Miscellaneous〜その他の作品図録25
English Pottery Wall Plaque "Thou God See'st Me"
英国陶製壁飾り「わたしを顧みられる神」
c1850 Probably North Shields England
1850年頃 おそらくノースシールズ イギリス
窯印なし 21.8 x 24.3cm
19世紀初めイングランド北東部の港湾都市サンダーランド周辺では、文字と絵を銅板転写で焼き付けた陶器が独自の発展を遂げ、次第にロンドンなどでも模倣されるほどの人気を誇った。この地域の旧約聖書の文言をラスター彩などでカラフルに縁取った陶製の壁飾りは、当時流行したアイテムのひとつである。
神の目とともに記された、"Thou God See'st Me(創世記16章13節)"は、ヘブライ語聖書El Roi(わたしを顧みられる神)の英訳で、神そのものを示す言葉である。ヴィクトリア時代、壁飾りの持ち主は日々の暮らしの中で壁を目にするたびに神はいつどこでも自分を見守っていると心に刻んだのであろう。この作品は転写図像の特徴から1814年設立のノースシールズ陶器製造所のものと思われる。人気がある一方で模造品の多いラスター彩は使われておらず、深いグリーンの縁取りが引き締まった印象の壁飾りである。壁掛け紐を通すための穴が二つ開いている。