CabinetⅣ 【第Ⅳ室】〜Jewellery 宝飾品
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Jewellery〜宝飾品図録42

NapoleonⅢ Enamel Diamond Pansy Flower Ring
ナポレオン3世エナメル/ダイヤモンド・パンジーリング


c1850 France
1850年頃 フランス
刻印:おそらく鷲の頭(18金)、判読困難な工房印(共に摩耗が激しい) 
ベゼル:1.9cm リングサイズ #11.5
ダイヤモンド エナメル ゴールド
 
古代から高貴な地位を象徴する色ロイヤルブルーの縦長の指輪やブローチはフランス革命後の流行で、青いエナメル板やイギリスのブリストルで作られたブルーグラス板にダイヤモンドやパールを嵌め込んだものが一般的である。
 
このリングは19世紀半ばの第二帝政期の作品で、より洗練された華奢なデザインとなっている。ルーペ越しでないと黒にしか見えない深く暗いブルーの薄手のエナメル板にダイヤモンドのパンジーモチーフを嵌め込んだリングである。パンジーを表すフランス語pensée(パンセ)は「物思い、思想」の意があり、このリングは「貴方を想っている」または「私のことを想って」の気持ちを込めて恋人が贈ったラブトークン(愛のしるし)と考えられる。ゴールドやエナメル表面の細かい摩耗は長い年月作品に触れることで生じる「なれ」の味わいがあり、持ち主が常に着用していたことを物語る。
 
*画像に使用しているケースは付属しません