Annexe11 【分室11】〜裁縫道具

Needle Case 針入れ(ニードルケース)

 

Palais Royal Mother-of-Pearl Hand Holding a Scroll Needle Case
パレロワイヤル白蝶貝彫刻「巻物を握る手」ニードルケース

c1820 France
1820年頃 フランス
刻印なし 長さ:8.4cm 白蝶貝
 
18世紀後期、オルレアン公ルイ・フィリップ2世は自宅であったパレロワイヤル中庭の回廊を商店街に改装して民衆に開放した。一時革命の政治拠点ともなったが、帝政時代はパレロワイヤル(王宮)の名にふさわしい高級商店が軒を連ね、世界中から多勢の王侯貴族が従者を引き連れて訪れた。彼らはフランスの力と富に感銘を受け、高級な土産品を買い求めて帰国し、それらの品々は各地で流行の先端となった。
 
当時真珠母貝の細工物はパレロワイヤルの名物として高い人気を誇っていた。この針入れは厚みのある良質な白蝶貝を使い「巻物を握った手」を立体的に彫り出した贅沢なパレロワイヤル作品である。
 

 

Palais Royal Tusk Bodkin Case Inset with Églomisé Miniature
パレ・ロワイヤルガラス絵入り獣牙紐通し針入れ

c1800 France
1800年頃 フランス
刻印なし 長さ:11.3cm 獣牙 ガラス 金属
 
18世紀後期、オルレアン公ルイ・フィリップ2世は自宅であったパレロワイヤル中庭の回廊を商店街に改装して民衆に開放した。一時革命の政治拠点ともなったが、帝政時代はパレロワイヤル(王宮)の名にふさわしい高級商店が軒を連ね、世界中から多勢の王侯貴族が従者を引き連れて訪れた。彼らはフランスの力と富に感銘を受け、高級な土産品を買い求けもめて帰国し、それらの品々は各地で流行の先端となった。
 
パレロワイヤル作品の特徴であるパンジーの花を描いたガラス絵のパネル付きのナポレオン帝政期の牙製針入れである。長さのあるかぎ針や紐通し針の収納に適したサイズのケースである。ケースの形は帝政(アンピール)様式らしくシンプルで、ガラス絵 verre églomisé エグロミゼ技法の金箔や細密な花の色を引き立てる。ガラス絵はケースの両面に施されているが片面は単調な絵である。
 

 

French Porcelain Lady's Arm Grasping Bunch of Grapes Needle /Bodkin Case
フランス磁器製「葡萄の房を持つ女の手」ニードルケース

c1880 France
1880年頃 フランス
刻印なし 長さ:10.2cm 磁器 白色金属
 
淡黄色に花地紋のドレスの袖から出た、黒いレース手袋を嵌めた貴婦人の手が葡萄の房を持っている形の磁器製の針入れである。小指に指輪まで描き込まれた女の手の表情が優美である。花レリーフの金属製蓋は蝶番により開閉でき、ケース内部は釉薬が施されている。窯印は無いが、18世紀のエナメルや陶磁器作品の写しを得意としたパリのサムソン工房の作品と思われる。葡萄の実と葉に一箇所極小の欠けあり。
 

 

Silver Neo-Renaissance Caryatid Needle /Bodkin Case
銀製ネオルネサンス・カリアティード・ニードルケース

c1870 France
1870年頃 フランス
刻印:うさぎの頭 判読困難な工房印 長さ:8.9cm
 
古代ギリシャの神殿建築で梁を支える女像柱をカリアティードと呼ぶが、この銀製ニードルケースは、ヴェールを被り目を閉じ微笑む女性(女神?)をカリアティード風にデザインしたものである。女の首飾りや髪飾り、植物など非常に精巧なつくりである。アンティークの紐通し針(ボドキン)一本が付属する。
 

 

Carved Tusk Smiling Baby Crochet Hook Case
牙彫 笑顔の赤子かぎ針入れ

Late 19thC France
19世紀後期 フランス
サインなし 高さ:11.5cm
 
19世紀ヨーロッパの上流階級の女性は、竜舌蘭の一種から作られた糸を用いて、ベッドカバーやテーブルクロスの縁飾り、装飾用の小さいドイリーやテーブルセンターを趣味と実益を兼ねて編んでいた(クロッシェ・レース)。この作品は、レース編みを楽しむ女性のために制作された、様々なサイズのかぎ針や小道具を収納するケースである。ボンネットとスタイを着けたにこやかな笑顔の赤ちゃんの牙彫は、出産祝いの贈り物であったのかもしれない。
 

