CabinetⅡ【第Ⅱ室】〜Paintings 絵画
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Paintings〜絵画図録25

19th Century French Porcelain Plaque "Satyr and Nymph"
19世紀フランス陶板画「サテュロスとニンフ」


Middle 19thC France
19世紀中期 フランス
署名無し 窯印不明(確認できず)
オリジナル黒塗木製額
イメージサイズ:7.3 x 5.7cm 額:13.0 x 11.3cm
 
ギリシア神話に登場する半人半獣の精霊サテュロスは、四足獣のような下半身、山羊のような角をもち、ローマ神話の森の精霊ファウヌスやギリシアの牧羊神パーンとしばしば同一視される。キリスト教では自然の精霊を異教としたため、もともと奔放な性格のサテュロスは、西洋美術において悪魔的で邪悪なイメージで描かれることが多い。
 
好色なサテュロスに身を委ねる妖艶なニンフを描いた陶板画である。小さな黒い額におさめられた楕円形の陶板画は、絵付けと焼成を繰り返すことによって得られる品質の高い陶板画特有の光彩を放っている。
 
多くの芸術家が手掛けるギリシャ神話の代表的な主題のひとつ「サテュロスとニンフ」は、たいてい開放感のある自然豊かな野外を背景としているが、珍しいことにこの絵は室内の情事を仄めかしている。この作品は19世紀上流階級の秘密めいた寝室をさりげなく彩る装飾品であったと推察される。