Jewellery〜宝飾品図録25

NapoleonⅢ Tri-Colour Gold /Enamel Necklace
ナポレオンⅢ 3カラーゴールド/エナメルネックレス


c1870 France
1870年頃 フランス 
刻印:鷲の頭(18金) 判読困難な工房印
長さ:44.5cm エナメルモチーフ部分:各3.2cm
 
 フランス第二帝政皇帝ナポレオンⅢの妻ウージェニー皇后は、ロココの女王マリー・アントワネット妃に対して強い憧憬を抱き、服飾から建築に至るまで、華やかなロココ・リバイバル様式を取り入れた。
 
 裏側までグラヴュールを施したゴールドフレームで覆われた楕円形のロココ風エナメルパネルは、一方はキスする二羽の白鳩、他方はクピドの弓矢と矢筒と松明(恋の炎)で、共に「愛」の寓意を表す。ロマンティックな主題であるが、直截的に天を舞うクピドや華麗な花、ハートを描いていない点に、作者または注文主の捻りと知的センスが感じられる。エナメルモチーフとその上の樽型モチーフ部分、中央三本のパンピーユ(房飾り)は可動で、着用時の髪型やトップスの襟ぐりに応じて上下に調節できる。
 
 貴石は使わずエナメルのみ、しなやかに組まれたスネークチェーンと彫金パーツで構成されたゴールドネックレスは、フランスらしい洗練された軽い感じに仕上げているが、重さは38.7gの贅沢な作品である。髪を上げデコルテを出す服装向けの豪華で大仰な19世紀の首飾りとは一味違うデザインで、現代も楽しめるチェーンネックレスとなる。
 
 房飾りの黒エナメルに剥げあり。
 
*画像に使用しているケースは付属しません