CabinetⅡ【第Ⅱ室】〜Paintings 絵画
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Paintings〜絵画図録32

Symbolism Oil Painting Étude Panel
象徴主義油彩エチュード(習作)板絵


Late 19thC Belgium or France
19世紀後期 ベルギーまたはフランス
署名なし 10.0 x 17.5cm
 
19世紀後期の芸術分野においてフランスとベルギーを中心に始まった象徴主義は、精神性や神秘性といった目に見えない人間の内面を神話などの題材を通じて象徴的に表現する世紀末芸術の潮流であった。絵画ではルドンやモロー(フランス)、クリムト(オーストリア)、クノップフ(ベルギー)、先駆けとして英国のラファエル前派に代表される。
 
大きめの外国紙幣サイズの板片両面に風景と女の顔を描いた油彩画は、芸術的発想の初段階または練習で描いたエチュード(習作)である。女の顔の輪郭にクノップフやクリムトの影響が見られる象徴派的な作品は、静謐でありながら画面の外へ視線を向ける顔半分の女や薄曇りの風景から翳りある空気感が伝わってくる。歪な木板に即興的な発想で描いたであろう表裏は上下逆さまで、興に乗るままに描いた画家の筆致を感じるエチュードならではの魅力がある。風景の画面に顔料の剥落あり。