Jewellery〜宝飾品図録20
Coral Cameo and Engraved Gold Link Bracelet
珊瑚カメオと彫金ゴールドブレスレット
c1840 France
1840年頃 フランス
刻印:鷲の頭(18金)
センターピース:1.9cm(うちカメオ 1.3cm) 長さ:15.5cm バンド幅:0.4cm
珊瑚 イエローゴールド CAILLIAUD BIJOUTIER A NANTESオリジナルケース入り
フランス革命後、華美で贅沢なドレスは廃れ身体を解放したハイウエストの直線的なエンパイヤドレスが一時主流となるが、王政復古とともにコルセットも復活、膨らんだ袖と釣鐘型スカートによるX字型シルエットが流行となる。この頃貴婦人は、室内外問わず手袋着用が身だしなみとされ、手袋はお洒落の重要な小道具であった。
ギリシャ神を彫刻した地中海珊瑚のカメオを嵌めたクラスプ兼センターピースは、指輪のベゼル程度の大きさであり、この時代らしい華奢なゴールドのブレスレットとなっている。手袋と被らぬように手首にフィットする、細い帯状のしなやかなリンクは精緻な手彫り模様が裏側にも施されている。宝飾店名が金で箔押しされた革製オリジナルケースに納められている。繊細で病弱な雰囲気をもつ女性が上品とされた時代を物語る貴重な作品である。