CabinetⅤ 【第Ⅴ室】〜Miscellaneous その他
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Miscellaneous〜その他の作品図録26

Carved Wood Baby Ladies' Pipe Set
木彫おくるみの赤子 女性用パイプセット


c1930 Germany or France
1930年頃 ドイツまたはフランス
長さ(ケース):15.5cm
 
第一次世界大戦終結後1920年代のパリ、人々は街に繰り出して平和と自由を謳歌し、古い価値観から解放された女たちは自由と共に新しい女性像を模索し始めた。それまで男性の特権であった人前でのパイプ喫煙は、1920年にアルフレッド・ダンヒル社が女性向けの喫煙パイプを商品カタログで紹介したことで、流行に敏感な女性のファッションのひとつとなった。
 
おくるみに包まれた赤子をかたどった木彫ケースに、マウスピースと交換可能な大小の赤子の頭のボウルを内蔵したパイプのセットである。ノミ跡の残る素朴な木彫りにガラス義眼を嵌めた赤子の無愛想な顔は独特の味わいがあり、マウスピースのエボナイト、牙、ブライヤーのコンビネーションが洒落ている。赤子の意匠とパイプのサイズ感から女性用(当時)であったと判断するが、現代ではアンティークパイプとして男性が使用してもおもしろい。ボウル(小)の赤子の右目ガラス義眼が欠損している。