Doll〜人形図録15
Wax Infant Jesus on Bed in Glass Frame Box
ガラス付き箱入り蝋製人形「寝台の幼子イエス」
Mid 19thC France
19世紀中期 フランス
19.0 x 22.3cm
四隅に模様を刻んだ額縁にガラスを嵌めた厚い紙箱、寝室に見立てた箱の中の寝台には幼子イエスが横たわる。ローマン・カトリック信者の家庭用祭壇のひとつである。寝台やカーテンは、神の御子が横臥するに相応しく光沢ある絹地に金糸銀糸やスパンコール刺繍で華麗な装飾が施され、それらが経年退色によってさらに神聖な雰囲気を醸している。
イエスの人形は、蜜蜂が巣作りのために分泌する蜜蝋（ワックス）で作られ、カールしたモヘアの髪にガラス義眼、簡単なレースを身に着けている。過剰感の強いドラマティックな表情をした南ヨーロッパや植民地（当時）の宗教人形と違って、遠くを見るような目をした穏和な顔立ちが安らぎを感じさせる。
