CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録07

Japanese Carved Tusk OKIMONO Cat
明治牙彫置物「猫」


c1900 (Meiji) Japan
1900年頃 明治時代 日本
刻銘 : 秀仲 高さ:5.2cm
  
日本における牙細工は江戸時代、根付や三味線の撥(ばち)の需要とともに工芸品としての高まりを見せる。しかし明治維新で日本人の生活が西洋化し、着物から洋服へと変わったことで根付の需要は減少し、彫刻職人は失業の危機を迎える。一方、1873年(明治6年)のウィーン万博以降、日本の牙細工は欧米で高く評価され工芸品の輸出が増加する。職を失った根付職人たちはその卓越した技術で欧米輸出向け牙工芸品の制作に方向転換する。
 
この猫もヨーロッパ向けに製作された作品で、台座まで一つの牙を彫り出した置物である。猫目は黄金色の蝶貝を嵌めている。海外の蒐集家が、日本固有の神仏より親しみやすい動物や美人という万国共通の意匠を好んだことは想像に難くない。猫好きの蒐集家はこの作品を掌に載せ極東の日本猫に想いを馳せたのであろうか。