CabinetⅤ 【第Ⅴ室】〜Miscellaneous その他
img_2994.jpg img_2995.jpg
2 images

Miscellaneous〜その他の作品図録29

Pair of Miniature Embroidered Silk Alter Lotus Shoes
清朝ミニチュア願掛け絹刺繍靴(纏足用)


Late 19thC (Qing Dynasty) China
19世紀後期 清朝後期 中国
靴のサイズ:約8.0cm
 
晩唐(9世紀末)より纏足の習慣が始まった中国ではおよそ千年の間、幼少時から足指を折り曲げ布で巻いて成長を止めた小さな足が女性の性的魅力とされた。纏足は変形した足の形が蓮のつぼみに似ており、3寸(約9.1cm)以下が理想サイズとされたことから「三寸金蓮」と呼ばれた。纏足を始める年齢は5、6歳と云われ、施術時の出血や化膿により命を落とす者もあった。母親は自分の娘に施術を行う数週間前から願掛けのために自ら拵えたミニチュア靴を近所の観音菩薩や家の神棚に供えて祈りを捧げた。
 
靴サイズで8cm弱、靴底6cmほど、ドールシューズのような願掛け用の靴である。母親が自分の幸せを願って手作りした小さな靴を娘は生涯手元に置いたのであろう、願掛け靴が市場に出ることは極めて稀である。絹地に経年による傷み、スパンコールの一部欠損、片方の靴の踵(内部が木製)に虫喰い穴あり(除虫、補修済み)。