CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録25

Large Coral Branch /18ct Gold Pen
地中海珊瑚大枝/18金ゴールド ペン軸


1879 France
1879年 フランス
刻印:鷲の頭(18金)、工房印 長さ:25.5cm
 
「邪眼(evil eye)」は、悪意を以て相手を見ることでその者に不幸または死をもたらす目のことで、呪いのひとつである。世界に広く分布する迷信であるが、古代よりヨーロッパでは地中海周辺での信仰が深い。メドゥーサが退治された時に海に散った血が赤い珊瑚となったという神話から、珊瑚は魔除けの意味を持ち、ハプスブルグ家支配下の17世紀スペインの王室の子どもはお守りとして身に着けさせられた。
 
大振りの枝珊瑚を18金で誂えたペン軸は、ゴールド部分にE Sの頭文字と共に"26 Décembre 1879"と刻まれ、オリジナルのケース蓋にも同じくE.S.のエンボスが施されている。自然が産んだ燃え上がる火炎のごとき珊瑚のフォルム、ペンを手にした時に感じる珊瑚独特のひんやりとした冷たさと重みは、他の素材では味わうことの出来ないものである。
 
珊瑚の枝を握る幼きアンヌ・ドートリッシュの肖像画(1602年)を彷彿とさせる美しい文房具。 現在は汚染により地中海からの珊瑚の産出が激減しているため貴重である。 
 
参考資料:[La infanta Ana Mauricia de Austria (Wikimedia)]
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Juan_Pantoja_de_la_Cruz_020.jpg