CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録39

17thC Roemer Glass
17世紀レーマー杯(レーマーグラス)


Mid 17thC Rhineland or South Netherland
17世紀中期 ラインラント(ドイツ西部)または南ネーデルランド(オランダ)
高さ:17cm
 
17世紀のオランダ絵画なかでも静物画に頻繁に登場する独特な形状のワイングラスをレーマー杯(レーマーグラス)と呼ぶ。16世紀からライン川流域で作られ始め17世紀に量産されるようになったレーマー杯は、現在までワイングラスの型式のひとつとして様々なヴァリエーションやレプリカが作られている。17世紀作品は太い円筒形の空洞のステムとガラス糸の渦巻き台座、ステムに施された木苺のアップリケ(raspberry prunts)が特徴である。木苺は手掴みで食事をしていたこの時代に肉の脂の付いた手指でグラスが滑らないよう付けられた実用を兼ねた装飾である。
 
森林地帯で木灰とケイ砂を原料に作られた森林グラス(Waldglasヴァルトグラス)特有の緑がかった透明感と気泡の入ったゆらめくガラスを手にすると、貿易や経済の発展がもたらす繁栄と死の前にはそれらが無意味で虚しいというヴァニタス思想が流行したオランダ黄金時代へと誘われるようである。のちの「レーマー」とは比較できないほど軽く儚いこのグラスを四世紀もの間損傷なく引き継いできた人々に想いを馳せると感慨深い。