Annexe 7【分室7】〜飾り小箱

Precious Metal and Gemstone 貴金属と宝石

 

A. Dubois Silver Niello Horseshoe Vesta Case
A. Dubois銀製ニエロ馬蹄型ヴェスタケース

c1880 France
1880年頃 フランス
刻印:白鳥、A.DUBOIS(工房印)
4.8 x 4.6cm 黒金 銀 白色金属
 
黒い唐草文様に覆われた銀製の馬蹄型ヴェスタケース。適度なサイズ感、厚みと重さが手に心地良い。文様の細工は、下地をあらかじめ彫り下げて作った銀の窪みに黒金(硫黄に銀、銅、鉛を加えた合金)を焼き付け研磨することの繰り返しで埋め、象嵌効果を生み出すニエロ技法である。西洋で馬蹄はラッキーシンボルとされ、上向きは幸運を溜め下向きは不運を落とすと云われる。釘7本で馬の蹄に蹄鉄を装着することからラッキー7を表し、このケースも7本釘を左右非対称にあしらったデザインである。
 
このケースはマッチを入れる箇所のほかに灯芯用の道管とこれを巻き上げる歯車が付く。当時開発された硝石を混ぜた綿ロープの灯芯を入れたと思われ、1920年代に広く普及するオイルライター以前の大変珍しい着火具のひとつである。
 

 

German Silver Lute Tabatière (Snuff Box) or Pill Box
ドイツ銀製リュート型タバティエールまたはピルケース

c1900 Pest Germany
1900年頃 ドイツ
刻印なし 長さ:10.0cm 銀(一部鍍金 )
 
中世からバロック期のヨーロッパで広く用いられた弦楽器のリュートをかたどった銀製ボックスである。自然の中で舞い遊ぶプットーと渦巻き(ロカイユ)模様を打ち出した(ルプセ細工)ミニチュアの古楽器は、18世紀の宮廷文化に強い憧れを抱く19世紀後期の貴族や新興ブルジョワ向けの作品であった。
 

 

BOSSARD Silver-Gilt Tabatière (Snuff Box) Set with Micromosaic Plaque
BOSSARD マイクロモザイク入り鍍金銀製タバティエール

Late 19thC Lucern Switzerland
19世紀後期 ルツェルン スイス
刻印:0.925、BOSSARD、工房の紋章
5.8 x 7.0 x 3.3cm 鍍金された銀 ガラス(モザイク部分) オニキス
 
細かなテッサラ(ガラス片)で花弁の色のグラデーションまでも表現した、ローマ製マイクロモザイクの円形板を箱蓋中央に嵌めた小箱。1889年パリ万博で金メダルの獲得を果たした、スイスの重要な金銀細工工房Bossard(ボサール)の作品である。蓋の内側から手彫り感が分かるほど深く刻まれたグラヴュールによる文様、縁周りのビーズ細工、全てが完璧な仕上がりである。
 

 

Austro-Hungarian Gem Set /Enamel Silver Tabatière (Snuff Box)
オーストリア=ハンガリー 貴石とエナメル銀製タバティエール

c1870 Pest Austro-Hungary
1870年頃 ペスト オーストリア=ハンガリー帝国
刻印:ペスト銀刻印(純度800)、?. L(工房印)、白鳥(フランス輸入印)
直径:7.2cm エメラルド ルビー 真珠 エナメル 銀(一部鍍金 )
 
オーストリア=ハンガリー帝国の皇帝および国王のフランツ・ヨーゼフ1世(1848-1916)治世のウィーンには、ヨーロッパ各国から多くの王侯貴族が訪れ、豪華で優雅なサービスを愉しんだ。オーストリア=ハンガリー帝国のエナメルや宝石を使ってルネサンス風の装飾を施した金銀細工は、ハプスブルク王家だけでなく贅沢な高級土産としてヨーロッパの裕福な顧客に好まれた。
 
現ハンガリーの首都ブダペストのドナウ川東岸ペスト(ペシュト)の刻印入り銀製タバティエール。流麗な植物文の打ち出し(ルプセ細工)と、色石と真珠を嵌めたエナメルモチーフの調和が美しい円形ボックスは、フランスやイギリスの作品とは違う重厚感と味わいがある。
 

 

Gem Set /Blue Glass /Enamel Silver Tabatière (Snuff Box)
貴石とブルーグラスのエナメル銀製タバティエール

Early 20thC Continental
20世紀初頭 ヨーロッパ(英国を含まない)
刻印:AV(オーストリア輸入印) 7.6 x 5.2 x 2.2cm
銀 ガラス エナメル エメラルド ルビー 真珠
 
ブルーグラス板の表面に貴石を嵌めた花かごの銀細工が美しいタバティエール。箱側面はガラスと色を合わせたロイヤルブルーのエナメルを施し、銀装飾部分は全て彫金で仕上げている。箱内部には鍍金が施されている。白エナメルに一箇所修復有り。
 

 

LouisXVI Vari-Colour Gold and Paste Pill Box
ルイ16世時代多色ゴールド/ペースト ピルケース

Late 18thC France
18世紀後期 フランス
刻印:ホタテ貝(14金)、20296、G(?)A、判読困難な刻印
3.5 x 3.3cmの楕円形 金 模造宝石(ペースト)
 
花を盛った古代風の壺と宙を舞うクピドの多色ゴールドによる浮き彫りをペーストで縁取った上蓋は、経年の手擦れによって彫りが甘くなり、18世紀の金細工の味わいが感じられる。側面の小さなパネルのパンジーの意匠からパレ・ロワイヤル作品と推定される。
 

