CabinetⅣ 【第Ⅳ室】〜Jewellery 宝飾品
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Jewellery〜宝飾品図録38

René Lalique Gilt-Metal Medal Brooch "Journee du Poilu 1915"
Victorian Archaeological Style Ganymede Gold Ring
ルネ・ラリック 金メッキメダル・ブローチ「ジョルネ・ドュ・ポワル 1915」
ヴィクトリアン考古学スタイル ガニュメデス ゴールドリング


1915 France / Late 19thC England
(ブローチ)1915年 フランス
サイン:R LALIQUE 刻印なし
長さ:3.5cm 金メッキ合金
(リング)19世紀後期 イギリス
刻印:フクロウ(18金)
ベゼル:2.5cm リングサイズ #11ぐらい ゴールド
 
大きな鷲と格闘する裸体の男、古代ギリシア風主題のブローチとリングである。
 
マルタ十字型のメダルは第一次世界大戦の最中、前線で戦うフランス歩兵を労う祝日(1915年12月25,26日)の資金を作る(寄付金のような)目的で作られたブローチである。大鷲の首根っこを掴む男の勇姿は、古くからライヒスアドラー(鷲の紋章)を国章とするドイツ軍と戦うフランス兵の象徴である。通常はモチーフを浮き彫りするメダルを、逆に鷲を沈み彫りすることで男の肉体を強調し遠近感と躍動感を与えているのは天才ルネ・ラリックの仕業である。
 
楕円形のメダルをベゼルに仕立てた古代風ゴールドリングは、19世紀ヨーロッパで盛んに行われた遺跡発掘で出土した金の装身具に影響を受けた考古学(アーケオロジカル)スタイルである。鷲と男の姿はギリシア神話の"The Rape of Ganymede(ガニュメデスの誘拐)"を表し、特にこの図像は1824年ロンドン ナショナル・ギャラリーが開館時に購入したイタリア ルネサンスの画家ダミアーノ・マッツァ(Damiano Mazza 16世紀)の油彩画(1575年頃)に基づいている。宝石が無いことで寧ろ存在感を増すゴールドリングはモダンでアーティスティックな印象である。ヴィクトリア時代、美術館で観た1枚の絵に触発されたひとりの職人が当時の流行考古学スタイルと融合させて生み出した野心作のリングと言える。
 
*画像に使用しているケースは付属しません
 
参考資料:[National Gallery Collection]
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/damiano-mazza-the-rape-of-ganymede