CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録32

French Crystal Glass Tumbler with Enamel Inclusion of a Saint
フランス エナメル聖女入りクリスタルガラスタンブラー 


Middle 19thC France
19世紀中期 フランス
高さ:9.0cm 直径:7.9cm
 
中央に盛り上げた凸状の楕円形パネル内部に聖女と天使を封じ込めた、重厚な鉛ガラス(クリスタルガラス)の筒型タンブラー。透明なガラス内部に包含された手描きエナメルを焼き付けた金の箔板は、2世紀近い時を経てなお色鮮やかな当時の状態である。19世紀半ば、成型時の熱いガラスにモチーフを埋め込む技法を考案し実践したガラス工房はごく限られ、当時制作されたものの多くはフランスを代表する一流工房バカラの作品である(他はクリシー、ベルシーなど)。
 
ガラス内部の薄い金の箔板のエナメル細工の十字架を持つ聖女は、髪型や衣装からマグダラのマリアと推定される(天使の持物の正体は不明)。時代を反映した素朴な聖女らの表情とは対照的な赤いマントの星模様や金のフリンジの驚くべき緻密さは、食器ではなく格調高い工芸品としてタンブラーが制作されたことを物語る。