CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録06

Cat & Bee Silver Cover Aide Mémoire by Gebrüder Kühn
Charles X Hand-Painted Floral Panel Carnet de Bal
ゲブリューダー・キューン 「猫と蜜蜂」銀製表紙備忘録(エドメモワール)
シャルル10世手描き花絵の舞踏会の手帳(カルネドバル)


c1900 Germany / c1830 France
(猫と蜂)1900年頃 ドイツ
刻印:三日月と冠、800、工房印、判読困難な刻印
11.3cm x 5.0cm
(花)1830年頃 フランス
4.4cm x 3.2cm(チェーン含まず)
 
趣向を凝らした舞踏会のお伴カルネドバル(舞踏会の手帳)は、贅沢な牙板に繰り返し書き込む仕様が主流である。エドメモワール(備忘録)はレフィル交換できるノート型の紙のメモ帳を呼ぶことが多い。いずれの手帳も貴婦人が携帯した愛の物語を秘めたオブジェである。
 
アールヌーヴォー風デザインの蜜蜂を目で追う猫の銀製パネルが表紙を飾る臙脂色の革製手帳(エドメモワール)。内側は滑らかな薄茶の革のライニング、ポケット付き、取り外しできる紙ノートが残る。ペンシルは欠損。帝政時代にナポレオンが自身の紋章に取り入れた蜜蜂は繁栄や豊穣の象徴であり、悪戯好きな仔猫との組み合わせが新鮮である。1860年ドイツにて創業、現在も活動を続けるゲブリューダー・キューンの作品。
 
艶やかなエナメルの花と金箔のガラス絵を嵌め込んだ獣牙の表紙に、紙ノートとペンシルを組み込んだ小さな手帳は、指を通して提げるようチェーンの先に指輪(フィンガーリング)が付く。手帳を携え舞踏会に参加した元所有者の筆跡でダンス曲と踊る相手の名を記したドラマチックな作品。復古王政のフランス貴族の間で"Polkas ポルカ"、"Valses ワルツ"、"Contradanza コントルダンス"、"Schottische ショツティーシュ"の踊りが流行したことを示す貴重な資料でもある。
 
*2点は別売りです