Jewellery〜宝飾品図録15

Neo-Renaissance Silver Brooch by Markowitsch & Scheid
マルコヴィッチ&シャイト ネオルネサンス銀細工ブローチ


c1870 Vienna Austria
1870年頃 ウィーン オーストリア
刻印:ゾウムシ(純度800以上)、ウィーン銀刻印、M&S(工房印) 
幅:4.6cm 銀(一部鍍金) 模造宝石(ペースト)
 
 幻獣など異形の生物と植物の曲線文様で装飾する美術様式グロテスクは、古代ローマを起源とし、ルネサンス盛期にグロッタ(人工洞窟)の流行とともに広まった。19世紀に新古典主義の影響から再び流行し、幻想的な意匠はのちのアールヌーヴォーなど世紀末芸術に影響を与えた。
 
 人間の脚の如く二股に分かれた尾とドラゴンの翼をもつ異国風の女の人魚を中央、ふたつの奇怪なマスクを両端にあしらった複雑なグロテスク様式のブローチは、いぶしと鍍金を施した銀の素材感と緻密な彫金細工を愉しめる逸品である。のちにウィーンを代表する金銀細工師となる Georg Adam Scheid(ゲオルク・アダム・シャイト 1837-1921)が1862年に Michael Markowitschと供に起業したMarkowitsch & Scheid時代の作品。Scheidは1882年に独立し、M&Sは1898年に廃業した。