CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録40

Enguerrand du Suau de La Croix Plique à Jour Enamel Médaille "Jeanne d'Arc"
Enguerrand du Suau de La Croix 「ジャンヌダルク」プリカジュールエナメルメダイユ


c1905 France
1905年頃 フランス
刻印:猪の頭(純度800)、P D?(工房印)
長さ:4.2cm
 
貴族出身のエナメル宝飾作家エンゲラン・デュ・スー・ド・ラクロワ(Enguerrand du Suau de La Croix 1840-1914)伯爵は、中世の美術様式にアールヌーヴォー趣味を取り入れたエナメル作品に定評があり、定期的にサロンに出品し賞を獲得していた。とりわけ彼のプリカジュールエナメル(透胎七宝)は、通常金属の透かし部分のおもて面をエナメル(ガラス顔料の焼き付け)で平らに埋めるところをカボションカットの宝石を嵌めた如く両面に渡り立体的に盛り上げる至難の技で比類の無いものであった。
 
メダイユはカトリック信者にとって自分の信仰を高めたり常に信仰を忘れないよう身に付けたり携帯するものである。スー・ド・ラクロワ伯によるヴェルメイユ(鍍金銀製)のメダイユ(メダル)はフランス王家の象徴フルール・ド・リス(百合の紋章)の形で、中央に腰に剣を差し旗を掲げる鎧姿のジャンヌダルクが刻まれている。フランスの救世主ジャンヌを取り囲む銀細工とプリカジュールエナメルは教会のステンドグラスを想起させる荘厳な雰囲気で、おもて裏ともに同様のクオリティで細工を施した上等なつくりは、掌の上で完結する究極の宗教美術品と言える。彼の下絵を含む多くの作品がパリのオルセー美術館の収蔵品となっている。
 
Maison Gruelオリジナル革製ケース入り。19世紀後期パリのサントノーレ通りにあった、超一流のルリユール(工芸的な製本)作家で出版や著作もこなしたレオン・グリュエル(Léon Gruel 1841-1923)の工房を兼ねた店舗で販売された。サイン無し。作品上部の透かし二箇所のにカンを付けペンダントネックレスへの加工も可能。