過去の作品

Carved Tusk Dog Laying Down Needle Case
牙彫伏せ犬ニードルケース

 
c1830 France
1830年頃 フランス
サインなし 長さ:11.3cm 獣牙
 
19世紀の芸術分野におけるセンチメンタリズムを背景に、フランスでは"Fidélité(誠実)"を象徴する犬の意匠は贈答品など親しい者との交流の品に好まれた。犬毛の模様に見立てて獣牙の斑を生かし、伏せのポーズを取る犬の姿を彫り出したシャルル10世時代の針入れである。贅沢な手彫りの細工物は、上流階級の娘の嫁入り道具または「貴方に誠実である」ことを示す男性から女性へのラブトークン(愛のしるし)であった。傷みのない良い状態。
*SOLD*

Palais Royal Mother-of-Pearl Needle Case
パレロワイヤル 白蝶貝ニードルケース

c1820 Paris France
1820年頃 パリ フランス
刻印なし 長さ:8.5cm 白蝶貝 オルモル
 
18世紀後期、オルレアン公ルイ・フィリップ2世は自宅であったパレロワイヤル中庭の回廊を商店街に改装して民衆に開放した。一時革命の政治拠点ともなったが、帝政時代はパレロワイヤル(王宮)の名にふさわしい高級商店が軒を連ね、世界中から多勢の王侯貴族が従者を引き連れて訪れた。彼らはフランスの力と富に感銘を受け、高級な土産品を買い求めて帰国し、それらの品々は各地で流行の先端となった。
 
パレロワイヤル作品の特徴であるエナメル・パンジーのメダイヨンの付いた白蝶貝のニードルケースは、彫刻を施した贅沢なタイプ。ケース入り裁縫道具一式から解体されたものと思われる。フランス復古王制を象徴する工芸品のひとつと言えよう。
*SOLD* 

Carved Tusk Panier de Fruits Needle Case
牙彫 パニエド・リュイ ニードルケース

Late 19thC France
19世紀後期 フランス
サインなし 長さ:6.6cm 獣牙
 
林檎、葡萄、洋梨と葉の付いたもぎたて果実でいっぱいの籠を獣牙から細やかに彫り出したニードルケース。籠の編み目や葡萄の実に至るまで手抜きの無い丁寧な彫刻は圧巻である。豊饒を表すパニエドフリュイ(果物の籠)、手彫りの贅沢な細工物は、上流階級の娘の嫁入り道具と思われる。 
*SOLD*

Tusk Crochet Hook /Bodkin Case Inset with Micro-Carving Miniature
獣牙マイクロ彫刻画入りかぎ針/紐通し針入れ

c1810 France
1810年頃 フランス
サインなし 長さ:12.3cm 獣牙 ガラス カットスチール 合金 
 
かぎ針や紐通し針を収納できる長さのナポレオン帝政期の牙製ケースである。百分の数ミリの獣牙のマイクロ彫刻画で愛に燃える二つのハートに花冠を捧げるクピドを、片面にセピア顔料でGとSの頭文字を描いたケースは貴族の婚礼に関する品であったと推察される。 帝政(アンピール)様式のシンプルなデザインながら、ケース全体の規則的な縁取りは手彫りで、丁寧な作りとなる。
*SOLD*

LouisXVI Carved and Pierced Tusk Needle Case
ルイ16世時代牙透かし彫りニードルケース

Late 18thC Dieppe France
18世紀後期 ディエップ フランス
サインなし 長さ:8.0cm 獣牙 絹
 
繊細なレースの如く透かし彫りを施した獣牙の見事なロココ時代作品。収納する針が通り抜けないほど細かな透かしのニードルケースは、三段になっている上部の蓋はシンブル(指貫)、下部はテープメジャーとなっている。貴族の嫁入り道具のひとつで、二羽の鳥、クピドの矢筒、愛に燃える二つのハートなど婚礼を表す意匠が刻まれている。
*SOLD*

