CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
img_2509.jpg img_2503.jpg
2 images

Works of Art〜美術工芸品図録19

Louis Kuppenheim Silver-Gilt Cat Minaudière
ルイス・クッペンハイム 鍍金銀製猫文ミノディエール


c1920 Pforzheim Germany
1920年頃 プフォルツハイム ドイツ
刻印:マーキュリー(純度800) 長さ:9.3cm(チェーン含まず)
鍍金された銀 ルビー ピンクサファイヤ? 象牙 鏡
 
ミノディエールは、高級素材の携帯用化粧小物入れ(ヴァニティ・ケース)のことで、1920年代にヴァンクリーフ&アーペル社が名付けた名称である。この手のケースは化粧品や化粧道具のほかに、櫛、鏡、ダンスカード、シガレットホルダー、時計等を収納するためのコンパートメントを備え、宝飾品のひとつと見なされた。
 
銀製装身具の分野で歴史を誇るドイツプフォルツハイムにおいて、金銀細工師の家業を継いだルイス・クッペンハイム(1891-1982)は、動物のレリーフやエナメル細工の、意匠を凝らした銀製ケースを得意とした。なかでも猫の姿を打ち出したミノディエールやピルケースは当時から人気が高く様々なヴァリエーションがある。猫の耳と尾の一部が四角いケースからはみ出したユニークなデザインと、精緻に表現された猫のヒゲや毛並み、首のリボンが素晴らしい。
 
ケース内部は、象牙板と鏡で仕切られた一方に蓋付きのコンパートメントが2つ、もう一方はバネ仕掛けの紙片挟みが付く。ケース外側に銀製ペンシルが内蔵されている(凹みあり)。銀製手提げチェーン付き。刻印はフランスの輸出印のみである(クッペンハイムは1928年パリにて起業)。
 
ケース全体に若干の歪みあり(可能な限り調整済み)。