CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録41

Silver Incence Boat by Alexis Renaud
Alexis Renaud 銀製香舟(香入れ)


1831-47 Paris France
1831-47年 パリ フランス
刻印:ミネルヴァ(純度950)、A.Renaud(工房印)
長さ:14.2cm
 
香舟(コウシュウ)はラテン語で「小さな舟」を意味するnaviculaと呼ばれ、キリスト教会や信者がミサなどの儀式において使用する乳香を保管する容器である。古代から神聖な香とされる乳香は樹脂が固化した塊で、香を焚く時に香舟に収めた乳香を付属の匙で香炉に入れる。献香は神への捧げ物と同時に浄化の行為とされている。
 
オルレアン朝ルイ・フィリップの治世にパリで活動した銀工房Alexis Renaud(1831-47活動)はキリスト教の典礼聖具を専門とした。この銀製香舟は優雅な曲線を描く舟を支える脚から台座への均整が取れた姿が美しい。蓋はパルメット文様とキリスト(の血)を表す葡萄の打ち出し装飾である。舟から鎖に繋がれたオリジナルのシェル型の匙は海を想起させる。当時裕福なキリスト教信者が自宅の祭壇に飾っていたのであろう、容器に使用感は無い。珍しいオブジェであるがスターリングシルバーの舟型容器としてコーヒーシュガー(氷砂糖)やドラジェ(糖衣菓子)を入れ使うも一興である。