CabinetⅣ 【第Ⅳ室】〜Jewellery 宝飾品
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Jewellery〜宝飾品図録27

Victorian Piqué /Hairwork Mourning Brooch
French Black Enamel Hairwork Mourning Brooch
ヴィクトリアンピクゥエ/毛髪細工モーニングブローチ
フランスブラックエナメル毛髪細工モーニングブローチ


Mid 19thC England/ France
(上)19世紀中期 イギリス
刻印なし 長さ:5.0cm
毛髪 牙板 シードパール メタル ガラス べっ甲 ゴールド
(下)19世紀中期 フランス
刻印:猪の頭(純度800)、A V(工房印) 長さ:4.3cm
毛髪 絹 メタル ガラス 銀
 
故人の毛髪を形見として今は亡き大切な人が生きていた証とする慣習は多くの文化圏で見られる。18世紀の北欧を起源として細く柔らかい髪質の人種が多いヨーロッパでは、毛髪細工(ヘアワーク)と呼んで、毛髪そのものを素材として細工する工芸の領域に高めた。19世紀の欧米では故人を偲ぶために、遺髪をモーニング(追悼)ジュエリーに仕立てて身に着けることが流行した。
 
べっ甲の表面に緻密な模様の金箔を象嵌(ピクゥエ、ピケ技法)したフレームに収めた毛髪は、繊細な髪色のグラデーションで葉(または花?)を満たしたコルヌコピア(豊穣の角=幸運のシンボル)を表している。ヴィクトリア時代の半ばに全盛となったピクゥエ・ジュエリーの多くはブローチ、イヤリング、バングル、コームで、ガラス入りのフレームは珍しい。この作品はモーニングジュエリーとして特別に誂えたものと思われる。
 
コイル状に巻いた毛髪とメタルビーズで作った花束を立体的に収めた黒エナメルのブローチ。面取りした平凸ガラス越しの黒リボンのミニチュアの花束は小さな標本のようで、ブローチの所有者が大切に愛しんだことが窺える。裏面にも別に平板ガラスのロケット部分がある。エナメルに極小のアタリと修復箇所あり。
 
*2点は別売りです