Works of Art〜美術工芸品図録26
Gold Serpent Mounted Blonde Tortoiseshell Bookmark
ゴールド蛇装飾白べっ甲ブックマーク
Late 19thC France
19世紀後期 フランス
刻印 : 鷲の頭(18金)
長さ:11.0cm べっ甲 ゴールド サファイア ルビー ダイヤモンド
19世紀後半まで書物に挟むブックマーク(栞)は、シルクリボンや絹織物、皮革が主な素材であった。文字を読むことができる者は教育を受けた特権階級に限られていたが、1880年頃から印刷物の普及とともに本を読む者が増加し、ブックマークは細長い紙製が中心となった。
カボションサファイアを頭に戴きルビーの眼を持った黄金の蛇が白べっ甲の薄板に巻きつく贅沢なブックマークは、袋綴じの頁を切り開く用途を兼ね備えた形状である。カメの甲羅から多く得ることができない斑の無い飴色の白べっ甲は、ヨーロッパでは「ブロンド」と呼ばれ特に珍重された。最高級の書斎小物である。
ギリシア神話で蛇は生命力や再生を表す動物とされ、1匹の蛇が巻きついた「アスクレピオスの杖」は医学の象徴である(杯に巻きついた「ヒュギエイアの杯」は薬学の象徴)。当時の医学関係者が所有した文具かもしれない。