CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録33

Carved Tusk Nymph of the Spring
牙彫「泉のニンフ」


Early 20thC Germany or France
20世紀初頭 ドイツまたはフランス
サインなし 高さ:8.2cm
 
土台から全て一本の獣牙から彫り出したヌードの美女の彫像は、清らかな湧水で病を癒やすと云う泉の精(ニンフ)である。白い獣牙のなめらかな質感とヌード像でありながら品格を感じさせる作者の技量とが、神でも人でもないニンフという存在を見事に表している。
 
アールデコを代表する重要な作家のひとりドイツの彫刻家フェルディナント・プライス(1883-1943)の影響が見られ、弟子またはプライス作品に刺激を受けた者の作と考えられる。大理石彫刻のような大作ではなく牙彫という小品で、膝をつき体をひねるように水に手を伸ばすバロック的とも言える複雑な女のポーズを360度どこから眺めても破綻なくまとめ上げた造形美と、女の伏せた瞼や手指の繊細な表現から才能ある作者の手によることは間違いない。