CabinetⅠ【第Ⅰ室】〜Dolls 人形
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Doll〜人形図録30

German All-Bisque Mignonette "Rose Fairy" in Velvet Egg Presentation
ヴェルヴェット卵型ボックス入りドイツオールビスクミニョネット「薔薇の精」


Late 19thC Germany
19世紀後期 ドイツ
人形:11.5cm ボックス(高さ):20.0cm(閉) 25.0cm(開)
 
フランス製の台付き卵型ボックスに入ったオールビスクミニョネット。人形本体がボックスに固定されヘッドマークを確認できないがシモン&ハルビック890型と見られる。ヴェルヴェットの蓋に施された手の込んだ薔薇の花のアップリケやリボン刺繍、台を飾るビーズ細工が華麗なプレゼンテーションボックスでフランス市場向けの作品となる。
 
ミニョネットは5ジョイント。足は黒い靴下にストラップのある茶色の靴が描かれている。固定されたブラウンアイ、オープンマウス、オリジナルのモヘアウィッグ。確認可能な範囲では、薔薇の精コスチュームはアンティーク素材の葉飾り付きシルクドレス(縫い付け)とボンネット、オリジナル下着である。890型ドールは通常スリーピングアイであるが、横たえて飾ることを前提に作られたと思われ目は固定されている。大きな黒目のガラス義眼と描かれていないまつ毛は森の小動物を思わせ、意図的に人間の少女ではなくファンタジックな妖精を表したと考えられる。
 
作品全体に通じる過剰な装飾と驚異的な状態の良さから、全てが19世紀のオリジナルではなく元々状態の良いボックス入りドールに後からレースやビーズなどを付け足したとも考えられる。ただし素材や糸に違和感は無く最近の接着剤の痕跡も無い。人形の顔も可愛く稀少な逸品であることは間違いない。