CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録35

Large Micromosaic Cross
大型マイクロモザイククロス(十字架)


Late 19thC Rome Italy
19世紀後期 ローマ イタリア
刻印なし 長さ:23cm(カン含まず)
ガラス 白色合金
 
ローマの伝統工芸マイクロモザイクを嵌めた装身具や小箱は、17世紀以降のグランドツアー(イギリス上流階級の子弟が見聞を広めるためイタリアなどへ旅行すること)において贅沢な土産品として大変好まれた。ルースで故郷へ持ち帰り、自国の職人に額装させたり好みのジュエリーに誂えさせたりもした。
 
熟練の手業でテッセラ(tessera ガラス片)を隙間なく敷き詰めた、迫力ある壁掛け用の大きなモザイククロスである。土産向きのモザイク品に多く見られる古代遺跡などのイタリア名所ではなく、キリスト教を象徴する視覚的シンボルを表した十字架である。発掘された古代遺跡のモザイクタイルやフレスコ画に似た淡い色調が上品かつ洗練された印象である。
 
十字架を構成する6つの四つ葉形(quatrefoil カトルフォイル)パネルの意匠と意味は
上から、
①聖杯と葡萄(葡萄酒=キリストの血)、ホスチアと麦(パン=キリストの肉)「聖餐(聖体)」
②光を放つ白鳩「聖霊」
③神の子羊アニュス・デイ「イエス・キリスト」
④X(チ)P(ロー)クリストグラム(キリストのモノグラム)
左右は、
⑤A  ⑥Ω アルファオメガ(最初と最後=永遠または全て)「イエス・キリスト」
他の小さなパネルはイタリアの国花デイジー(ヒナギク)などのモザイクで装飾されている。金属に若干歪みあり。壁に掛けるカン(リング)は現行パーツに交換されている。