CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録29

Japanese SHIBAYAMA Insects Fan
明治芝山象嵌虫づくし扇子


c1900 (Meiji) Japan
1900年頃 明治時代 日本
長さ:27.0cm 幅:46.0cm(最大) 30本骨
  
芝山細工は18世紀末(安永年間)に芝山仙蔵が考案した漆工芸の装飾技法のひとつである。華やかな芝山細工の工芸品は1873年(明治6年)のウィーン万博以降欧米で高く評価され、貿易港のひとつ横浜に職人が集まり輸出用の屏風や置物などが数多く作られた。
 
この扇子もヨーロッパ向けに製作された作品である。白蝶貝や鼈甲で拵えた虫たちー蝶、蝿、蝸牛、蛍、バッタ、蜻蛉、ムカデ、蜘蛛、てんとう虫(2匹)を象嵌し立体的に浮き上がらせた牙の親骨が見どころとなる。 和紙の扇面(両面紙)は、それぞれの面に木版刷りの花鳥(日本漢詩と朱印あり)と日本の風俗が描かれている。中骨は白竹。要(カナメ)は獣骨。オリジナルの絹の房つき。
 
蝶の後翅の小さな欠けと地紙の貼り合わせ(おそらく膠)のシミ以外は全体に良い状態で、当時のヨーロッパの蒐集家がこの扇子を実用道具ではなく東洋の工芸品として敬意をもって扱ったことを表している。