royal Worcester "Japanesque" Bachelor Tea Set
ロイヤルウースター「ジャパネスク」バチェラーティーセット
1878-1894 England
1878-94年 イギリス
窯印および刻印:スタンダードマーク(紫とグリーン)
高さ:(ポット)15.5cm (シュガーポット)14.5cm (ミルクピッチャー)12.0cm (カップ)4.8cm (ソーサー)長さ:15.5cm
1751年創業、1789年にイギリス国王ジョージ3世より王室御用達を認められて以来その称号を維持し続ける名窯ロイヤルウースター。19世紀半ば、万国博覧会に出品された東洋の美術工芸品に影響を受けたロイヤルウースターは、和洋を融合した斬新なデザインとそれを下支えする卓越した職人技で独自の作品を発表し多くの顧客を魅了した。
イギリスで「バチェラー」フランスで「エゴイスト」と呼ぶ一人用のティーセット。日本の伝統工芸である蒔絵漆箱に着想を得て生まれた独身貴族のためのティーセットは、英国王室の公式カラーロイヤルブルーを施した地色に角で仕切ったひとつの面に金を盛ったひとつの葉を大胆にデザインした上質な作品である。ティーポットに対し過大なサイズのシュガーポットとミルクピッチャーは、ヴィクトリア時代、高価で贅沢な砂糖とミルク(クリーム)をふんだんに用意できる裕福さの証として上流階級に好まれた仕様である。
1894年を示すティーカップの窯印から、1878年に成形し94年に装飾を施した作品と考えられる。装飾違いの同形のカップは市場で見かけるものの、この作品のような蒔絵風の装飾でセットものは珍しい。
*画像の銀製ニエロスプーンは別売りです