CabinetⅣ 【第Ⅳ室】〜Jewellery 宝飾品
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Jewellery〜宝飾品図録32

French Plique à Jour Enamel /Pearl /Diamond Ring
フランスプリカジュールエナメル/パール/ダイヤモンド リング


c1915 France
1915年頃 フランス
刻印 : 鷲の頭(18金)、判読困難な工房印
ベゼル:1.6cm リングサイズ #14
真珠 ダイヤモンド エナメル ホワイトゴールド
 
1900年のパリ万国博覧会では、宝飾作家ルネ・ラリックやジョルジュ・フーケらによるエナメルや色石を使った植物や昆虫モチーフのアールヌーヴォー作品が多大な注目を集め、植物的な曲線の幻想的で装飾性の高い装身具が一世を風靡する。やがて軽快で洗練された、幾何学的、機能的なものへと流行は移りアールデコ様式が1925年パリ万博で花開く。
 
このリングはヌーヴォーからデコへの、美術様式の過渡期の作品で、アールヌーヴォー作家が好んだプリカジュールエナメル(透胎七宝)を用いつつ、中央のパールから放射状にメレーダイヤモンドを配した左右対称のデザインがアールデコの息吹きを感じさせる。1910年代プラチナの代用として開発された新素材ホワイトゴールド使いがクールで洗練された印象を与える。繊細な細工であるが状態は良好。サインは無いが、品質、技法、デザインから一流の宝飾作家および工房が手掛けた作品と考えられる。
 
パールを頂点とした山型のベゼルは軽やかな透かし細工で、ステンドグラス状のエナメル側面から光を通し蔦の葉の微妙なブルーのグラデーションを引き立たせる。涼しげな夏着物と合わせても良い。
 
*画像に使用しているケースは付属しません