Annexe12【分室12】〜銀食器

Other Countries Silver 他の国の銀食器小物

 

Frank M. Whiting Co. Silver Demitasse Cup & Saucer with Lenox Liner (Stock 5)
Lenox/Frank M. Whiting Co. シルバーデミタスカップ&ソーサー(在庫5) 

c1920 Massachusetts U.S.A. 
1920年頃 マサチューセッツ アメリカ合衆国
刻印:STERLING、7990、工房印
(カップ)高さ:6.5cm (ソーサー)直径:8.2cm
 
1889年設立のレノックスは、20世紀初頭にボーンチャイナで成功をおさめ現在まで6人の米国大統領のための食器を製造しホワイトハウスで使用されている。1920年頃、多くのアメリカのシルバーメーカーによって様々なデザインでレノックスの白いカップに銀製ホルダーとソーサーを組み合わせたデミタスコーヒー碗皿が製作された。
 
Frank M. Whitingによるこの作品は数ある銀製ホルダーとソーサーの中で群を抜いて美しく花紋様の透かし細工が見事である。濃いコーヒーを白いカップに注ぎ流麗な銀装飾を愛でる時間を楽しみたい。色のあるエナメルスプーンが調和する。
 
*1客ずつの販売です
*プリカジュールスプーンは別売りです

 

Marius Hammer Silver-Gilt Plique-à-Jour Enamel Spoon
マリウス・ハマー 鍍金シルバー プリカジュールエナメルスプーン

c1900 Bergen Norway
1900年頃 ベルゲン ノルウェー 
刻印:900、MH(工房印) 長さ:16.0cm
 
ノルウェー金銀細工師の3代目マリウス・ハマー(1847-1927)は修行の後に自分の工房を立ち上げ、フィリグリー(銀線細工)にエナメルを施すノルウェー伝統の技法と現代的なデザインを融合した装身具や高級工芸品で大成功を収めた。多くの職人を抱え各国の王室と取り引きするなど重要なノルウェー芸術家のひとりである。
 
教会のステンドグラスを思わせる多色使いが美しいプリカジュールエナメル(透胎七宝)のスプーン。実用の食器ではなくノルウェーの伝統工芸品あるいは有名作家の作品として鑑賞向きに制作されたものである。繊細な細工であるが状態は良好。光を透すエナメル越しに変化する色の表情を楽しみたい。
 

 

Reed & Barton Silver Baby Birth Record Spoon
リード&バートン シルバー ベビー誕生記録スプーン

c1948 Massachusetts U.S.A. 
1948年頃 マサチューセッツ アメリカ合衆国
刻印:STERLING、工房印
長さ:15.5cm
 
欧米では家の煙突にコウノトリが巣を作ると幸運(=赤ちゃん)が訪れると伝えられる。赤ちゃんを大切に翼に抱え煙突に留まるコウノトリのハンドルに、ボウルに時計をデザインしたシルバースプーンは、アメリカの老舗銀器メーカーリード&バートンによるものである。
 
この誕生記録スプーンは数十年にわたる同社の人気商品であった。ボウル部分に生まれた子どもの名や生年月日、身長体重が手彫りされている。熟練者の風情漂う眼鏡のコウノトリの表情や細やかな羽根表現がハンドル裏側まで及ぶ凝った銀細工である。このスプーンは子どもが使うことがなかったようで非常に良い状態である。
 

 

Pair of Georg JENSEN "Acanthus" Silver Ice Tongs by Johan Rohde
ジョージ・ジェンセン「アカンサス」シルバー アイストング

1945-77 Copenhagen Denmark
1945-77年 コペンハーゲン デンマーク
刻印:GEORG JENSEN(1945-77)、STERLING DENMARK(純度925)長さ:14.6cm
 
ジョージ・ジェンセンのためにヨハン・ロード(1856-1935)が1917年にデザインした「アカンサス(別名ドロンニン)」シリーズは、長きにわたり定番商品であったが2004年製造終了となった。シュガートングと比べて大きなサイズのアイストング(型番284)はずっしりした銀の重量感が手に心地良い。十分に厚みのある摘み部分の両面に施した、凹凸がくっきりした「アカンサス」モチーフは大変迫力がある。20世紀半ばの作品であるが、現在は製造販売されておらず貴重となる。
 

 

Georg JENSEN "Pattern No.42" Silver Serving Fork
ジョージ・ジェンセン「型番 42」シルバー サービングフォーク

1932 Copenhagen Denmark
1932年 コペンハーゲン デンマーク
刻印:42、G.I(1915-30) 925S(純度925)、J S、三つの塔32 長さ:15.2cm 
 
ジョージ・ジェンセン(1866-1935)自身がデザインした型番42のサービングフォーク。アールヌーヴォー様式を洗練させた透かし細工のハンドルの豆さやを思わせる意匠は、かつては彫刻家を目指していたというジェンセンらしい作品といえる。
 

 

Georg JENSEN "Pattern No.41" Silver Jam Spoon
ジョージ・ジェンセン「型番 41」シルバー ジャムスプーン

1933-44 Copenhagen Denmark
1933-44年 コペンハーゲン デンマーク
刻印:41、GJマーク(1933-44)、STERLING DENMARK(純度925) 長さ:14.2cm
 
ジョージ・ジェンセン(1866-1935)自身がデザインした型番41のジャムスプーン。葉っぱの様な形状のボウル部や、アールヌーヴォー様式を洗練させた流線型ハンドル先端の植物の豆を思わせる意匠は、かつては彫刻家を目指していたというジェンセンらしい作品といえる。
 

