Doll〜人形図録18
Spanish Polychrome Carved Wood Infant Jesus of Prague
スペイン彩色木彫「プラハの幼子イエス」
c1900 Spain
1900年頃 スペイン
人形本体:38.5cm 台座込み:45cm(光背含まず)
16世紀、幼子イエス信仰の強いスペインからボヘミアに嫁いだ貴族の娘が故郷から持参した幼子像は、のちにプラハにある勝利の聖母マリア教会に寄贈された。プラハの幼子像は奇跡の癒しで有名となり、現在も奇跡を求める多くの巡礼者が教会を訪れている。頭に冠、左手に宝珠を戴せ、右手で祝福を示す「プラハの幼子イエス」像への崇敬は世界中のカトリック信者に広まり、彫像の写しが教会や信者の家庭に祀られている。
木彫に顔料で着色を施したプラハの幼子イエス像である。スペインやスペイン植民地(当時)の宗教人形は過剰感の強いドラマティックな表情のものが多いが、この作品は繊細な彩色や手指の表現や柔和な笑みが安らぎを感じさせる。通常は衣装の下に隠れている奇妙なバランスの腰回りや彫り跡の分かる空色の胴体がオブジェとしての人形の魅力を引き立てている。オリジナル光背(頭光)。左手に持つ宝珠は欠損している。台座と2つのロザリオは後年のものである。