Annexe11 【分室11】〜裁縫道具

Sewing Set 裁縫道具一式

 

Palais Royal Cut-Steel Mounted Russian Calf Trunk Cased Sewing Tools
パレロワイヤル カットスチール/ロシアンカーフ トランク型ケース入り裁縫道具

Early 19thC Paris France
19世紀初頭 パリ フランス
刻印:指貫にAUSTRIA 9.8 x 5.2 x 4.0cm
スチール 革 絹 獣牙 獣骨 鍍金された金属
 
カットスチールで装飾した革製のトランク型ケースに納められた、ソーイングセット(指貫、針入れ、ピンホルダー、紐通し針、目打ち)である。柔らかな革は菱形柄の型押しロシアンカーフである。蓋上部に"Souvenir(想い出)"の文字が刻まれている。パレロワイヤル作品の特徴のひとつ、花の刺繍が施されたヴェルヴェットの針刺し、その中央に組み込まれた指貫は鍍金された銅製、他の道具は獣牙と獣骨製である。豪奢なパレロワイヤル作品と違い実用的な道具と言える。
 
オーストリア貴族がパリ土産として娘に贈ったのであろうか。使用感のある指貫はオーストリア製に替わり、本来付属したであろう鋏が欠損している。皮革や絹は200年近い経年を考えると妥当な状態。珍しいタイプのパレロワイヤル作品である。

 

 

NapoleonⅢ Leather Empty Étui (Case)
ナポレオン3世時代革製エテュイ(空ケース)

Middle 19thC Le Havre France
19世紀中期 ル・アーブル フランス
15.8 x 6.7cm 革 絹 金属
 
かつてフランス ル・アーブルの高級商店が上等な裁縫道具一式(指貫、鋏、針入れ、紐通し)を収めて販売した、革製の空のエテュイ(ケース)である。上蓋を飾る金の箔押しは、婚礼を表す意匠、花輪の中にリボンで結ばれたクピドの弓矢と二つの花籠で、裕福な若い娘の嫁入り道具として納品されたことを示す。蓋内側に"MAISON FONTAINE A.CHAMPION Sr 117.Rue de Paris LE HAVRE"の押印がある。道具がぴたっり収まるよう窪みをつけたヴェルヴェット。同形の道具をセットで探すことは諦め気に入りの道具を上手に収納またはディスプレイしたい。

 

過去の作品

Leather Nécessaire with Silver-Gilt Implements by Janvier Quercia
Janvier Quercia革製ボックス入り鍍金銀製裁縫道具一揃い(ネセセール)

c1900 Paris France
1900年頃 パリ フランス 
刻印 : 猪の頭(純度800)、J Q(工房印)
22.3x 11.3cm(ボックス)
皮革 真鍮 銀 スチール 鏡 絹
 
金の箔押し模様が美しいダークブラウンの革製ボックスに納められた、ソーイングセット(指貫、鋏、針入れ、紐通し針、目打ち、かぎ針、糸巻き2点、巻き軸2点)である。道具がセットされたトレイは取り外すことができ、下段に収納スペースがある。ボックスの取手と鍵穴およびオリジナルの鍵は繊細な彫刻で装飾された鍍金ブロンズ製である。主な道具は鍍金した銀製でルプセ技法により文様を打ち出している。アンティーク作品では紐通し(ボドキン)の欠損や「合わせ」の指貫(シンブル)であるものが多く、完全な一揃いは貴重である。この様な一式はネセセールと呼ばれ、教養として手芸をたしなむ貴婦人の必需品であった。
 
有名作家Janvier Querciaの工房印が全ての道具に銀刻印とともに打刻されている。イタリア出身の彼は19世紀後期にパリで店を構え、アール・ヌーヴォー様式の宝飾品やステッキの柄や文房具などの高級小物を制作販売した。ボックス内側に、当時この作品を販売した南フランスマルセイユの高級メゾンRacineの押印、メゾンのチケットが残る。 
*SOLD*

Rosewood Nécessaire with Silver-Gilt Implements by Baptiste Lorillon
バティスト・ロリヨン ローズウッドケース入り鍍金銀製裁縫道具一揃い(ネセセール)

c1855 Paris France
1855年頃 パリ フランス 
刻印 : 猪の頭(純度800)、B L(工房印)
11.6x 5.1cm(ケース)
ローズウッド 真鍮 銀 スチール 絹
 
ダークカラーのローズウッドに模様を刻んだ薄い真鍮板を象嵌した(ブール象嵌技法)ケースに納められた、ソーイングセット(指貫、鋏、針入れ、紐通し針、目打ち)である。各道具は葉飾り文様を手彫りした銀に鍍金を施した装飾である。全ての道具が揃いのグラヴュールという見応えのある彫金細工である。アンティーク作品では紐通し(ボドキン)の欠損や「合わせ」の指貫(シンブル)であるものが多く、完全な一揃いは貴重である。
 
19世紀初頭より金銀および宝飾細工師としてパリで活動し、後に高級裁縫道具の制作によって名を成すロリヨン家Baptiste Lorillon(バティスト)の作品である。この様な一式はネセセールと呼ばれ、教養として手芸をたしなむ貴婦人の必需品であった。 象嵌された真鍮線に若干のウキあり。
*SOLD*

