CabinetⅡ【第Ⅱ室】〜Paintings 絵画
img_0620.jpg img_0621.jpg
2 images

Paintings〜絵画図録17

Portrait Miniature of a White Dog
白い犬の肖像画ミニアチュール(細密画) 


Early 19thC France
19世紀初頭 フランス
署名なし 紙に水彩 オリジナル黒塗木製額
イメージサイズ:11.1 x 9.1cm 額:19.4 x 17.1cm
 
猟犬ではなくペットとして室内で犬を飼う習慣が貴族の間で根付く18世紀頃からである。以降、愛玩犬を抱く人物の肖像画が描かれるようになるが、犬だけが単独で描かれた肖像作品は珍しい。19世紀に写真が発明され一般に普及するまでの間、画家を雇い家族の肖像画を残すことができる者は裕福な王侯貴族などに限られた。そのような時代に飼い犬の肖像画を注文するのは大変な贅沢であった。
 
ドイツ原産のスピッツ犬であろう、金の房飾りの付きのマゼンタピンクのヴェルヴェット・クッションに鎮座する白い犬の肖像画である。水彩顔料で犬の毛並みや歯などを繊細に描き、室内を飾るテキスタイルの質感まで見事に表した楕円の細密肖像画は、軽やかでエレガント、非常にフランスらしい作品である。
 
判読困難だが額裏に名前(や来歴?)と思しき書き付けあり。