CabinetⅣ 【第Ⅳ室】〜Jewellery 宝飾品
 

Jewellery〜宝飾品図録06

Sepia Miniature Hairwork Mourning Brooch
セピアの細密画と毛髪細工のモーニングブローチ


c1840 England or France
1840年頃 イギリスもしくはフランス
刻印なし 縦:2.7cm 横:3.5cm
毛髪 牙板 ガラス 銀 金色合金
 
故人の毛髪を形見として今は亡き大切な人が生きていた証とする慣習は多くの文化圏で見られる。18世紀の北欧を起源として細く柔らかい髪質の人種が多いヨーロッパでは、毛髪細工(ヘアワーク)と呼んで、毛髪そのものを素材として細工する工芸の領域に高めた。19世紀の欧米では故人を偲ぶために、遺髪をモーニング(追悼)ジュエリーに仕立てて身に着けることが流行した。
 
牙板にセピア色顔料と遺髪で描かれたミニアチュール(細密画)は、故人の頭文字A.W.とともに、墓石の下の髑髏(死)としだれ柳(哀悼)、鎌(死神)から自由になり天へ飛翔する蝶(魂)が描かれている。オリジナルの凸面ガラスにおさめられた銀枠のブローチである。