Palais Royal Mother-of-Pearl Needle Case
パレロワイヤル 白蝶貝ニードルケース

c1820 Paris France
1820年頃 パリ フランス
刻印なし 長さ:9.0cm 白蝶貝 オルモル
 
18世紀後期、オルレアン公ルイ・フィリップ2世は自宅であったパレロワイヤル中庭の回廊を商店街に改装して民衆に開放した。一時革命の政治拠点ともなったが、帝政時代はパレロワイヤル(王宮)の名にふさわしい高級商店が軒を連ね、世界中から多勢の王侯貴族が従者を引き連れて訪れた。彼らはフランスの力と富に感銘を受け、高級な土産品を買い求めて帰国し、それらの品々は各地で流行の先端となった。
 
パレロワイヤル作品の特徴であるエナメル・パンジーのメダイヨンの付いた白蝶貝のニードルケースである。ケース入り裁縫道具一式から解体されたものと思われる。フランス復古王制を象徴する工芸品のひとつと言えよう。 

*SOLD *

Silver Needle Case Depicting Girl Knitting and Cat by F. P. Lasserre
F. P. Lasserre 銀製「編み物をする少女と猫」ニードルケース

c1900 France
1900年頃 フランス
刻印:猪の頭(純度800) 判読困難な工房印 F.P.LASSERRE 長さ:6.7cm
 
熱心に編み物をする少女、少女の手元からのびる糸の先の毛糸玉に戯れる猫、フランスでは「クール・ド・マリー(マリアの心臓)」と呼ばれるケマンソウのハート形の花々、が7cmに満たない小さな容器に細密に表現されている。アールヌーヴォーからアールデコ期にかけてメダル芸術の第一人者であった彫刻家 F. P. ラセール Firmin-Pierre Lasserre(1867-1930)の作品。
*SOLD*

Silver-Gilt Neo-Renaissance Satyr Needle /Bodkin Case
鍍金銀製ネオルネサンス・サテュロス・ニードルケース

c1870 France
1870年頃 フランス
刻印:うさぎの頭 判読困難な工房印 長さ:8.2cm
 
幻獣など異形の生物と植物の曲線文様で装飾する美術様式グロテスクは、古代ローマを起源とし、ルネサンス盛期にグロッタ(人工洞窟)の流行とともに広まった。19世紀に新古典主義の影響から再び流行し、幻想的な意匠はのちのアールヌーヴォーなど世紀末芸術に影響を与えた。
 
グロテスク風装飾の銀製針入れは、精霊サテュロスが蓋の先端で妖しく嗤い、ケース全体を覆う植物文様のあわいにドラゴンや鳥を配した緻密なつくりである。アンティークの紐通し針(ボドキン)一本が付属する。
*SOLD*

Carved Tusk Hunter Top Chamois Horn Needle Case
牙彫ハンター/シャモア角・ニードルケース

Late 19thC France or Switzerland
19世紀後期 フランスまたはスイス
サインなし 長さ:11.8cm 獣牙 シャモアの角
 
シャモアの角に牙彫の装飾を施したニードルケースである。獣牙の蓋は、腕を組んで鉄砲を支えた帽子の男の意匠で、男の髭や上着からのぞくネクタイまで細かく彫刻されている。男の全身はわずか2.6cmである。牙部分の茶色顔料で着色された箇所は、牙の白と角の黒にバランス良く配色されている。繊細な彫刻の技巧と、それが破損せずに残されてきた時間を考えると奇跡的な作品といえる。
*SOLD*

Carved Wood Fish Hussif (Sewing Kit)
木製魚型裁縫道具入れ

Late 19thC Probably England
19世紀後期 おそらくイギリス
サインなし 長さ:15.4cm シナノキ ガラス
 
英語のHousewife(主婦)を意味する中世英語"Hussif"は、兵士も所持したボタン付けや繕いのための裁縫道具入れを指す。魚の頭の蓋を開けると魚の骨を思わせる糸巻きが現れる。糸巻き両端は花が彫刻され、片側の花の蓋を開けて針を収納する仕様となっている。ガラス目が象嵌されたユーモラスな魚の、大変珍しい作品である。
*SOLD*