LouisXVI Set of 3 Carved and Pierced Tusk Sewing Accessories
ルイ16世時代獣牙透かし彫り裁縫道具三点揃い

Late 18thC Dieppe France
18世紀後期 ディエップ フランス
サインなし (針入れ)8.6cm (糸巻き入れ)4.6cm (テープメジャー)3.9cm
 
繊細なレースの如く透かし彫りを施した獣牙の見事な三点揃いはロココ時代の作品である。収納した針が通り抜けないほどの細かい透かしのニードルケース(左)は、二段になっている蓋上部がシンブル(指貫)になっている。コットンバーレルとも呼ぶリール(糸巻き)ホルダー(中央)は、中に入れた複数の巻き糸の先端を、底の複数の穴から出すことで糸の絡まりを防ぐ容器である。テープメジャー(右)は中のテープリボンが欠損している。獣牙の天然のニュウが一本見られる以外は良好な状態。
*SOLD*

Rosewood Nécessaire with Silver-Gilt Implements
ローズウッドケース入り鍍金銀製裁縫道具一揃い(ネセセール)

c1850 France
1850年頃 フランス
刻印:猪の頭(純度800)、J M(工房印)
12.7 x 7.1cm ローズウッド 銀 スチール 絹
 
木目の美しいローズウッドに色の明るいサテンウッドで文様を象嵌したケースに納められた、ソーイングセット(指貫、鋏、針入れ、紐通し針、目打ち)である。各道具は鍍金した銀製でルプセ技法により文様を打ち出している。
 
アンティーク作品では紐通し(ボドキン)の欠損や「合わせ」の指貫(シンブル)であるものが多く、完全な一揃いは貴重である。スチール製の鋏や目打ちの刃は僅かな錆が見受けられるが、現在も使用可能である。この様な一式はネセセールと呼ばれ、教養として手芸をたしなむ貴婦人の必需品であった。
*SOLD*

Birdseye Maple Nécessaire with Silver-Gilt Implements
バーズアイメープルケース入り鍍金銀製裁縫道具一揃い(ネセセール)

c1850 France
1850年頃 フランス
刻印:うさぎの頭 13.0 x 7.2cm
バーズアイメープル 銀 スチール 鏡 絹
 
鳥の目のような円形の斑点、鳥眼杢(ちょうがんもく)のある高級木材バーズアイメープルのケースに納められた、ソーイングセット(指貫、鋏、針入れ、紐通し針、目打ち)である。各道具は鍍金した銀製でルプセ技法により文様を打ち出している。
 
アンティーク作品では紐通し(ボドキン)の欠損や「合わせ」の指貫(シンブル)であるものが多く、完全な一揃いは貴重である。スチール製の鋏や目打ちの刃は僅かな錆が見受けられるが、現在も使用可能である。鋏の下部に鏡が内蔵されている。この様な一式はネセセールと呼ばれ、教養として手芸をたしなむ貴婦人の必需品であった。
*SOLD*

Tusk Nécessaire with 18ct Gold Implements by Auguste Belleau
オーギュスト・ベロー 牙製ケース入り18金裁縫道具一揃い(ネセセール)

c1850 Paris France
1850年頃 パリ フランス 
刻印 : 鷲の頭(18金)、A B(工房印) 11.7 x 5.8cm(ケース)
獣牙 ゴールド スチール 真鍮
 
雲のような形の牙製ケースに納められた、ソーイングセット(指貫、鋏、針入れ、紐通し、目打ち)である。各道具は18金、ギョーシェ彫りの上に規則的な花文様を手彫りしている。同じ花文がケースの金具パーツにも手彫りされる凝りようである。19世紀半ばよりパリで活動していた金銀細工および宝飾工房オーギュスト・ベローの作品で、彫金細工が素晴らしい。
 
シンブル(指貫)のみ、揃いではなく「合わせ」であるが、同時代フランスの同じ技法による細工で違和感がなく、牙ケースにも収まっている。この様な一式はネセセールと呼ばれ、教養として手芸をたしなむ貴婦人の必需品であった。
*SOLD*

Tusk Nécessaire with 18ct Gold Implements by Auguste Belleau
オーギュスト・ベロー 牙製ケース入り18金裁縫道具一揃い(ネセセール)

c1850 Paris France
1850年頃 パリ フランス 
刻印 : 鷲の頭(18金)、A B(工房印) 10.0 x 5.4cm(ケース)
獣牙 ゴールド スチール 真鍮
 
楕円形の牙ケースに納められた、ソーイングセット(指貫、鋏、針入れ、紐通し、目打ち)である。各道具は18金に葉飾り文様を丁寧に手彫りしている。
 
アンティーク作品では紐通し(ボドキン)の欠損や「合わせ」の指貫(シンブル)であるものが多く、完全な一揃いは貴重である。この様な一式はネセセールと呼ばれ、教養として手芸をたしなむ貴婦人の必需品であった。19世紀半ばよりパリで活動していた金銀細工および宝飾工房オーギュスト・ベローの作品で、彫金細工が素晴らしい。
*SOLD*