過去の作品

Renato Raddi Silver Confiture Pot & Spoon for Christian Dior
レナート・ラッディ/クリスチャン・ディオール シルバーコンフィチュールポット&スプーン

1990's Florence Italy
1990年代 フィレンツェ イタリア
刻印:925(純度925)、97 Fl(工房印)、ミネルヴァ、Ste CD、Christian Dior
(ポット)高さ:8.8cm 直径:10.0cm (スプーン)長さ:16.8cm
 
オートクチュールメゾンを1946年にオープンしたファッションデザイナークリスチャン・ディオール(1905-1957)は、その斬新なシルエット「ニュールック」でファッション界に革命を起こす。1955年ディオール自身の考案でモンテーニュ通りのブティック内に立ち上げたディオールメゾン(ホームコレクション)では、フランス国内外の一流工房に特別に作らせた食器やインテリア小物などを取り扱った。
 
ミツバチはディオールが好んで繰り返し作品に取り入れた意匠である。1926年フィレンツェで創業のレナート・ラッディがディオールメゾンのために制作したコンフィチュールポットとサービングスプーンのセットは、2.5cmほどもあるミツバチの立体像をポットに5匹、スプーンに1匹アップリケした派手なデザインである。ポットはどの角度から見ても3匹は目に入るよう作られている。大量生産品ではないこの作品が当時日本で販売されたかは不明だが、ディオールメゾンの食器の多くが銀めっきにもかかわらずスターリングシルバーを贅沢に使ったラグジュアリーラインの品であったことは間違いない。
*SOLD*

 

Georg JENSEN "Blossom" Silver Jam Spoon /Silver Cake Server
ジョージ・ジェンセン「ブロッサム」シルバー ジャムスプーン/シルバー ケーキサーバー

1933-44 /1945-77 Copenhagen Denmark
コペンハーゲン デンマーク
(ジャムスプーン)1933-44年 長さ:13.8cm
刻印:ゾウムシ、GJマーク(1933-44)、G.J、IMPORTE DE DANEMARK、STERLING DENMARK、925(純度925)
(ケーキサーバー)1945-77年 長さ:21.5cm
刻印:白鳥、84、GEORG JENSEN(1945-77)、STERLING DENMARK(純度925)
 
1919年にジョージ・ジェンセン(1866-1935)自身がデザインを完成させた型番84「ブロッサム(別名マグノリア)」のジャムスプーンとケーキサーバー。「ブロッサム」は現代も引き継がれている人気シリーズである。ケーキサーバーは20世紀半ばの作品であるが、現在この型は製造販売されていない。
*SOLD* 

 

G. Accarisi Firenze Putto with Dolphin Silver Sugar Tongs
G. Accarisi フィレンツェ イルカとプットー シルバー シュガートング

Late 19thC Florence Italy
19世紀後期 フィレンツェ イタリア
刻印:G.ACCARISI FIRENZE
長さ:12.2cm
 
プットーと聖獣イルカの立体像が向き合うハンドル、挟み部分は女神ヴィーナスのホタテ貝と海神ポセイドンのトリアイナ(三叉銛)を表したルネサンス風デザインが彫刻的で物語性が高い。イタリアらしい銀細工のシュガートング、シュガーポットの中の砂糖の固まりを取るだけでなく、レモン・スライスや薬味などに転用しても面白い。
*SOLD* 

 

Russian Silver-Gilt Tea Caddy Spoon by Pavel Sazikov
帝政ロシア Pavel Sazikov 金鍍金シルバー ティーキャディースプーン

c1840 Moscow Russia
1840年頃 モスクワ ロシア
刻印:84(純度875)、モスクワ(インペリアルワラント)、工房印
長さ:11.2cm 
 
18世紀後半に英国で誕生した茶葉をポットに入れるためのキャディースプーンは、貿易船から荷揚げした茶箱から茶葉をすくう際に帆立貝の殻を使ったことからシェル型が定番となっている。
 
このティーキャディースプーンは通常サイズより大きく深さがある。帆立貝を模した皿部分の、波打った繊細な縁と鏨で緻密に刻んだマットな質感が特に見事である。質の高い金銀細工でロシア帝政期の工芸分野において重要な一族のひとつであったSazikov家の、Pavel Sazikov 1812-46年の刻印があり、細部まで手を抜かない上等なロシアの銀製品らしい出来栄えである。  
*SOLD* 

Austrian Silver Egoiste Coffee Pot
オーストリア「エゴイスト」シルバー・コーヒーポット

Late 19thC Vienna Austria
19世紀後期 ウィーン オーストリア
刻印:ウィーン銀刻印(純度800)、ゾウムシ(フランス輸入印)、判読困難な工房印
高さ:15.7cm
 
フランスで「エゴイスト」イギリスで「バチェラー」と呼ぶ、一人用のコーヒーポットである。まさにウィーンの独身貴族のために気品溢れる贅を凝縮した小さなポットは、牙製の蓋の摘み、本体の手彫りによる模様、どの角度からも彫刻作品のように美しいルネサンス風のハンドルと、全てが格調高い。通常ハンドルの付け根近くに位置する蓋の蝶番が、側面(画像では向こう側)に取り付けられている事も、ポット全体の美しさを高めている。 底部に成型時の凹み(歪み?)あり。器中央に所有者の頭文字入り。
*SOLD*