Doll〜人形図録19

Pair of Neapolitan Terracotta Black Angels 
ナポリタンテラコッタ「黒い天使」像一対


Early 19thC Naples Italy
19世紀初頭 ナポリ イタリア
人形本体:26.5cm(羽根含まず)
 
黒い肌色の異様な「黒い聖母(Black Madonna)」はフランスを中心にヨーロッパ各地に存在し、古代ケルトの大地母神崇拝やローマ帝国のイシス(エジプトの女神)信仰が、キリスト教を布教する過程において融合し制作されたと云われる。キリスト教内部の異端とされるグノーシス主義宗派は黒い聖母を崇拝した。
 
黒い聖母(子)像を引き立てるために飾られたのであろうか、非常に珍しい「黒い天使」像一対である。ガラス義眼を嵌めたヘッドと前碗下肢は黒、羽根はカラフルに彩色したテラコッタ製、ボディは木毛を詰めた布製である。オリジナルの着衣、背中に壁などに引っ掛けるための紐が付く。
 
バロック的な黒天使たちのドラマティックで動きのある髪型や表情は、NYメトロポリタン美術館の有名なクリスマスツリー"ANGEL TREE"を飾る人形群を制作した18世紀ナポリの人形師 Giuseppe Sanmartino (1720-98)の影響または流行を受けた作品である。キリスト教では悪魔や死を想起させる「黒色」の異形の天使は、特異な存在感と魅力に満ちている。
 
参考資料:[Metropolitan Museum of Art Collection Online]
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/204109