CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録23

Maison Cardeilhac /Daum Nancy Silver Mounted Cameo Glass Vase
メゾン・カルディヤック/ドームナンシー銀装飾カメオガラス花生け


Early 20thC France
20世紀初頭 フランス
刻印:ミネルヴァ(純度950)、E.C(工房印)、CARDEILHAC
高さ:23.8cm
 
1804年創業のカルディヤックは、クリストフルによって買収される1951年までの長きに渡りフランス屈指の銀工房及び銀器商として名を馳せた。高級銀器としての品質と格調を保ちつつ革新的なアールヌーヴォーの芸術性を取り入れた19世紀後期から20世紀初頭の作品は秀逸で、万国博覧会では数々の賞を獲得した。
 
ドーム工房のガラス器を銀細工の幻獣と植物で取り巻いた芸術性の高い花生けである。オパールセントのガラス地に被せた赤紫色のカメオが映える器は、被せガラス、酸化腐食彫り、グラヴュールの技法によりクレマチスと蝶を表している。付属するカルディヤックのオリジナル革ケースは、リボリ通りにメゾンを構えるカルディヤックが作品制作を主導して、ドーム工房にガラスを発注したことを示している(ドームのサインが無い)。
 
ドレイク(翼の無いドラゴン)と野苺をアールヌーヴォー曲線で表現した銀装飾は、東洋の龍巻花瓶から着想を得たものであろう。大きく口を開けたドレイクの頭から尾へと三次元にうねる肢体、爪や鬣(タテガミ)の描写、ツヤのある果実と対比するようマットに仕上げた花弁や葉の質感は、カルディヤックが彫金技術でかなり腕の立つ職人を抱えていたことを物語っている。