Works of Art〜美術工芸品図録14

Ivory "La Ville de Dieppe” Médaillon
象牙「ディエップ市」のメダイヨン


Late 19hC Dieppe France
19世紀後期 ディエップ フランス
サイン:Colette sc. 直径:5.3cm
 
 フランスノルマンディー地方、イギリス海峡の港町であるディエップでは、古くから西アフリカ海岸よりアフリカ象の牙と彫刻技術が輸入され多くの象牙細工品が作られた。17世紀バロック期以降象牙彫刻品の需要が高まり、ディエップは象牙細工の中心地となる。
 
 掌に心地よく馴染む厚さ7ミリの象牙のメダイヨン。片面の天使は"C. Talboh"と名前が刻まれたカルトゥーシュ(飾り枠)を掲げている。もう片面の手鏡を持つふたりのシレーヌと天上のケルビムに護られた帆船の紋章は、古くから漁業と貿易で栄えた港町ディエップのシンボルである。何かの記念メダルか身分を示すジュトン(代用貨幣)か目的は不明であるが、当時でも高級な象牙細工品であったことは確かである。
 
 彫り師Colette(コレッット)のサインは、現在ディエップ最後の象牙職人と云われる5代目Annick Colette-Fremontの、1880年に操業を開始した初代のものと思われる。