Paintings〜絵画図録08

17thC Flemish Panel Painting "St. Hieronymus in the Cell" after Quentin Matsys
17世紀フランドル板絵「書斎の聖ヒエロニムス」


Signed /Dated "QUINTINUS METSI ANNE 1673" Flanders
署名入り "QUINTINUS METSI ANNE 1673" フランドル
イメージサイズ:19.5 x 25.5cm 額:縦 27.5cm 横 33.5cm
木板 テンペラと油彩の併用? 寄木細工風にペイントされた額(1900年頃)
 
 現在ウィーン美術史美術館が所蔵する、クエンティン・マサイス(1466-1530 アントワープ)が16世紀初期に描いた「書斎の聖ヒエロニムス」(板に油彩)は、同じく画家の息子ヤンと孫クエンティンとがそれぞれ複製した。この時代の画家は注文によって絵を制作したので、後継者や弟子が人気のある作品を複数製作することは一般的であった。
 
 この作品は1673年にフランドルの無名画家がサイズと技法を変えて描いた作品となる。ジェッソと鉛白(?)で下地を作った厚さ1ミリ程度の板に細密画の様な繊細な筆到で描いた聖ヒエロニムスは、原画と異なり温和で穏やかな印象である。この違いは、単に依頼主の注文であったのか、それともフェルメールらの出現でルネサンス的重厚さよりもあたたかな静謐さを好む時代の変化であったのであろうか。
 
 絵を補強している板裏に蝋印による紋章が残っているが、画家または画材を製作した工房の印か、元所蔵者の印か詳細は不明である。