 

Maison Bloch Eschwege Silver Pill Box
Maison Bloch Eschwege 銀製ピルケース

c1930 France
1930年頃 フランス
刻印:ミネルヴァ(純度950)、BE(工房印) 直径:5.0cm 銀(一部鍍金 )
 
鳥籠から小鳥を飛ばして遊んでいる3人のプットーを細かく打ち出し(ルプセ細工)したスターリングシルバーのピルケースである。箱の側面はガーランド(花綱)とリボンの装飾。古典的なロココ風の主題であるが全体にすっきりしたデザインで洒落ている。内側は鍍金が施されている。1921年から46年までパリで宝飾品や銀製品を取り扱っていたBloch Eschwegeの作品である。
 

 

Japonism Sparrows Silver-Gilt Pill Box
ジャポニズム雀文鍍金銀製ピルケース

c1880 France
1880年頃 フランス
刻印なし、草書風サイン(読解不能)
2.2 x 3.3cm 鍍金された銀 白蝶貝
 
浮世絵の構図の如く日に向かって飛び立つ二羽の雀を描いたフランス製ピルケースは、その仕様までも日本の文箱を縮小したような作りである。下地を彫り下げモチーフを浮き上がらせた上蓋表面や、隈なく施した石垣模様の箱側面、枝葉の向こうに飛ぶ鳥の図を線彫りした底面まで、鏨(タガネ)による手彫りだけで丁寧に仕上げられている。19世紀フランスの職人が日本美術に影響を受け独自の解釈で世に送り出した貴重な細工物である。
 

 

CARTIER LONDON 9ct Gold Cigarette Case
カルティエ・ロンドン 9金シガレットケース

1948 London England
1948年 ロンドン イギリス
刻印:9、375、N(1948年)、ロンドン印、J.C(ジャック・カルティエ印)
グラヴュール:Cartier London 15.3 x 8.0 x1.0cm イエローゴールド(9金)
CARTIERオリジナルケース入り
 
英国製ゴールド作品に多く見られる9金(18金の半分の純度)のカルティエのシガレットケースである。1939年第二次大戦の勃発でカルティエ・パリと別経営となっていたカルティエ・ロンドンが自国の富裕層向けに製作した作品となる。垂直にリブ・パターンを施したケースの中央に、平原インディアンの勇敢さを示す勲章、羽冠(war bonnet)の意匠があしらわれている。相当な重さから携帯用ではなく自室で使用するためのケースと考えられる。
 

過去の作品

Late Victorian Sterling Silver Stamp Box
ヴィクトリアン銀製スタンプ・ボックス(切手入れ)

1897 London England
1897年 ロンドン イギリス
刻印:純度950、1897年、ロンドンを表す英国刻印、C.D(Charles Henry Dumenil 工房印)
10.5 x 6.8 x 2.5cm 銀(一部鍍金)
 
世界最初の郵便切手は、1840年にイギリスで発行された、ペニー・ブラック(Penny Black)と呼ばれるヴィクトリア女王の横顔を描いた黒い切手である。19世紀後半までは文字を読み書きできる者は教育を受けた王侯貴族などの知識階級に限られ、郵便や書簡にまつわる贅沢な文房具を有することは特権階級のステータスであった。
 
森を思わせる古典的な渦巻き文様の中に、弓矢と笛をそれぞれ手にした2人のプットーとウサギ、リス、小鳥、フクロウを細かく打ち出した(ルプセ細工)スターリングシルバーの切手用小箱である。箱の縁は切手のミシン目をイメージした意匠で、非常に洒落ている。二段に分かれた取り外しできる内部の上段は、種類の異なる切手を選別して納められるよう、三つに仕切られている。内側は鍍金が施されている。
*SOLD* 

French Silver Niello Tabatière (Snuff Box) or Pill Box
フランス銀製ニエロ細工タバティエールまたはピルケース

c1835 France
1835年頃 フランス
刻印:ヴィエイヤール(純度950)、マスク、キリンの頭、判読困難な工房印
3.5 x 6.2 x 1.2cm 黒金 銀(一部鍍金)
 
黒い唐草文様に隈なく覆われた銀製の小箱、角の丸いマッチケース程度の薄さとサイズ感、適度な重みが手に心地良い。文様の細工は、下地をあらかじめ彫り下げて作った銀の窪みに黒金(硫黄に銀、銅、鉛を加えた合金)を焼き付け研磨することの繰り返しで埋め、象嵌効果を生み出すニエロ技法である。豪華な派手さはないが手間を掛けた贅沢なつくりは、革命後の貴族のお供にふさわしい作品であった。内側は鍍金が施されている。
*SOLD* 

Maison CHANTELOUP Silver Cigarette Case Applied with Gold Initials, Emblem and Sapphire
メゾン・シャンルー サファイア、頭文字と紋章付きの銀製シガレットケース

c1935 Paris France
1935年頃 パリ フランス
刻印:ミネルヴァ(純度950)、JC&Cie?(工房印)
グラヴュール:CHANTELOUP PARIS
12.1 x 8.0 x 1.0cm 銀 金 サファイア
 
水平リブ・パターンの銀製ケース上蓋にカボションカットサファイアとゴールドの頭文字SMと紋章を付けたシガレットケース。ケース内側に"Arnold Marcelle"の姓名が刻まれていることから、紋章はMarcelle家のもので、Arnoldから頭文字Sの家族への贈り物であったことが窺える。ケース底部に直径4mmのゴールドのボール状の脚がつき、携帯用ではなく卓上に置くためのケースと考えられる。
*SOLD*