Annexe11 【分室11】〜裁縫道具

Scissors 手芸鋏

 

Pair of Gold Mounted Scissors and Sheath
14金製ハンドル鞘付き手芸鋏

Middle 19thC Probably Austria
19世紀中期 おそらくオーストリア
刻印:猪の頭(オランダ輸入印)、585(14金)
長さ:9.2cm(鞘なし8.8cm) ゴールド スチール
 
向かい合わせの白鳥の金細工ハンドルと鞘が優雅な手芸用鋏。永遠の愛や忠実を象徴する白鳥モチーフは婚礼の祝いや嫁入り道具であることを示している。また鞘があることで、ネセセールなどのケース入り裁縫道具一式から解体されたものではなく元より単独で所有する贅沢品であったと言える。14金の打ち出し(ルプセ細工)から当時18金を好んだフランスやベルギーではなくオーストリア辺りの作品と考えられる。
 

 

Pair of Palais Royal Mother-of-Pearl Handled Scissors
パレロワイヤル 白蝶貝ハンドル手芸鋏

c1820 Paris France
1820年頃 パリ フランス
刻印なし 長さ:12.3cm 幅:4.9cm
白蝶貝 スチール 金色合金
 
18世紀後期、オルレアン公ルイ・フィリップ2世は自宅であったパレロワイヤル中庭の回廊を商店街に改装して民衆に開放した。一時革命の政治拠点ともなったが、帝政時代はパレロワイヤル(王宮)の名にふさわしい高級商店が軒を連ね、世界中から多勢の王侯貴族が従者を引き連れて訪れた。彼らはフランスの力と富に感銘を受け、高級な土産品を買い求めて帰国し、それらの品々は各地で流行の先端となった。
 
この鋏もそのひとつで、パレロワイヤル作品の特徴である白蝶貝に白鳥や花を刻み星形の透かし彫りを施したハンドルが見事である。永遠の愛や忠実を象徴する白鳥モチーフは婚礼の祝いや嫁入り道具であることを示している。また比較的大きなサイズで、ネセセールなどのケース入り裁縫道具一式から解体されたものではなく元より単独で所有する贅沢品であったと言える。大きく厚い白蝶貝の手彫り感の迫力は、フランス復古王制を象徴する工芸品のひとつと言えよう。
 

 

Pair of Silver Mistletoe Handled Scissors
ヤドリギ文銀製ハンドル手芸鋏

c1910 Paris France
1910年頃 パリ フランス
刻印 : 猪の頭(純度800)、判読困難な工房印 
長さ:10.0cm 銀 スチール
 
キリスト教以前の古代ケルトの祭司ドルイドが宗教儀式に用いた神聖な植物ヤドリギは、ヨーロッパ、特にアールヌーヴォー期の作家たちに好まれた意匠である。 ヤドリギ文様の細やかなレリーフの銀製ハンドルの手芸鋏。鋭い切先にぐらつきの無い鋏の刃は良好な状態である。
 

過去の作品

Pair of Art Nouveau Pierced Steel Scissors
アールヌーヴォー透かし細工スチール手芸鋏

c1910 Germany or France
1910年頃 ドイツまたはフランス
刻印なし 長さ:10.2cm スチール
 
透かし細工の流線が繊細で美しいスチール製手芸鋏。洗練されたデザインはもちろんのこと、鋼(ハガネ)とも呼ぶ鉄の合金スチールをこれほど軽やかに見せる職人技はこの鋏を刃物という道具を超え美術工芸の域に至らしめている。鋭い切先にぐらつきの無い鋏の刃は良好な状態である。
*SOLD* 

Pair of Steel Stork, Crow and Fox Scissors
コウノトリ、鴉と狐のスチール手芸鋏

Late 19thC France
19世紀後期 フランス
サインなし 長さ:9.6cm スチール
 
コウノトリとカラスを抱いた狐を左右非対称にかたどったスチール製の手芸鋏。鍛金で仕上げたスチールの動物の顔や羽根を線彫りした19世紀作品。20世紀に復刻したものではない。先人が長い年月作品に触れたことで刻んだ線が薄れ味わいを感じさせる。
*SOLD*

Pair of Steel Cat Scissors /Pair of Steel Stork Scissors 
猫とコウノトリのスチール手芸鋏

c1900 France /Mid 19thC Probably France
(猫)1900年頃 フランス
刻印なし 長さ:9.5cm 幅:4.0cm
(コウノトリ)19世紀中期 おそらくフランス
刻印なし 長さ:8.5cm 幅:3.8cm
 
スチールで動物をかたどった手芸鋏二点。猫好きの女性向けの鋏は、鋳造とはいえ猫の顔や体つき、縞模様の毛並みが巧みに表現され状態も良い。コウノトリ型は現代も量産されるが、これは19世紀半ばのもので、鍛金で薄く華奢に仕上げ羽根や足を線彫りしている。ハンドルに一箇所ヒビがあるが、刺繍糸への使用に問題はない。 
*2点は別売りです
*SOLD* 

Pair of Gold Handled Scissors by Auguste Belleau
オーギュスト・ベロー 18金製ハンドル手芸鋏

c1850 Paris France
1850年頃 パリ フランス
刻印 : 鷲の頭(18金)、A B(工房印) 長さ:9.1cm 幅:3.5cm
イエローゴールド スチール
 
19世紀半ばよりパリで活動していた金銀細工および宝飾工房オーギュスト・ベローの作品で、携行用ネセセールなどのケース入り裁縫道具一式から解体された手芸用の鋏である。18金のギョーシェ彫りの上に規則的な花文様を鏨で手彫りした彫金細工が見事な作品。 
*SOLD*

Pair of Victorian Silver Mounted Scissors and Sheath by Levi & Salaman
Levi & Salaman ヴィクトリアン銀製鞘付き裁縫

1883 Birmingham England
1883年 バーミンガム イギリス
刻印:純度950、1883年、バーミンガムを表す英国印、L&S(工房印)
長さ:12.3cm 銀 スチール
 
シャトレーヌは懐中時計や印章、裁縫道具等を腰帯(ベルト)から吊り提げるための装身具で、貴婦人がコルセットでウエストを強調していた18世紀に流行した。革命後、直線的なドレスの流行で廃れるが、王政復古とともにコルセットも復活しシャトレーヌも再び着用された。
 
シャトレーヌ用の鞘が付いた、ボタン付けや繕い向けの裁縫鋏である。19世紀後期イギリスでは、上流家庭の女主人に代わり食料庫の鍵や実用道具を、家政婦長がシャトレーヌに付けて着用したため、シンプルなものも多いが、この鋏は渦巻きを多用したロカイユ装飾の銀細工が贅沢な作品である。
*SOLD*