Others〜その他の作品図録03

Two-Way Picture Lacquer Tabatière (Snuff Box)
上下絵 ラッカー・タバティエール(嗅ぎ煙草入れ)


Middle 19thC Germany
19世紀中期 ドイツ
サインなし 直径:8.3cm
 
 新大陸からヨーロッパに煙草がもたらされた時、葉に火を着ける喫煙ではなく粉末を鼻で吸い込む嗅ぎ煙草が広まることとなった。嗅ぎ煙草は18世紀に流行の頂点を迎え、上流階級の間では嗜みの作法も確立し、その容器(タバティエール)も様々な材質、細工で作られた。
 
 東洋漆器への憧れから生み出された黒塗ラッカーの円形木製ケースは、哲学者とロバを上下絵(逆さ絵)で描いた銅版画が転写されている。背景の鈍く光る金色の地は、典型的な黄色、朱色や緑色に比べて珍しい。
 
 上蓋の哲学者の顔 “Der Philosoph. (一人の哲学者…)”は逆さにすると、”Nicht alle C - I find Philosophen. (…は正しくない。いるのは哲学者たちだ)”の表記とともに葉を食べるロバの顔が出現する。ヨーロッパにおいてロバは融通の利かない愚者の暗喩であり、哲学者をロバで表して風刺したユニークなドイツ作品である。