Works of Art〜美術工芸品図録12

Japanese Carved Ivory OKIMONO Cat and Beauty Statue
日本製象牙彫刻置物「猫と立ち姿美人」


Late 19thC (Meiji) Japan
19世紀後期 明治時代 日本
刻銘なし 高さ:8.8cm
 
 日本における象牙細工は江戸時代、根付や三味線の撥(ばち)の需要とともに工芸品としての高まりを見せる。しかし明治維新で日本人の生活が西洋化し、着物から洋服へと変わったことで根付の需要は減少し、彫刻職人は失業の危機を迎える。
 
 一方、1873年(明治6年)のウィーン万博以降、日本の象牙細工は欧米で高く評価され、象牙工芸品の輸出が増加する。職を失った根付職人たちはその卓越した技術で欧米輸出向け象牙工芸品の制作に方向転換する。
 
 この象牙彫刻もヨーロッパ向けに製作された作品で、着物の裾に猫が鎮座する美人の立ち姿である。江戸中期の浮世絵師 勝川春章の「仔猫に美人図」に着想を得た職人が、海外の象牙細工蒐集家のために制作したものと思われる。銀杏返しに結った女の髪、手足の指、着物の柄やひだが精巧に彫刻されているが、女の着物の裾に陣取った猫の得意げな表情が特に秀逸である。